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色彩搾取の灰色世界で、不器用な魔女は鉄の騎士に命を捧ぐ 〜クロマティック・ウィッチ〜  作者: w.t.
外伝2:『銀色の騙り手、西へ行く』

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第2節:風の便り

渓谷での戦いは、あっけないものだった。



旧式の警備ドローンが数体。

以前の俺なら苦戦したかもしれないが、あの「修羅場」を潜り抜けてきた今の俺には、止まって見える。



「らぁッ!」



短剣を一閃。

ドローンのセンサーを正確に貫き、機能を停止させる――。

かつてアイゼンの動きを見て盗んだ、関節破壊の技術だ。



「す、すげぇ……!」



ガキと、助けられた父親が呆然としている。

俺はドローンの残骸から使えるパーツを抜き取ると、背を向けた。



「礼はいらねえ。その代わり、このパーツは貰っていく」



「あ、あの! お名前は!?」



父親が叫んだ。



俺は足を止め、少しだけ振り返った。

夕日が沈んでいく。

西の空が、燃えるような茜色に染まっている。



あの、テオって奴の色か。

それとも、マシロが燃やした命の色か。



「……通りすがりの詐欺師だ」



俺はニヤリと笑って、手を振った。



「あるいは、世界を救った魔女の、しがない共犯者だよ」






数日後、俺は村を出ることにした。

ここも、少しずつ平和ボケしてきたからな。

俺みたいな異物が長居する場所じゃねえ。



バイク(鉄の柩から部品をくすねて作った急造品(カスタム)だ)のエンジンをかける。



ふと、風に乗って、懐かしい匂いがした気がした。

甘いパンケーキの匂いか。

オイルの焼ける匂いか。

それとも、雨上がりの土の匂いか。



「……元気でやってるかよ、お前ら」



俺は空を見上げた。

視界の端に、うっすらと虹がかかっていた。



マシロの目は見えなくなっちまったらしいが、まあ、あいつには心眼がある。

あのポンコツ(アイゼン)とチビ(リア)がついているんだ、心配はいらねえだろう。



「俺は俺で、勝手にやらせてもらうさ」



俺はゴーグルを下ろし、アクセルを回した。

エンジンが唸りを上げる。



目指すあてはない。

だが、この世界は広い。

まだ見ぬ色が、俺を待っている。



銀色のバイクが、砂煙を上げて荒野を疾走する。

その背中は、かつてよりも少しだけ、軽く見えた。



外伝2 「銀色の騙り手、西へ行く」 完

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