第4節:玉座への階段
ハッとして目を開けると、私はまだ塔の中層にいました。
金色の霧が薄れ、視界が戻ります。
目の前には、巨大な鉄の背中がありました。
アイゼンです。
彼は霧の中でも私を見失わず、ずっと私の前に立って、背中のブースターで霧を吹き飛ばしてくれていたのです。
その足元には、リアとヴィオラさんを守るヴェールさんの姿もあります。
「……マシロ! 正気に戻ったか!?」
「ヴェールさん……みんな……」
「まったく、変な汁でも垂れ流してボケーッとしやがって。……行くぞ、霧が晴れた」
アイゼンが振り返り、心配そうにカメラアイを覗き込んできました。
その瞳は消えていません。
鮮やかな虹色で、私を見ています。
冷たい鉄塊じゃない。温かい、私の騎士。
「……アイゼン」
私は彼の腕にしがみつきました。
夢の中で感じた絶望的な冷たさとは違う、エンジンの熱と振動。
「私ね、怖い夢を見たの。……あなたが死んで、私だけが生き残る夢」
アイゼンが、慰めるように低く唸りました。
「でも、もう大丈夫。そんな未来は、私が叩き割ったから」
「あなたを絶対に、鉄屑になんてさせない」
私は涙を拭い、前を見据えました。
霧の向こうに、上層へと続く巨大な螺旋階段が見えます。
その頂上に、全ての元凶である彼女がいる。
「行きましょう。カルミナのところへ」
「この悪夢は、これで終わりにする」
私たちは互いに頷き合い、最後の階段へと足を踏み入れました。
右腕の七色が、心臓の鼓動と重なって、強く、強く脈打っていました。
もう迷いはありません。
第26章 「黄金の想い、繰り返さない誓い」 完




