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僕の記憶の中の君と、また会える日まで  作者: 川桜あめ


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18/19

待ちに待った日

同窓会当日。

僕はこの日のためにスーツとネクタイを新調した。

高校の時から変わっていないマッシュの髪形は、美容院に行って整えてもらった。

全ては佐々木さんに少しでもかっこいいと思ってもらいたいからである。


僕が同窓会会場であるイタリアンレストランに着くと、既にお店の前は多くの人で賑わっていた。

僕は一人でお店に入る。

その時、渉が目の前にいた。

「よう、久しぶり」

「久ぶ…」

「久しぶり」

渉に声を掛けられた気がして僕がそう言いかけた時、後ろから声が聞こえた。

振り返ると、淳太が立って渉に返していた。

なんだ、淳太に言ったのか。

確かに渉を含めバスケ部員とは、バスケの最後の大会の前日からずっと口を利いていないし僕に話しかけるわけないか。

そう思いながらも、勘違いをして返事をしてしまった自分が恥ずかしくなる。

言いかけた僕の言葉に気が付いたのか、渉が僕を見る。

僕がその視線に気が付き、渉を見ると彼は目を横に逸らした。

そして、渉と淳太は話しながら歩いて行った。

僕も二人と少し距離を保ちながら、歩く。


会場にはたくさんの料理とお酒が並べてあり、賑やかな話し声で包まれていた。

僕はお酒と料理を持ち、佐々木さんの姿を探す。

しかし、佐々木さんの姿は見当たらない。

それでも必死に探し、歩き回る。

会場には50人くらいの人がいた。

開催者がみんなの前に立ち、マイクを使って話し始める。

賑やかだった会場が急に静まり返る。

「本日は沢山の方にお集まりいただき、誠にありがとうございます。せっかくなので、集合写真でも撮りましょう。僕が今立っている場所に来ていただきたいです」

その言葉に多くの人が集まり、4列くらいに並びだす。

開催者が近くに立っていたお店のスタッフの人に写真撮影をお願いし、スマートフォンを渡す。

開催者も列に入る。

「では、いきます。ハイ、チーズ」

お店の人がスマートフォンを構えて、写真を撮る。

「ありがとうございます」

開催者がお店の人からスマートフォンを受け取る。

「では、後でグループLINEを作って共有するので皆さんあとは個々に楽しんでいってください」

開催者が再びマイクを使って話し終わると、電源を切って近くのテーブルにマイクを置く。

会場がにぎやかな声に包まれる。


一人の男性が開催者に話しかける。

「最初からグループLINE作ってほしかった。そうしたら、誰が参加するか分かっていたのに。今日、5年ぶりに高校3年生の時に好きだった陽菜ちゃんに会えることを楽しみにしてきたのにいないみたいなんだよね」

「確かにそうだよな、ごめん。でも、俺さっき、陽菜ちゃん見たよ」

「まじか、え、どこにいるんだろう…あ、いた」

その男性は陽菜ちゃんという女性の姿を見つけると、目を輝かせて彼女に近寄っていく。

僕はその様子を羨ましいと思いながら見ていた。



結局、僕は佐々木さんの姿を見つけることができないまま同窓会は終了した。

誰にも話しかけられることも話しかけることもなかった。

僕の気持ちは沈んでいた。

もうこれで、本当に佐々木さんにまた会えることはなくなったんだ。

もう、彼女と話すことも笑顔を見ることもできない。

大人になった彼女を見てみたかった。

僕の記憶の中にしか彼女はいない。

そう思うと、胸の奥が締め付けられて呼吸が乱れる。


今の気分を変えたくて、同窓会の帰り道に僕は行きつけの喫茶店に寄った。

喫茶店に入ると、今日は休日だからかいつもよりもにぎやかで人が多い。

「いらっしゃいませ。あ、君。で、同窓会はどうだったかい?」

マスターは僕を見ると、小声で僕に尋ねる。

「それが、彼女来ていなくて…えっ」


僕はマスターに返事をしながら店内を見渡すと、そこには佐々木さんがいた。

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