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僕の記憶の中の君と、また会える日まで  作者: 川桜あめ


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10/19

何かがおかしい

文化祭が終わり、通常の日々に戻った。

僕は朝、一人で登校し教室に入る。

教室にはまだ数人しかいないが、周囲は話していて賑やかである。

僕は黙々と自分の席に着く。

カバンから筆記用具を取り出していると佐々木さんが教室に入る。

自分の席に着き、僕に声をかける。


「大野君、おはよう」

「おはよう」

僕が佐々木さんの方を見ると、彼女もにこやかに僕を見る。

「文化祭、すごく盛り上がったね。楽しかった」

佐々木さんと写真を撮ってLINEも交換できたから嬉しかったが、一人で文化祭を周ったから楽しくはなかった。

それでも、作り笑いをしてどうにか話を合わせる。

「…楽しかったね。あっという間だった」

「3年1組でやっていたお化け屋敷行った?最後に貞子が追いかけてきてハラハラドキドキしたけど楽しかったんだよ」

「佐々木さんはお化け屋敷が好きなんだね。僕は行っていないかな」

「うん、なんか怖いってわかっているんだけどつい気になって入っちゃう」

佐々木さんが楽しそうに話す。

僕はその姿に目が離せなくなる。

「大野君はお化け屋敷、あまり得意じゃない?」

そう聞かれて少し焦る。


正直、お化け屋敷に入るのは結構勇気がいるから苦手だ。

驚かせる側ならいいけど。

でも、そんなことを言ったらカッコ悪いと思われるかな。

僕は慌てて話題を変える。

「…そんなことないよ。そういえば、吹奏楽部の演奏見に行ったよ。迫力あってすごかった」

「見に来てくれたんだ、嬉しい」

佐々木さんが目を大きく見開き笑う。

吹奏楽部の演奏がすごかったのは本当だが、同時に話題が変わって良かったと僕は安心する。


その時、教室に入ろうとする啓介と渉の姿が視界に入る。

僕は渉と目が合ったが、すぐに目を逸らされた。

渉は啓介に何かを話し、二人は教室に入る。

啓介は自分の席に着き、渉は僕の前の席に来て言う。

「おはよう、文哉。悪いんだけど数学の問題を教えてくれないか?小テストやばくて」

予想外の渉の発言に僕は固まる。

それでも必死に僕は平静を装う。

「…いいけど、小テストって来週じゃなかったっけ?」

「そうだけど、早めに理解した方がいいかなって思って。頼む」

渉の態度はいつも通りだった。

少し安心して僕は言う。

「分かった。どの辺が分からないの?」

僕は席を立ち上がり、僕と渉は渉の席に向かった。

渉が自分の席に座り、数学の教科書とノートをカバンから取り出す。

僕は渉の横に立ち、しゃがむ。

その時、啓介がこちらを見ていた。


不思議に思いながらも、渉に問題を教えて席に戻ろうとする。

自分の席の前まで来たところで、啓介が近寄ってきて僕に言う。

「文哉、おはよう。実は俺も数学で教えてもらいたい問題があっていいかな?」

渉も啓介も朝から勉強を教えてほしいだなんて、二人ともどうしたんだろう。

いつもはそんなことを言わないのに。

啓介も渉と同様、普段と同じテンションだった。

文化祭の時は何だったのか疑問に思いながらも僕は答える。

「…いいけど、どうしたの?二人とも急に朝から勉強だなんて」

「ま、まあ、文化祭も終わったし、そろそろ受験も控えているし、本格的に勉強しないとなって思って」

啓介が少し慌ててそう言う。

「なるほど」

僕が相槌を打つと、僕と啓介は啓介の席に向かった。

そして渉の時と同様、数学の問題を教えた。


その日は普段通り授業が終わり、部活がなかったので啓介と渉と一緒に帰ろうとした。

しかし、二人の姿は見当たらなかった。

仕方なく、一人で学校を出て道を歩く。

夕方だというのに外は寒くて手足が震える。

少し前の方に、啓介と渉が話しながら歩いている姿が見えた。

追いかけて声をかける。

「お疲れ、なんでいつも一緒に帰っているのに置いていくんだよ」

僕は素直に聞いてみた。

「ごめん、今日ちょっと急いでいるんだよね。じゃあな」

渉が早口に言う。

「ちょっと待てよ、渉。悪い、文哉またな」

啓介も慌ててそう言うと、渉を追いかけて行ってしまった。


さっきまで二人で歩きながら話していたのに、急に僕が来たら慌てたように見えた。

もしかして、避けられている?

何かがおかしい。

そう思ったが、僕は二人に何も聞くことができなかった。

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