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7:忌み子と秘密
「おい、離れろテオ! 近づくんじゃない!」
少年の背後から、大人たちの怒声が飛んだ。村の自警団だ。彼らは武器を構え、少女とアイゼンを遠巻きに取り囲んだ。
「見ろ、あの髪。あの目。……『塔』からの落ちこぼれか?」
「不吉だ。関わるとろくなことにならんぞ」
「捨て置け。どうせ水もなしじゃ三日と保たん」
大人たちは、彼女を「人間」として扱わなかった。灰色の世界では、得体の知れないものは即ち「リスク」だ。彼らは唾を吐き捨てると、まだ未練がましそうに振り返る少年、テオの首根っこを掴んで引きずっていった。
再び、静寂が戻った。少女は動かなかった。否定されることに、何故か嫌悪感はなかった。ただ、喉が焼けるように渇いていた。




