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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
この連載作品は未完結のまま約3ヶ月以上の間、更新されていません。

対岸の森、魔女の家

作者:伊藤暗号
プロローグ


「全然暇にならないじゃん!?」

 連続15連勤明けで、やっと家にたどり着いたばかりだと言うのに、風で撒き散らされた書類の山に、薬師のルリィ・オミナイは奇声をあげたい衝動をなんとか抑え、埒もない愚痴をこぼすだけに止めた。

「だからさっさとあんなヤツらなんざ見捨てて、好きな事だけして過ごそうって言ってるじゃ無いか」

 銀の鬣をキラキラとなびかせ、目を細めて風を全身に受けながら、散らばった書類は一瞥もせずに、ゲッコウがいつもの悪態をついた。

 久しぶりの帰宅で、家中の窓を全開にしたのがまずかった。
 ルリィは渋々腰を曲げ床に向かって手を伸ばす。

「ゲッコウったら。白い壁に『堕天使』って書きたくなるような事言わないでよ。ねえニコ」

「何それ? まったく。こんなんじゃ何のための《魔女の家》なのかわからないわ」

 ルリィの訳のわからない返答に、ここにきたら思う存分、このベルベットのような美しい毛並みをすいてくれると思っていたのに。と、ニコがペロペロと自分で毛繕いをしながら続けて文句を言う。
 そしてふたりそろってお決まりの呪文を唱えるのだ。

「「毎日美味しいものをたらふく食べさせてくれるって言ってたのに」」

 2頭の幻獣に金眼で睨まれ、ルリィは「ヴっ」と呻き机に突っ伏した。

「こんなに疲れてるのに、ふたりは私に料理させるんだ?」

 優しく無い。優しく無いよう。
 ルリィの嘆きも聞こえないふりをして、2頭は「さっさと飯を作れ」とキッチンへの移動を促す。

「アウルス様が全然休ませてくれないのが悪いんだよ?」

 ヨボヨボと書類を拾うルリィに、2頭はそれでも追い打ちをかける。

「「お腹が減った!」」

「私も減ってるよ!?」

 床に散らばった書類をそのままに、ルリィは気力を振り絞ってキッチンへ向かう。

 ここは《魔領域》。[帰らずの森]にある《魔女の家》。
 それは、神秘の魔力で護られ、悪意外敵を拒み、望む者が認められると招かれる、森の奥深くにある隠れ家で、《聖領域》で暮らす人間達にとっては、御伽話にもなっている憧れの終の住家。

 そこで夢のセカンドライフを送るはずだった[魔女の薬屋]を営む店主のルリィは、なぜか2頭の幻獣の腹を満たすため、今日も突然の依頼で減ってしまった大量のポーションを作る傍ら、すき焼きとプリンを作るのだった。
第一章 〜魔女の薬屋へようこそ〜
魔女の家と来客
2024/03/22 06:00
カズル村の様子
2024/03/24 06:00
カズル村の子
2024/03/31 06:00
カズル村での夜
2024/04/07 06:00
カズル村の朝
2024/04/28 06:00
第二章 〜対岸の森〜
貴族達の談合
2025/03/22 06:00
対岸の森 1
2025/03/29 06:00
対岸の森 2
2025/04/05 06:00
対岸の森 3
2025/04/12 06:00
対岸の森 4
2025/04/19 06:00
対岸の森 5
2025/04/26 06:00
対岸の森 6
2025/05/03 06:00
対岸の森 7
2025/05/10 06:00
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