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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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総攻撃

「状況をすぐさま確認。被害の状況を確認なさい」


 司令部から出て行ったエマ第二王女殿下はまず、周りの兵士たちに状況の確認をさせる。


「……あそこですか」


 その横で僕は前線で上がっている煙を確認する。


「ん?何か見えたの?」


「あそこに煙が上がっていますね。砲弾があそこに着弾したのでしょう」


「えっ……?見えないわよ?」


「昔から目は良かったので」


「エマ第二王女殿下。報告いたします」


 僕とエマ第二王女殿下が会話していた中、前線から上がってくる報告をまとめてきた伝令兵がこちらへとやってくる。


「前線より無線で連絡。第二連隊がローシャ帝国軍より砲撃を受けたようです」


「そこだけ?」


「いえ、敵影の報告は全部隊から上がってきております。ローシャ帝国軍の総攻撃が始まりました」


 総攻撃か。

 予想していたことではあるけど、本当にしてきたか。最初の攻勢が、ニュースベック大将閣下の手によって止められた時点でローシャ帝国側もそこそこの痛手を負っているはずなんだけど。

 

「この総攻撃を完全に止められれば、ローシャ帝国はしばらく再攻勢に走ることが出来なくなりますね」


「えぇ、そうなるでしょうね」


「この局面。命を懸けるには十分ですね。僕もちょっくら最前線に行ってきます」


「何を言っているのよ……!?」


「崩れた塹壕線を直せるのは僕だけなのだから、僕が最前線に立っているのが一番効率良いに決まっているじゃないか」


「そのイカレ狂った考え辞めなさいよ……!凡そ指揮官の考えじゃないわ!」


「でも、それが一番勝率あるのですから、こうするのが一番ですよ」


 僕は個人的に連れてきている商会所属の傭兵部隊を手招きし、僕の銃を持ってこさせる。


「ほ、本当に行くつもりなの……!?」


「はい。西部でもそうしてしましたから」


 土属性の魔法の最大の強さ。

 それは対魔法結界が地表からドーム状に展開されており、地中では魔法が使い放題であるということ。

 だが、これは対策が非常に簡単だ。地中も含めて対魔法結界を円形に貼るだけで解決だ。西部方面では既に土属性の魔法が対応され、地中含めて対魔法結界を貼るのが定石になった。

 でも、まだここ東部方面では違うはず。

 僕の魔法がまだ有効的に使えるはずだ。


「……ちょっと待ちなさい。貴方が行くなら私も行くわよっ」


「いや、それは流石にまずいでしょう。指揮官が二人もいなくなったら誰が軍の統率を取るのですか?貴方はここに残っていてください」


「でもっ」


「僕のことはお気になさらず。よし、みんな行くよ」


 僕は自分の周りにいる傭兵たちへと声をかける。

 西部に行くときは急だったので、こういう時の為に用意していた彼らを西部では使えなかった。なので、今回こそは活躍してもらおう。


「それでは」


 僕はエマ第二王女殿下を頭を下げ、最前線へと歩みを始める。


「……あそこが良いか」


 ここから見える前線における魔力の減り───つまりは、死傷者の数を見る僕は最も戦力の乏しい場所へと向かっていった。


 ……。


 …………。


「……本当に行っちゃった」


 そんなノアを見送ったエマは呆然と言葉を漏らす。


「……私が、動くのは流石に愚策ねっ。あぁ!もう!何で私がこんなことで悩まなきゃいけないのよ」


 准将という立場にある者が、敵の攻撃を受ける最前線へと銃をもって赴く。

 前代未聞の珍事だった。

 それを前にしたエマは苛立ちを隠すことはできなかった。


「ふぅー、別に気にすることはないわ」


 そんなエマは自身を落ち着かせる為、深呼吸をひとつはさむ。


「……」


 だが、深呼吸ひとつでは彼女の落ち着かなさを鎮めることが出来なかった。


「あー!でもやっぱり一緒に酒を飲み交わした相手に死んでほしくなんかないわ!ちゃんと生き残れるでしょうね!?ニュースベック大将閣下はうまくやってくれているかしら!?既に反攻作戦を始めているはずだけどっ」


 反攻作戦がうまく行っていれば、ローシャ帝国軍は大慌てで第一軍の攻勢を止め、第二軍の方へと兵力を振り分けることが予想される。

 そうなれば、此方の被害も少なくなる。


「……早く、終わらせて頂戴よ」


 新大陸の英雄。ニュースベックが早期の勝利を終わらせることをただ、エマは願うのだった。

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