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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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爆薬

「逃げろ逃げろ!今度のローシャ帝国軍はガチだぞ!」


 何百発という砲弾が一つのポイントへと集中的に打ちこまれ続け、土壁の一部が崩れると共に塹壕がぐちゃぐちゃに馴らされていく。

 ローシャ帝国軍の総攻撃。それを受け、ルノア王国軍の兵士たちは撤退を開始する。


「撤退だ!撤退!」


「というか、何で貴方までこんな前線にいるんですか!?」


「はっはっは!いいだろう!?僕が一番工兵としての能力が高いんだ。前線にいる方が国の為になるんだよっ」


 その、撤退していく兵士たちの中に准将であるはずの僕も混ざっていた。


「ローシャ帝国軍の奴らが塹壕から出てきたぞ!こっちへの突撃だ!」


 ちらりと、後ろを振り返ってみれば、塹壕から飛び出して真っすぐこちらの塹壕へと向かって走ってきているローシャ帝国軍の姿を確認することが出来た。


「数ならこっちが圧倒的に負けている!白兵戦になったら負けは確定!予定通り大胆に下がってやるぞ!」


「そりゃ、准将閣下が前線に赴くくらいですからね!」


「はっはっは!その通り!」


 僕の言葉に対し、冷静な合いの手を入れてくる優秀な部下の言葉を笑い飛ばしながら、僕は兵士たちと一緒になって走る。


「この辺りでいいか」


 僕を含めたルノア王国軍が第二防衛線にまで撤退し、ローシャ帝国軍が僕の作った塹壕へと入り込んできた頃になってこちらは撤退を停止し、塹壕の中に身を隠す。


「用意は?」


「完璧です」


 最前線から撤退してきた僕は塹壕の中を移動し、ある物を管理していた兵士の元へと向かう。


「起動の命令は僕が下す。しばし待て」


「ハッ」


 兵力並びに物資もごっそりとニュースベック大将閣下率いる第二軍の方に引き抜かれてしまったこちら第一軍であるが、それでもルノア王国は何時戦争が起きてもいいように鉄道網を配備し、多くの軍事物資を備蓄していた。

 人は足りていない。

 だが、軍事物資ならばルノア王国の円滑な物流網によってここ、東サンドロスにも余るほど運び込まれていた。


「発破」


 塹壕の中から塹壕の中へと入りこむローシャ帝国の兵士たち、一人一人の魔力を見て何処に誰がいるか確認していた僕は最高のタイミングだと判断したところで命令を下す。


「発破ッ!」


 それに従い、兵士がある物を起動させる。

 その次の瞬間、轟音が響き渡る。

 爆薬だ。撤退してきた塹壕の中に大量の爆薬を隠し、何時でも起爆できるよう準備していたのだ。


「完璧っ」

 

 巨大な爆発が、ローシャ帝国軍の進む塹壕ごと吹き飛ばしたのだ。


「被害確認ッ!」


 僕は自陣営に被害があるか確認するよう声を張り上げながら塹壕から顔を出し、大きな爆発の起きた塹壕を確認する。

 大きな黒煙が上がり、爆発の余波で土壁が崩れて塹壕を埋めていく。

 

「……殲滅は無理だったか」


 そんな地獄のような状況の中でも、僅かにだか残された魔力があった。


「とはいえ、次の戦力投入は止められたか?」

 

 巨大な爆発を前に、逐一戦力を投入しようとしていたローシャ帝国軍の足が止まっていた。

 

「完璧だな。ここまでうまく行くとは思わなかった」


 完璧な戦果に少しばかり気分を良くしながら僕は銃を構え、黒煙の中で立ち往生しているローシャ帝国軍の兵士を一人ずつ撃ち抜いていく。


「……ウィルアード准将閣下?何を目掛けて銃を撃っておいでて?」


「ん?そりゃ、ローシャ帝国軍の兵士たちに決まっているだろう……よし。この辺りでいいだろう」


 この大混乱の中でも奇跡的に軽傷で済んだローシャ帝国軍の兵士はたった十数名しかいなかった。それらをすべて撃ち抜いた僕は銃を背中に背負い直し、立ち上がる。

 

「前線を再構築するっ。また前に戻るよ」


「あっ!ちょ!?」


 未だ黒煙が上がる中、僕は今いる塹壕を飛び出して前へと進んでいく。

 ローシャ帝国軍の兵士たちは既に対魔法結界を維持できていない。自軍の対魔法結界の範囲外に出たところで僕は身体強化魔法を発動し、加速。一気に黒煙の中へと入っていく。


「ハッ!」

 

 僕は戦場の中にぽっかりと空いた魔法を自由に使える空間の中で再び土魔法を使い、爆薬で吹き飛ばす前とまったく同じ塹壕を生み出していく。


「……ごめんね」


 その最中、大怪我を負いながらも生き延びていたローシャ帝国軍の兵士たちを大地の中へと呑み込んで生き埋めとしてしまう───数が足りない。数が足りないのだ。今、捕虜をとってそれを戦時国際法に基づいて丁重にもてなせるほどの余力がない。


「……はぁ」


 だから、これでいい。

 そう自分に自己暗示をかけながら僕は塹壕を再構築していく。


「総員ッ!前進!元の持ち場に戻れっ!」

 

 ローシャ帝国軍の撃った何百発という砲弾も、進撃してきたローシャ帝国軍の兵士たちも、そのすべてを飲み干して新しく出来た塹壕の中。

 未だ黒煙が登る中で僕はルノア王国軍へと前進を命令する。もうしばしで黒煙が晴れ、戦況は元に戻る。ローシャ帝国軍が大きな被害を抱えた状態で。

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