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光輝士セイグリッター  作者: なろうスパーク
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第33話「決着!セイグリッター対ガイストパンドラー」

富士山は十里木高原にて繰り広げられる、二体のスーパーロボットの死闘。

その様は世界中に放送され、多くの人々がそれを見守っていた。


………いや、二体の死闘を観戦している者がいるのは、地球上だけではない。



「おおーっ、やってるやってるゥ………」



ウィーズ宇宙要塞・ディアボロより、地上の報道網にハッキングを仕掛け、セイグリッターとガイストパンドラーの戦いを見ているウィーズの兵士達。

そして、それらを束ねる獣将軍・ヴォルガン。



ジャクスがセイグリッターとの戦いで“戦死”した事により、今のヴォルガンは、このウィーズで総統に次ぐ権力と地位を手に入れた。


総統が滅多に命令を下さない事もあり、実質的にこのディアボロの支配者とも言える存在となっていた。



「ヴォルガン様ぁん」

「おう、何だ?」



大きなソファーにどっかりと腰をかけたヴォルガンに、際どい水着のような服を着た美女が呼び掛ける。

一人や二人ではない。

五人近くの美女が、ヴォルガンに群がるようにそこにいた。



ジャクスが居なくなってから、ウィーズ内部でのヴォルガンの傍若無人っぷりは酷くなっていた。

今日のように、任務中だというのに美女を侍らせているのも珍しくない。


その美女達も、今まで「解放」した星から集めてきた人々。

皆故郷を失い、こうしてヴォルガンに媚びる事でしか生きていけない。



ウィーズの兵士達も、そんなヴォルガンを内心快く思っていない。

だが、もし意見すれば、何をされるか解らない。


だからこうして、目を反らして自身に与えられた仕事をするしかないのだ。



「ガイストパンドラーで、本当にセイグリッターに勝てるんですかぁ?」

「んん~?」



美女の一人が、ヴォルガンの顎を撫でながら問う。

それに対して、ヴォルガンは少し考えるような仕草を取った後、口を開いた。



「………無理だな」



吐き捨てるように、くだらない事を言うように、半笑いでヴォルガンは言う。



「ええー!?何でぇ?」



ヴォルガンの意外な答えに、美女はわざとらしく、再び質問した。

確かに、わざわざガイストパンドラーを強化改修し、ブレードにセイグリッターの撃破を命令した。


それなのに、倒すのは無理とはどういう事か?



