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色彩搾取の灰色世界で、不器用な魔女は鉄の騎士に命を捧ぐ 〜クロマティック・ウィッチ〜  作者: w.t.
24章:『死ねない友人、灰色の故郷』

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第2節:おやすみ、共犯者

「……殺してくれ」


テオが掠れた声で懇願しました。


「痛くはないんだ。……でも、終わらないんだ」


「お腹が空いても、身体が勝手に土から養分を吸うんだ。眠りたくても、太陽が出ると目が覚めるんだ。……マシロ、助けて。僕を、人間に戻して」


私は唇を噛み締めました。


過去の私は、ただ彼を助けたくて無我夢中で力を注ぎました。


でもそれは、壊れた時計を無理やり接着剤で固めたようなものです。


彼の「死ぬ権利」を奪い、永遠の苦しみを与えただけだったのです。


「……マシロ、どうする?」


ヴェールさんが短剣に手をかけました。


「お前がやれないなら、俺がやる。……だが、こいつの再生力は異常だ。物理攻撃じゃ、またすぐに再生しちまうぞ」


アイゼンが私を見下ろしました。


その虹色の瞳は、静かに問いかけています。


『どうしたい? 』と。


私は深呼吸をし、一歩前へ出ました。


「いいえ。私がやります」


私は右手の包帯を解きました。


そこには、七色すべてを統べた、完成された魔女の腕がありました。


「これは私の(ミス)です。だから、私が終わらせなきゃいけない」





私はアイゼンの制止を手で遮り、テオの元へ歩み寄りました。


灰色の蔦が私に絡みつこうとしますが、私の放つ圧倒的な魔力に恐れをなして、萎縮して退いていきます。


私は、植物に埋もれたテオの頬に、そっと触れました。


かつて、温かいスープをくれた手。私を守ろうとして、切り裂かれた体。


私は、彼を救うつもりで、怪物にしてしまった。


「……ありがとう、テオ」


私は謝りませんでした。


「ありがとう」と言うべきだと知っていたから。


でも、涙が止まりませんでした。


色彩回帰リ・ペイント……!」


私は、かつて彼に注ぎ込んだ「赤」を、今度は全力で吸い上げました。


与えるのではなく、奪う。


過剰なエネルギーを中和し、彼をあるべき姿()へと還す。


シュウゥゥ……。


テオを縛り付けていた灰色の植物が、急速に枯れていきます。


硬化していた皮膚が剥がれ落ち、柔らかい人間の肌が戻ってきました。


「……あ」


テオの瞳から、狂気が消え、穏やかな光が戻りました。


彼は私の顔を見て、あの時と同じように、弱々しく笑いました。


「……へへ。……泣くなよ、ブサイクだな……」


その言葉を最後に、彼の手から力が抜けました。


彼の体は光の粒子となって崩れ、灰色の森の風に乗って、空へと還っていきました。


後には何も残りません。ただ、静寂だけが戻ってきました。

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