彼女のことを知りたくて
10月に入り、クラスで行う文化祭の催し物を決めることになった。
文化祭は毎年11月の中旬頃に開催される。
縁日やお化け屋敷、メイド喫茶の候補が上がった。
投票の結果、3年3組はメイド喫茶をやることになった。
文化祭実行委員がメイドやキッチン、内装担当などの役割を黒板に書く。
「大野君は何の係やる?」
佐々木さんに突然話しかけられて、僕の心臓は飛び跳ねた。
どうにか平静を装う。
「どうしようかな、キッチンがいいかな」
「えー、メイドやらないの?大野君がメイド服を着ている姿、ちょっと見て見たかったな」
佐々木さんがいたずらげに笑う。
その姿にドキッとする。
こんな佐々木さん初めて見た。
彼女のことをもっと知りたい。
そんな思いで僕の頭の中はいっぱいだった。
「僕はいいかな」
佐々木さんに僕の気持ちを知られたくなくて、少し素っ気なく返してしまった。
慌ててフォローをする。
「佐々木さんは何をやるの?」
「じゃあ、私メイドやろうかな」
そう言われて、佐々木さんがメイド服を着た姿を想像する。
佐々木さんがメイド役。
やばい、可愛すぎるでしょ。
「ちょっと、大野君。今笑ったよね?」
佐々木さんの言葉に僕の脳内を見られた気がして焦る。
「…いや、違くて、その…」
しどろもどろになり、僕は言葉を詰まらせる。
「冗談だよ、大野君慌てすぎ」
佐々木さんが三日月のような目で微笑む。
僕は彼女のコロコロと変わる表情に夢中になっていた。




