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不遇だった土魔法、実は戦争の役に立つ~土魔法使いに転生してしまった僕の、思わぬ成り上がり戦記~  作者: リヒト


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帰還

 配置転換。

 東部戦線への移動に際し、僕はまず、ウィルアード侯爵領に寄っていた。


「……帰ってきたか」


「えぇ、無事に戻って参りました。父上」


 ちゃんと大活躍をして戻ってきた僕はしっかり父上へと頭を下げる。


「活躍は私のところにまで届いている……本当に、うまくやったようだな」


「土塊なりに頑張りましたよ。ウィルアード侯爵家の失態のケツは拭いておきました。ウィルアード侯爵家の汚名はちゃんとそそげたでしょう?」


「……うぅん」


 自虐も込めた僕の言葉に父上は気まずそうに口を閉ざす。


「別に、何かやり返したりしようなどと思っていないのでご安心を」


 別にざまぁwとかするつもりはない。

 なんか普通に一番ざまぁする対象な気がするリュークお兄様はあっさりと亡くなってしまったし。とりあえず、シーアお姉さまの身を守ることが出来ればそれでいい。


「……何も言わんよ」


「言えないの間違いではなく?」


「……」


「これくらいの意趣返しくらいは許してください?」


 案外鬱憤が溜まっていたのかな?父上をいびるの楽しい。


「僕のつまらない仕返しはこの辺りにしておきましょう。真面目な話に変えます。他の諸国はどういう動きを?」


「まだ何か大きな動きを見せていたりはしないな。どの国も未だ中立。大方、趨勢を見ているのだろう」


「中東の同盟国は何と?」


「彼の国は駄目だな。だんまり。もとより内部がガタガタの国。限界も限界なのだろうよ」


「……駄目、ですか」


 ルノア王国の同盟国は二つ。

 オースティン帝国と、中東の方にあるハーン帝国だ。

 今戦争の発端となったオースティン帝国は当然、本戦争に参加し、絶賛自国の皇太子を殺した反乱分子の叩き潰しに苦心すると共に、ローシャ帝国の攻勢にも全然耐えられず敗走を重ねている。

 何とも無様な同盟国である。


 そんな同盟国の他もう一つの同盟国であるハーン帝国も……まぁ、オースティン帝国とそう状況は変わらない。

 大きな帝国ではあるのだが、内部に反乱勢力を抱えていて、なおかつ近代化も遅れていて国家基盤が両国共にガタガタなのだ。


「実質単独だな。この戦争は」


 未だこちら側に参戦してきてくれないハーン帝国がもし、参戦してくれたとしてもそこまで状況が好転することもないでしょう。

 当然、参戦してくれた方が助かるのは間違いないけど。


「……だからこそ、敵を増やすわけにはいきませんね」


「私とて外交に携わる者だ。最大限努力しよう。こちらは一度、禁を犯している。その上でも、だ」


「期待しています。では、最後に。ウィルアード侯爵家の名声はどうですか?」


「ふんっ、心配するな。お前の活躍は王都どころかこの国中に轟いている。お前の言葉は嘘ではなかった。新聞会社に影響を持っているだけではなく、多くの吟遊詩人まで抱えていたな?今やこの国じゃ落ちこぼれと言われていた男の英雄譚で熱狂している」


「……それなら、良かった。僕が死んでも、……どこまで持ちますかね?」


「何処まででも持とう。国に尽くした英雄を貶める者など誰もおらん」


「それならよかった」


「はぁー……」


 僕の安堵のため息に対し、父上はため息を吐く。


「逐一、お前の状況は得られるよう手を伸ばしている……無茶し過ぎだぞ?」


「それくらいしなきゃここまでのことは出来ていませんよ。土塊に出来ることなどそう多くはないので」


「シーアには会いに行けよ。最近はお前の名前を呼び喚き、うるさくてかなわない」


「……言われずとも」

 

「これからはどうするんだ?東部方面に行くのだろう?」


「まず、王都にも寄りますね。そこで僕の階級が与えられる手筈になっています」


「あぁ、それは聞いている。こちらから人を出すか?」


「いえ、一人で行きますよ。戦時中です。簡易的な儀式にするそうですから。一人でも十分でしょう」


「それは甘い見立てだと思うが……こちらから出されても困るか。好きにせよ」


「えぇ、好きにさせてもらいます……僕は、父上の領主としての能力は疑っていません。僕は約束を果たしています。父上も、お願いしますね?」


「私はウィルアード侯爵家の為にいる。言わずとも、だ。シーアにも愛はある。もとより望んでいたわけじゃない。うまくやってくれよ」


「お任せを」


 まったくもって複雑な関係だね。

 実の親子だというのに、何とも遠い。まぁ、別にそれで構わないけど。

 僕はお別れの挨拶も口にせず父上の執務室を後にし、シーアお姉さまの元へと向かっていった。

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