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色彩搾取の灰色世界で、不器用な魔女は鉄の騎士に命を捧ぐ 〜クロマティック・ウィッチ〜  作者: w.t.
23章:『硝子越しの共犯者』

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第2節:廃材の魔女への報告

路地裏の最奥。


巨大な隔壁扉の前で、鉄の柩は停止しました。


ヴェールさんが慣れた足取りで車を降り、無造作に扉を蹴り飛ばします。


ガンッ!


重い金属音が響き、扉が開きます。


そこから漂ってきたのは、煮詰まった薬液と、紫煙の香り。


「……ヴェール、あんたね。私の扉を蹴っていいのは、修理費を前払いした奴だけだって言わなかったかしら」


その声を聞いた瞬間、私の胸に懐かしさが込み上げました。


紫煙の奥から現れた小柄な影。オイルまみれのツナギ。回転するモノクル。


ヴィオラ(・・・・)さんです。


彼女は以前と変わらず、スパナを片手に気怠げに立っていました。


しかし、彼女の視線が私とリアを捉えた瞬間、その表情が凍りつきました。


ボロボロになったヴェールさんと鉄の柩を見て、モノクルのレンズが激しく回転し、私の全身をスキャンします。


「……生きて帰ってきたのね」


彼女は呻くように言いました。


「それも、全部――七色を持って」


私は無言で右腕の包帯を解きました。


指先から肩口まで、漆黒の結晶がびっしりと覆い尽くしています [cite: 1, 2]。


その奥で、七色の光が血管のように脈動していました。


あの日、通信機越しにカルミナが告げた「完成」の条件。


七色を統合した神の器。


それが今、ここにあるのです。


「……馬鹿な子」


ヴィオラさんがスパナを取り落としました。


カラン、という乾いた音が響きます。


「これじゃもう、あんた自身が『爆弾』じゃない。……姉さん(カルミナ)と一つになるための、最悪の供物よ」


「分かっています」


私は静かに答えました。


「でも、これしか方法がないから。……ヴィオラさん、約束通り持ってきました。これで『三要素』は揃いましたよね」


ヴィオラさんはハッとして私を見ました。


前に、彼女は言いました。


純正炉を動かすには、私が持つ「生体鍵(アイディー)」と、彼女が持つ「論理鍵(コード)」、そして失われた「七色の結晶」が必要だと。


今、その全てがこの工房に集結したのです。


彼女はしばらく黙っていましたが、やがて短く息を吐き、ポケットからタバコを取り出しました。


「……やれやれ。300年前の喧嘩の続きを、あんたみたいな子供に背負わせるなんてね」


彼女は火をつけず、タバコをくしゃりと握りつぶしました。


「分かったわ。私も腹を括る。……でもその前に、飯よ。爆弾抱えて腹ペコじゃ、戦えないでしょ」

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