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――町外れ。


「……縦は跳ねる」


 ぶつぶつ呟く。


「横は曲がる」


 少し考える。


「……でも、前なんか違ったよな」


 レオは眉をひそめた。


「まあええわ!」


 ぱん、と両手を叩く。


「考えても分からんもんは、見た方が早い!」


 ざわり。


 草むらが揺れる。


「はいはい、いつものな」


 青スライムが五体。


 一体目が飛ぶ。


 レオは半歩ずれ、そのまま斬る。


 バシャッ。


 二体目。


 三体目。


 連続で飛び込んでくる。


「遅い遅い」


 剣を横へ払う。


 二体まとめて弾け飛んだ。


 残り二体が左右から迫る。


「ほいっ」


 レオは一歩踏み込み、そのまま一閃。


 バシャッ!!


 静かになる。


「……慣れって怖いな」


 剣を振って粘液を払う。


 その時。


 ざわり。


 草むらの奥で、オレンジ色が揺れた。


「来たな」


 レオの表情が変わる。


 オレンジスライムが震える。


 レオは剣を構えた。


 次の瞬間。


 オレンジスライムが横回転を始める。


(横は曲がる……!)


(横回転は、どっちに飛ぶかわからん……!)


「なら――!!」


「こっちから先に仕掛ける!!」


 レオは地面を蹴った。


 真正面から飛び込む。


「間に合えっ――!!」


 レオは剣を振りかぶる。


 だが。


 オレンジスライムが勢いよく迫る。


「やばっ――」


 ぐにゃりと軌道が曲がる。


 次の瞬間。


 身体のすぐ横を通り抜けた。


「……へ?」


 風だけが頬を打つ。


 レオは目を見開いた。


「当たらん……!?」


 オレンジスライムが着地する。


 レオはゆっくり振り返った。


「今の……なんでや?」


 オレンジスライムが、ぶるりと震える。


「……もう一回、横回転来い」


 レオは剣を握り直した。


 次の瞬間。


 オレンジスライムが横回転を始める。


「来たっ!」


 レオは迷わず地面を蹴った。


 真正面から飛び込む。


 オレンジスライムが勢いよく迫る。


 ぐにゃりと軌道が曲がる。


 だが。


 また、レオの横を通り抜けた。


「……マジか」


 レオは振り返る。


 オレンジスライムが着地する。


「近いと、当たらんのか……?」


 レオは剣を握り直した。


「なるほどなぁ……!」


 オレンジスライムが再び震える。


 横回転。


「今度はこっちの番や!!」


 レオは前へ飛び込む。


 オレンジスライムが横へ曲がる。


 そのままレオの横を抜ける。


「そこっ!!」


 振り返りざま、レオは剣を叩き込んだ。


 ザシュッ!!


 オレンジスライムの身体が揺れる。


「入った!?」


 レオは目を見開く。


「うおっ、いけるやん!!」


 レオは笑う。


「なるほどなぁ!」


「逃げるからあかんかったんか!」


 オレンジスライムが、ぶるりと震える。


 縦回転。


「今度はそっちか!」


 オレンジスライムが、大きく跳ね上がる。


「来たっ!!」


 レオは剣を構えた。


 次の瞬間。


 どんっ!!


 オレンジスライムが勢いよく落下し、地面へぶつかる。


 ぼよんっ!!


「そこや!!」


 跳ね返りへ合わせ、レオは剣を振り抜く。


 ガキィッ!!


「ぐっ……!?」


 重い。


 レオの剣が弾かれる。


 同時に、オレンジスライムも後ろへ跳ねた。


「うおっ……!?」


 オレンジスライムが地面へ落ちる。


「はっ……!」


 レオは息を荒げながら笑った。


「見えてきたやんけ……!」


「いける……!」


 オレンジスライムが、ぶるりと震える。


 再び縦回転。


「なんや、今度も――」


 オレンジスライムが大きく跳ね上がる。


「……へ?」


 レオの頭上を越える。


 そのまま背後へ。


「しまっ――」


 ぼよんっ!!


「がっ――!!?」


 後頭部へ直撃。


 視界がぐらりと揺れる。


 レオの身体が、そのまま地面へ崩れ落ちた。


「勇者よ。死んでしまうとは情けな――」


「……近いだけじゃあかん」


 レオはぶつぶつ呟く。


「横は走り抜ける」


「でも縦は後ろからも来る……」


「ってことは――」


「勇者よ、聞いておるか?」


「あー待って、今いいところやから」


 レオはそのまま城の出口へ向かう。


「近づく距離でも変わってるんか……?」


「いや、でも縮むやつもあるし……」


「うーん……」


「おーい、聞いてるかー」


 レオは振り返りもせず、城を出て行った。


「……」


 王様はしばらく黙る。


「……勇者?」


 返事はなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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