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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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格闘戦

「ちっ」


 手に持った銃剣を振り下ろすよりも前に僕と敵兵の間を阻むように地面から壁が一気に伸びてくる。

 振り下ろした銃剣はただ土壁と衝突し、それを破壊するに留める。


『……こいつが。思ったよりも』


 土壁が崩れ去り、僕と目を合わせる敵兵はこちらを睨みつけ、ローシャ帝国語を呟く。


「……小さい、ってか?」


 呟かれた言葉の先。

 それを予測しながら僕は銃を構え、一度、距離を取る。

 銃を構える仕草は僕の方が遥かに早い。僕が先に引き金へと手をかけた上で───それを引くタイミングをズラす。

 その次の瞬間、地面から再び土壁が盛り上がる。


「死ねっ」


 魔法が発動し終わるのを待った僕は横に逸れ、引き金を引く。


「ちっ」


 相手の魔法はかいくぐった。

 だが、敵兵も僕が横から回ってくることを読んでいたのか、身をかがめることで回避してくる。

 その上で敵兵は低い位置から僕との距離を一気に詰めてくる。


「Ураааааааа!!!」


「格闘戦なら勝てるとでもっ!?」


 銃をその手から離し、向かってきた敵兵に合わせて僕も銃を捨てて拳を握る。

 敵兵の蹴りを右手で防ぎ、此方も右足で前蹴りを一つ。


『くっ』


「はっ……?」


 前蹴りをただ腹に力を入れて耐えきった敵兵は拳を振るい、蹴りを振るう。

 それらを僕は一つ一つ冷静に捌いていく。


「向こうの方が上か」


 魔法は使わない。

 互いに魔法を使うタイミングを伺いながら拳と拳をまじ合わせる───素の身体能力も、格闘スキルも、向こうの方が上だ。

 敵兵のかかと落としを両手で防ぎながらも、全身を衝撃に襲われている僕は下唇を噛みしめながら素直に自身が劣っていることを認める。

 先に、魔法を使うのは僕になりそうだった。


「ふっ」


 ほんの一瞬、僕は魔法を発動する。

 地面を炸裂させ、一気に土煙をあげる。


「がふっ!?」


 視界を塞ぐ土煙。

 それにも臆せず振るった敵兵の拳を僕は素直に顔面で受ける。

 だけど、足腰で踏ん張り、吹き飛ばされるのだけは回避する。


『……なっ!?』

 

 土煙は僕のある動作を隠すためのものだった。


「死ねっ」


 顔を殴られることを許容してでも、懐から取り出した拳銃の引き金を僕は迷うことなく引き、相手の胸を打ち抜く。


『うぉぉぉ……ッ!?』


 拳銃に撃たれた敵兵は態勢を崩し、悲鳴を上げる。


「ちっ!?」


 そんな彼にトドメを刺そうと僕がリロードを終え、再び銃を構えたところで敵兵はまだ動き、裏拳で僕の手から拳銃を吹き飛ばす。


『……お前さぇぇええええええええええッ!』


 その上で、まだ諦めた様子もなく僕へと襲い掛かってくる。


『ローシャ帝国語で叫ぶなっ』


 撃たれながらもまるで止まる様子のない敵兵に少し、引きながらも僕は予定通りに土魔法を発動させていく。


「逃げろよ」


 大地を唸らせ、隆起させ、自由自在に操っていく。

 地面を持ち上げ、それを幾重もの龍のようにして敵兵へと向けていく。


『舐めるなよっ!ルノアよッ!』

 

 大地が、襲ってくる。

 そうとさえ表現できる魔法を前にし、敵兵は僕からその龍の制御を奪おうと魔法で対抗してくる。


「後手に回ったね」


『なっ!?』


 魔法は同時に一つしか使えない。二つの魔法を併用することはできない。

 大地を操り生み出した龍の制御を早々と手放していた僕は別の魔法で、敵兵を一気に遥か近く深くへと落としていく。


『くぅっ!?』


 すぐさま敵兵はその流れに抗うべく落ちていく己の地面を持ち上げる魔法を発動させるが、出力も僕の方が上。敵兵は抗うことも出来ず、どんどんと下へ下へと落ちていく。

 その途中、突然僕の魔法が消え去る。


「遅い」


 反応が遅い。

 今更対魔法結界を貼ったところで手遅れだ。

 対魔法結界の範囲が地上付近まで伸びていないことを確認した僕は魔法を使って、周りの地面を崩すことで作った穴へと大量の土を落としていく。

 対魔法結界はあくまで魔法を防ぐだけ。自然に落下してくる土を防げはしない。


「……ふぅ」


 生き埋めだ。既に僕が地中深くまで対魔法結界を貼った。逃げ出すことも出来ず、窒息死するだろう。

 終わりを確信した僕は自陣営の方に視線を向け、そのまま帰ろうとする。

 そして、気づく。


「……ん?」


 自陣営の中にいる兵士たちの焦りを。必死の形相で僕の元へと走ってくるルノア王国の兵士の姿を見て───あっ。


「くっ」


 僕は思考が回ると同時に、ほぼ反射的に後ろへと振り向く。

 何時からいたのだろうか───そこには僕を真正面から睨みつけ、銃を構えるローシャ帝国の兵士の姿があった。


「……まずっ」


 反応した。

 目で見た。だけど、それだけだった。


「……っあ」


 銃声が響き、僕の頭が揺れた。

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