仲間、調整中
平和な鳥の鳴き声で、目が覚めた。
頭が割れそうに痛い。
「……最悪だ」
勇者は顔をしかめながら、ゆっくりと体を起こした。
「……今日は、死なずに済むといいなぁ……」
左手に、妙に柔らかい感触が触れた。
「……ん?」
むにゅ。
(……スライム?)
「……あんっ」
やけに色っぽい声が、静かな部屋に響いた。
「は?」
ゆっくりと、恐る恐る左を見る。
そこには――
やけに上等そうなネグリジェ姿の――
昨日、酒場で絡んできた女主人が、寝ていた。
「なんでいるの!?」
声が裏返った。
「……もう、うるさいわね」
眠たげに目を細めながら、女主人がぼそりと呟く。
「昨日、契約したでしょ」
「は? なんの?」
女主人は、にっこりと笑う。
「仲間になる契約よ」
「してないしてないしてない!!」
「したわよ」
「してない!!記憶にない!!」
「かなり酔ってたものね」
「無効だろそれ!!」
女主人は平然と起き上がる。
「ほら、これ」
ひらり、と一枚の紙を差し出してきた。
勇者はそれをひったくるようにして見る。
「……なんだこれ」
「契約書」
「契約書!?」
「ちゃんとあなたのサインもあるわよ」
「うわ汚ねぇ字……俺だ……」
勇者は紙を見つめる。
「……俺、これ書いた?」
女主人は、にっこりと笑った。
「ええ」
「ほんまに?」
「ええ」
「じゃあ、行きましょうか」
「どこに?」
「あなたが毎回死んでるところ」
「言い方ぁ!!」
「てかなんで俺がお前と行かなあかんねん!!」
「仲間になったんだから、相性の確認よ」
「相性?」
「いろいろよ」
「怖い言い方すんな!!」
一歩下がる。
「てか昨日、もしかして何かやらかした?俺・・・」
女主人は、にっこりと笑う。
「さあ?」
「さあってなんやねん!!」
女主人が一歩、近づく。
その笑顔が、じり、と近づいてくる。
綺麗だとは思う。
……思うのだが。
「……行くわよね♪」
「行きます・・・」
――あの笑顔と圧に勝てる人類はいるのだろうか。
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