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第1節:聖女の胎内
長い、長い螺旋階段の果て。
私たちはついに、世界の頂点へと辿り着きました。
そこは、天空に浮かぶ神殿でした。
天井はガラス張りで、間近に迫る星空が見えます。
床は磨き上げられた鏡面。
中央には、脈打つように明滅する巨大な結晶装置――**純正炉**が鎮座していました。
そして、その炉と一体化するように、彼女はいました。
「よく来ましたね、イリス。そして愛しい不用品たち」
カルミナ。
彼女は玉座に座っていました。
いいえ、玉座が彼女の腰から下を飲み込み、血管のようなパイプがドレスの裾から伸びて、床下へと根を張っています。
彼女はもう人間ではありません。
塔という巨大なシステムの「生体コア」そのものでした。
30代ほどの美しい顔立ち。
慈愛に満ちた微笑み。
けれどその瞳は、私たちを見ているようで、私たちの「成分」しか見ていません。
「カルミナ……」
私は震える声で呼びかけました。
恐怖ではありません。
あまりにも歪で、悲しい姿への憐れみでした。
「違うでしょ? イリス。
『ママ』と呼びなさい」
カルミナが指先を振ると、空間が歪みました。
「さあ、イリス。その右腕を寄越しなさい。
七色は私が管理します。あなたは疲れたでしょう……?
私の中で永遠に眠りなさい」




