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色彩搾取の灰色世界で、不器用な魔女は鉄の騎士に命を捧ぐ 〜クロマティック・ウィッチ〜  作者: w.t.
外伝4:『極彩色のキャンバス、再会の食卓』

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第1節:ただいま、始まりの場所

「マシロおねえちゃん、見て! 塔が見えてきたよ!」



私の声に、隣を歩いていたマシロおねえちゃんが顔を上げました。



おねえちゃんの目元には、ヴィオラさんが作ってくれた特製ゴーグル。

視力は弱いままだけど、音と匂い、そして私の言葉で、おねえちゃんは私よりも世界をよく見ています。



「懐かしい風の匂いだね……。オイルと、少しだけ焦げた匂い」



「うん! ヴィオラさんの工房の匂い!」



旅に出てから、ちょうど一年。

今日は、ヴィオラさんと約束した「期限」の日です。



私たちの荷物は、全部アイゼンが背負ってくれています。



赤錆色の巨体は、一年前よりもあちこち傷が増えました。

でも、その傷は世界中を冒険してきた勲章です。



ブォン、とアイゼンが低い音を鳴らしました。

『早く行こう』と言っているみたい。



「ふふ、アイゼンも楽しみなんだね。……行こうか、リア」



マシロおねえちゃんが、私の手を握り返しました。



私の手は、一年前よりも少し大きくなって、少しだけマメもできました。

旅の途中、見た景色を全部スケッチブックに描いているからです。






懐かしい工房の扉を開けると、怒号が飛んできました。



「だから! その回路は直列だって言ってるだろうが! このポンコツ!」



「へい! すんません所長!」



ヴィオラさんは相変わらずです。



でも、その横には、見慣れた黒いコートの背中がありました。



「よぉ。遅かったな、主役たち」



振り返ったのは、ヴェールおじちゃん……じゃなくて、ヴェールおにいちゃん。



彼は西の開拓地からバイクで駆けつけたみたいで、砂埃まみれです。

手には巨大な「黄金スイカ」を持っています。



「おにいちゃん! ヴィオラさん!」



私が駆け寄ると、ヴィオラさんが作業の手を止めて、ニカっと笑いました。



「おかえり、チビ。……いや、もうチビじゃないね」



「うん! 大きくなったでしょ!」



続いて、マシロおねえちゃんとアイゼンが入ってきます。



「ただいま戻りました、ヴィオラさん。ヴェールさん」



「おう。相変わらずボロボロの旅装束だな。……まあ、元気そうで何よりだ」



ヴェールさんはぶっきらぼうに言いながら、マシロおねえちゃんに一番座り心地のいい椅子を引いてあげていました。



やっぱり、優しいところは変わりません。

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