「何故だって?それは………」



演技染みたような言葉の後、ヴォルガンはやはり演技染みた態度で美女の手を優しく振り払い、ソファーから立ち上がった。



「………それを成すのは“真の英雄”だからだよ」



そう、美女に優しく微笑むと、ヴォルガンはインベイドベムの格納庫へ向けて歩きだす。

いつものような、獣のような表情で。



「整備班に通達!俺のインベイドベムを出す!」

「“ゴールド”でありますか?!」

「ああ」



格納庫にやってきたヴォルガンは、今まさに整備・装備の装填を受けている一体のインベイドベムを見上げる。



「………目にもの見せてやるぜ、クソ貴族」



そこには、他のインベイドベムよりも一回り大きい、異形の機体が佇んでいた………。





………………





パワーアップしたガイストパンドラーの力は、セイグリッターをゆうに上回っていた。


それを証拠に、今まで目立ったダメージを与えられていなかったセイグリッターの装甲を、一撃で切り裂いてみせている。


初戦に比べると、セイグリッターは改修を繰り返して強化してきたし、シャルルも日々鍛練を積み、強くなった。


だがそれを差し置いても、今のガイストパンドラーは、パワーやスピードも操縦者も、セイグリッター以上だ。


この強敵を前に、シャルルが取った手段。

それは。



「………デオン!ジャンボフェニックスを!」

『承知致しました!』



デオンの叫びと同時に、セイグリッターの額より一筋の光が放たれた。


光は天に向かって飛び、セイグリッターを召喚する時と同じ魔方陣を浮かばせる。



『ジャンボフェニックス、発進!』



魔方陣より姿を表すのは、大空をゆく為のセイグリッターの翼・ジャンボフェニックス。



「あれは………!」



現れたジャンボフェニックスを前に、ブレードが睨む。


過去に送り込まれたインベイドベムの戦闘データにより、あれがセイグリッターを強化する為の追加ユニットである事は、既に解っている。



「させるものか!」



合体などさせるものか。

ガイストパンドラーが翼を広げ、ジャンボフェニックスを撃墜せんと迫る。



「させるか!ショルダーカッターーッ!」



その時、セイグリッターの両肩より二本のショルダーカッターが射出され、セイグリッターはそれをブーメランのようにガイストパンドラーに向けて投げつける。



「オレイユビィーームッ!」



続いて、オレイユビームを発射。

回転するショルダーカッターの刃に当たり、反射されたビームの波が周辺に飛び散る。



「うわっ!?くうう………ッ!」



ビームの波に遮られ、ガイストパンドラーの動きが鈍る。

チャンスは今だ。



「今だ!」



隙を突き、セイグリッターが空に舞い上がる。

そして、空中で並ぶセイグリッターとジャンボフェニックス。


ジャンボフェニックスの機首が二つに割れ、分離される。


別れた二つの機首が、セイグリッターの両肩に覆うように連結。

肩アーマーとなった。


機首の外れたジャンボフェニックスの尾翼部分が畳まれ、胴体が変形する。


そして、セイグリッターの背中に迫り、連結。

各部がロックされ、二つの機体が繋がった。

瞬間、ジャンボフェニックスの内蔵動力炉のエネルギーがセイグリッターに流れ混み、胸と頭部の色が白く変色する。


最後に、突き刺さっていたレーヴァテインの刀身が分離し、空中のセイグリッターに向かう。

扇のような形に再合体し、ジャンボフェニックス部に突き刺さる。


そして、シャルルの見つめるセイグリッターのモニターに「SKY-SEIGLITTER」と表示され、合体が完了した。



「完成!スカイセイグリッターッ!!」



月光の光を背に受けて、スカイセイグリッターへの合体が完了する。

光波推進システムによる翼と、パワーを得たセイグリッターは、ついにガイストパンドラーと同じ「空」というステージに立った。



「………空を飛べるぐらいで」



空中にて、互いに睨み合うガイストパンドラーとスカイセイグリッター。



「いい気になるな………ぐっ?!」



ガイストパンドラーを突撃させようとしたその時、ブレードの脳に痛みが走った。

脳波による操縦システム、その限界が来たのだ。



「ぐうう………おのれェッ!」



このまま続ければ、ブレードの身体は持たない。

脳を破壊され、そのまま死に至るだろう。


それを解っていても、ブレードはガイストパンドラーをスカイセイグリッターに向けて突撃させる。


それしか、自分に選択肢はないから。

そうする事でしか、生きていけないから。



「レーヴァテイン!バーンズアップ!!」



対するスカイセイグリッターは、背中に格納したレーヴァテインを再び射出・展開させ、構える。

ジャンボフェニックスと合体した事により出力が上がり、その光の刀身は普段の倍以上にまで大きくなっている。


これなら、ガイストパンドラーのブラッディランサーにも対抗できるはずだ。



「だあああっ!!」

「うおおおっ!!」



何度も、何度も、二つのビームの刃がぶつかり合い、夜空に火花を咲かせる。



「落ちろおおっ!!バルチャーミサイルッ!」



ガイストパンドラーの右足から、再びバルチャーミサイルが放たれる。

それは四方八方に広がり、あらゆる角度から、スカイセイグリッターに迫る。



「このおっ!!」



視界を埋め尽くすバルチャーミサイルを、スカイセイグリッターはその自慢の高機動で交わしてゆく。


光波推進システムがデコイの役割を果たした事もあり、その全てがスカイセイグリッターに当たる事なく、夜空に散っていく。



「おのれぇぇぇ!!」



ミサイルがダメならばと、ガイストパンドラーは次に胸部の三つの六角形状のパーツにエネルギーを収縮させる。

紫色の不気味な光が、ガイストパンドラーの胸部に集まる。

そして。



「消えて失くなれ!フォトンノヴァーーッ!!」



ガイストパンドラーの胸部より、雷鳴か轟風のように放たれる、紫色の破壊の光。


ガイストパンドラーの胸部に搭載されていたのは、新開発の荷電粒子砲「フォトンノヴァ」。

数十機のインベイドベムをまとめて吹き飛ばすほどの威力を持った光の奔流が、スカイセイグリッターに向けて迫る。



「だったら………!」



対するスカイセイグリッターも、光波推進システムにエネルギーを収縮させる。

そして。



「プロミネンスバーストぉぉぉぉッ!」



放たれる、綺麗な黄緑色に光る破壊光線・プロミネンスバースト。


フォトンノヴァとプロミネンスバーストが、富士の上空でぶつかり合う。

高エネルギー同士のぶつかり合いは、周囲に衝撃を広げ、夜空を明るく照らすスパークを散らす。


安全の為に距離を取った報道のヘリや、周囲を巡回していた刃達からは、まるで夜明けのようにも見えていた。


膨大なエネルギーの押し合いは、十数秒ほど続いた。

そして。



ズワォ!



「うおっ?!」

「くっ!」



二つのエネルギーは大爆発を起こした。

衝撃波が広がり、閃光が人々の目を覆う。


………この時。

ほんの一瞬であるが、脳にかかる負担からか、ブレードの意識が沈みかかった。


それが、彼の運命を分けた。



「うおおおーーーっ!!」



そこに、閃光の向こうから飛び込んで来たのは、レーヴァテインを構えたスカイセイグリッター。


いつもなら、ここで迎撃が出来たのだろう。

だが、限界を超えて操縦を続けた今のブレードには、それができなかった。


一瞬だけ、反応ができなかった。



「終わりだぁぁっ!!」



その隙をつき、スカイセイグリッターはレーヴァテインに全ての力を込めて、横に振るった。


それは、ガイストパンドラーの腰に深々と突き刺さり、容赦なく叩き斬った。

金属の砕ける音とともに、スカイセイグリッターはガイストパンドラーを、上半身と下半身の真っ二つに斬り裂いた。


かつて味わった雪辱を、ようやく晴らしたのだ。


ドワォ!と、ガイストパンドラーの下半身が爆発を起こし、その衝撃で弾き飛ばされた上半身は、そのまま煙を吹きながら落下し、十里木高原の大地に叩きつけられた。



「あ………が………」



ガイストパンドラーのコックピットにて、ブレードは操縦席に突っ伏し、目を見開いて痙攣している。

鼻からは鼻血が流れ、目も充血している。


幸い、死にこそ及ばなかったが、これ以上の操縦は不可能だろう。



「はぁ………はぁ………」



戦いを終え、地上に降り立つスカイセイグリッター。


対するスカイセイグリッターも、無傷とは言えない。


ボディの装甲を切り裂かれたというのもあるが、ガイストパンドラーのスピードやパワーに追い付く為に、無茶な機動やエネルギーの出力を続けたのだ。

機体の各部が、負担でボロボロだ。


おまけに、響を助ける為とはいえ、シャルル自らの素顔を世界に晒してしまった。


被ったダメージは、決して少なくない。


だがこの瞬間は。

せめてこの瞬間だけは、勝利に酔ってもバチは当たるまい。



「………僕の、勝ちだ」



動かなくなったガイストパンドラーを前に、シャルルはそう呟いた。

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