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僕の記憶の中の君と、また会える日まで  作者: 川桜あめ


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席替え

夏休みが終わって、席替えが行われた。

くじ引きの結果、僕は一番前の席で少し落ち込む。

立ち上がり、自分の机と椅子を持って移動すると僕の新しい席の隣には髪を高く結んだ女子が座っていた。

僕の視線に気づいたのか彼女は振り返って、僕の目をまっすぐと見ながら爽やかな笑顔を浮かべて言った。

「これからよろしくね」

僕は少し驚く。

「…うん、よろしく」

目が合って気まずかった僕は少し視線を逸らしながら言った。

これが佐々木さんとの初めての会話だった。


その日の放課後は部活がなく、啓介と渉と一緒に帰った。

「そういえば今日の席替え、文哉は一番前の席にいたよな。目立つ場所だったからすぐに分かった」

三人で横並びに歩いている中、啓介が僕の顔を見ながら言う。

「うん、一番前の席になっちゃった。授業で先生に当てられやすそうだからちょっと嫌だな」

「でも隣の席、確か佐々木さんだったよな、いいな。俺、このクラスになった時から話してみたいと思っていたんだよね」

渉の突然の言動に少し驚く。

「おい、よせよ。佐々木さん近くに歩いているかもしれないだろ。聞かれたらどうするんだよ」

啓介が少し慌てて渉に言う。

「別にどうもしないよ。密かにいいなって思っていたんだよね。佐々木さんの隣の席になりたかったな。文哉が羨ましい」

羨ましいって言われても。

別に僕は佐々木さんのこと何とも思ってないし。

そもそも、まだ先程の一回しか話していないからどんな人なのか分からない。

相槌に困るなと思っていると、啓介が口を開く。

「渉、そんなに佐々木さんのこと好きだったのかよ」

「いや、好きまではいっていないけれど」

渉が少し頬を赤らめながら答える。

渉がこんな表情をしているのを見たのは初めてだ。

渉も啓介もクラスのムードメーカーまではいかないけれど、男女問わず話せるタイプだ。

その二人に比べて僕はあまり目立つタイプではない。

「てか、文哉はいないの?気になる女子的な」

渉に突然聞かれて僕は少しびっくりする。

気になる女子って?

可愛いと思う女子は今までに何人かいたことがあるが、目の保養に過ぎなかった。

だから遠くから眺めていれば十分で、渉みたいにその子と話してみたいとか近づきたいとかそういう感情が芽生えたことはない。

でも、そんなこと言ったら引かれるかな。

僕の周りの生徒はみんな彼女が欲しいとか好きな人がいるとかよく言っている。

しかし、かわいいと思うけれど好きとは思わないと言っている人は聞いたことがない。

実際に今はバスケのことしか考えていない僕はかわいいと思う人がいないわけだし、正直にいないと言おう。

「…いないかな」

「そっか、まあ文哉は女子とかあんまり興味なさそうだよな」

「確かに文哉が女子に夢中になっているの、想像つかないかも」

渉と啓介が相槌を打つ。

「今はバスケのことで頭がいっぱいだし、恋は大学生になってからでいいかな」

「文哉はバスケが大好きだもんな、部活の後に一人で残って練習しているの見ていたら分かるよ。俺がこの前、体育館に水筒忘れて取りに行った時、結構遅い時間だったのにまだ練習していたもんな」

啓介が納得したように言う。

「まじか、あんまり無理するなよ。でも文哉、恋はしたいと思っても簡単にできるものじゃないよ。できないことの方が多いわけだし」

渉がにこやかに言う。

その時の僕には渉の言っていることがよく分からなかった。


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