彼女との再会に期待して
翌日、仕事が終わり僕は居酒屋に向かった。
今日は中学時代の友達、遥人と会う約束をしている。
半年に1回は会っていて、一番話しやすくて気を許している友達だ。
居酒屋に着き中に入ると、既に遥人はビールを飲みテーブルに置いてある枝豆に絵を伸ばしていた。
「よう、文哉。こっちこっち」
遥人に手招きされ、僕は遥人の真向かいの席に腰掛ける。
「文哉も何か頼みな」
遥人はそう言い、メニュー表を僕に見せる。
「そうだな、とん平焼きがいいかな。あと、生ビール」
「おう。すみません、とん平焼きと生ビール一つずつお願いします」
遥人が手を挙げて、店員さんを呼び注文してくれる。
遥人は頼りになって面倒見が良いタイプだ。
「で、どうなんだ?最近は。彼女できた?」
「いや、僕には佐々木さんがいるから」
「遂に再会して付き合ったの?」
遥人の真剣な眼差しに少し焦る。
「そうじゃなくて、心の中に。僕の心の中には佐々木さんがいるから他の人は興味ないよ」
「相変わらず、文哉は佐々木さん一筋だな。文哉のまっすぐな思いを佐々木さんに知ってもらいたい」
遥人はにこやかに笑う。
「連絡先とか知らないの?」
「一応LINE持っているけれど、全然やり取りしたことないしなんか今更するのも気まずいな」
「そんなこと言ってたら他の人に取られちゃうよ、いいの?」
「それは嫌だけれど、実は近々白崎高校の同窓会が開催されることになったんだよね。だから自然に再会してまた話せたらいいなって思って」
「なんだ、そうなのか。もっと早く言ってよ」
遥人が安心したように僕を見つめると、ビールを飲む。
「でも、良かった。文哉は一途だけれどちょっと一途すぎるから、いつまでも佐々木さんのことを思い続けて良い出会い逃しちゃうんじゃないかって少し心配だったから。でも、また彼女と会えるなら安心した」
「大げさだよ、まだ23歳だよ。でも、ありがとう」
「月日なんてあっという間に過ぎていくじゃん。気付いた時には佐々木さん以外の女性は興味湧かないまま年を取っていたなんていうこと文哉ならありそうだから」
「お待たせしました。とん平焼きと生ビールになります」
店員さんが僕たちのテーブルの横に来てそう言うと、とん平焼きと生ビールをテーブルに置く。
「ありがとうございます」
僕が店員さんにそう言うのと同時に、遥人が口を開く。
「で、佐々木さんは同窓会に来るんだよね?」
「それが、主催者の人が同窓会に参加する人のグループLINEを作ってくれそうにないから行かないと分からないんだよね。参加するなら主催者の人に直接LINEするみたいだからその人に昨日LINEした」
「そっか、でも佐々木さんと再会できるチャンスだな。よかったじゃん。で、前に渡しそびれた手紙持って行くの?」
遥人は前かがみになり、テーブルから身を乗り出す。
「いや、それが捨てちゃったんだよね。だから今の自分の言葉で伝えたいなって思って」
「5年ぶりに会って急に告白とかは気が早いぞ。ちゃんと段階踏まないと」
「分かってるよ。佐々木さんと高校の時の話ができて彼女の笑っている姿を見れたらいいな」
「もうちょっと踏み込んでいいんじゃない?デートに誘うとか」
「じゃあ、佐々木さん前にキムチ鍋が好きって言ってたからいい感じに話が弾んだら思い切って誘ってみようかな」
「お、いいじゃん。頑張れよ」
「うん、ありがとう」
そう言うと、僕は生ビールを口に入れた。




