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僕の記憶の中の君と、また会える日まで  作者: 川桜あめ


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14/19

悲しみの先

「白崎高校ファイト」

「頑張れ」

試合会場はたくさんの人の声援で溢れている。

僕は部員から一度もパスをもらえずにいた。

それでも諦めずにバスケのコート内を走り続け、パスをもらおうと合図を出す。

しかし、僕のことが見えていないかのように部員たちは僕にパスを出すことはなかった。

「淳太、頼んだ」

啓介がゴール下にいる淳太にパスを出す。

「おっけ」

軽やかな足取りで淳太がゴールを決める。

歓声が沸き起こる。

「さすが淳太」

「ナイス」


そして、僕は一度もパスをもらえないまま試合は終了した。

最後の大会はあっけなく終わってしまった。

しかし、相手チームに一点差をつけて白崎高校が初めて優勝をした。

「やっと優勝だ、やった」

恒平が嬉しそうに笑いながらそう言う。

「今までで一番良い試合だったな」

「最後の大会、優勝できて本当に嬉しい」

「やったな」

淳太、啓介、渉も嬉しそうに笑みを浮かべながらそう言う。

僕は何も言うことができなかった。

優勝をしたと言っても僕はボールに触っていないから、いないのと同然である。

最初から最後まで一度も僕は部員からパスをもらえることはなかった。

今まで練習してきたのは無意味だったのか。

一度もボールを触れなかった、それがとても悔しかった。

それと同じくらい、その姿を佐々木さんに見られていたことが恥ずかしかった。

涙で視界が霞むが、誰にも気づかれないように腕で涙をそっと拭う。


「今日、この後時間ある?ラーメンでも食べに行こうぜ、この4人で」

啓介がそう言う。

「いいな、行こうぜ」

「行こう、めっちゃお腹空いた」

「俺も」

僕は、前回の大会でミスをした時に気分転換に啓介にラーメンを食べに行こうと誘われたのを思い出す。

しかし、もう啓介が僕に誘ってくれることはなかった。

僕は4人の話す姿を後ろからぼんやりと見つめる。

4人は体育館を出て行った。


「文哉君、お疲れ」

僕が4人と距離を保ちながら歩いていると、佐々木さんに後ろから声を掛けられた。

「…うん、ありがとう」

僕は後ろを振り返り、一瞬だけ佐々木さんを見るがすぐに前を向いて足早に歩き出す。

こんなかっこ悪い姿を佐々木さんに見られたくなかった。

正直、どんな顔をして佐々木さんと話せばいいかが僕は分からなかった。

「ちょっと文哉君、歩くスピードいつもよりも早くない?」

佐々木さんの声に僕は後ろを振り返り、立ち止まる。

佐々木さんが僕に追いつく。

「…ごめん。今日、疲れたから家に帰って休みたくて」

佐々木さんに合わせる顔がなくて、うつむきながらそう言う。

僕は一刻も早くこの場を去りたかった。

「そっか、疲れたよね。じゃあ、私も家に帰ろうかな」

「今日は試合の応援、観に来てくれてありがとう」

僕は早口にそう言う。

「ううん、ゆっくり休んでね」

「うん、ありがとう。じゃあ」

僕は体育館を出て足早にまた歩き出した。

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