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死して八年、デスナイトとして蘇る。――この食い荒らされた世を切り裂き、狂った因果に復讐を  作者: Tiny Abomination in a Jar


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将軍の独白(チェリサの視点)

どのような心境と言えばいいのだろう。


俺は残された片眼で、ソクが実の甥の手にかかり、裂け目の深淵へと堕ちてゆくのを見届けていた。奴の命を幾度も奪ったあの黒い棍棒が、今どこに転がっているのか。奴の底知れぬ野望もろとも、暗闇に呑み込まれてしまったのだろう。


彼は、俺の無二の親友であったサルマンの兄であり、俺が若き日に仰ぎ、心から敬慕した大カガンの息子でもあった。


この死力を尽くした戦いの果て、一体誰が真の勝者と言えるのか。ただ玉座に座り続ける者だけが、勝者なのか。


大カガンよ。もし貴公が、かつて下した決断がこれほどの骨肉の争い、国土荒廃の結末を招くと知っていたなら、それでもなおソクに大位を継がせたか?


あの頃の我々は、一体どんなだったか。


……ああ、思い出す。あの時、俺にはまだ両眼があり、両腕は健在で、抑えきれぬ剛力に満ちあふれていた。長槍より双刀を好み、左右から獲物も敵も、跡形もなく斬り伏せていたものだ。


ソク様は、常に重厚な黒い棍棒を振るっていた。鈍く重い響きと共に、一撃で魂を断つ死神の杖だ。戦となれば、必ず陣頭に立った。彼が前にいる限り、我々に敗北はあり得ないと、誰もが信じていた。


一方、サルマン様は軍帳に籠り、砂盤の上で千里の先を制していた。独り、幾度も推演を繰り返す。「勝ち筋は見えている。だが、いかにして勝つか。それこそが肝心なのだ」と。


無数の演算。全ては、最小の犠牲と消耗のため。


彼は母親譲りの穏やかな面差しをしていた。大カガンのような苛烈さは微塵もなく、常に微笑み、目に映る全ての者に慈愛を注いでいた。あのような方が、民から慕われぬはずがなかった。


俺は、あの兄弟から多くを学んだ。


元より才があったのか、それともサルマン様の傍らに長くいて感化されたのか、いつの間にか配下を労わることを覚え、凶暴さの中に計算を潜ませるようになっていた。もはや蛮力だけの男ではなかった。やがて我々は「天の果て」の地で、義兄弟の契りを結んだ。


その翌年の春。狩猟の途上、我々は百年に一度と言われる「凌汛」——氾濫洪水に遭遇した。


伝説では、滄江の水は天より授かり、ガル・マラカを潤し、民を護るとされる。だが現実は、そんな詩情とはかけ離れていた。木々はおろか草すら食い尽くされ、泥を啜って飢えを凌ぐ者さえいた。見渡す限り、果てしない荒蕪地が広がるだけだ。


堆積する氷塊、解けゆく永久凍土。それらが引き起こすのは、万物を押し流す土石流だった。


サルマン様とソク様は、共に決断した。如何なる犠牲を払ってでも民を避難させ、財産と家畜を護ると。


だが、その具体策において、両者の違いは決定的になった。


ソク様は、土石流で下層区を水没させるべきだと主張した。水が引けば、新たな肥沃な土壌が残る。長い目で見れば、部族の利益になると。代償? 家屋が流される程度のことだ、と。


サルマン様は、断固として反対した。


下層の民といえど、長年上層に仕えてきた者たちだ。何より、軍の多くの兵は彼らの中から出ている。その心を凍りつかせてはならない。それに、泥水が都合よく土地を肥やす保証などどこにもない。もし水が溜まり、堰止湖となれば、六月には淀んだ青い湖が広がるだけだ。そうなれば、我々は日夜、決壊の恐怖に怯えながら生きねばならない。


彼は、村落の周囲に溝を掘り、水を導くことを主張した。だが、狂ったように渦巻く濁流を、そんな付け焼刃の溝が捌けるはずもなかった。


最終的に採られた策は、村落の手前に区域を定め、爆破で巨大な暗渠を穿つこと。


残された時間は、七十二時間だけ。


空は重苦しい曇天に覆われていた。ガル・マラカは連日の雨に見舞われ、雪と雨が入り混じり、地に落ちれば最早区別もつかない。凌汛、水害、土石流……三重の災厄が、我々の頭上に迫っていた。


サルマン様は単身「バラックザー」へ赴き、ドワーフに救援を請うた。


当時、ドワーフとオークの関係は、まだここまで冷え切ってはいなかった。凌汛の異変を知ったドワーフは、直ちに支援を承諾した。ガル・マラカが潰えれば、次は自分たちの番だからだ。


「オークを救うは、己を救うなり」


それが、当時の合言葉となった。


そして俺は、セイレーンを訪れ、潮汐の力を借りるべく奔走した。


遂に、ドワーフが連れてきたエルフが防護の障壁を張り、押し寄せる奔流を食い止めた。セイレーンは潮汐を操り、溢れた水を海へと導いた。


四つの種族が肩を並べた、奇跡のような勝利だった。


水が引いた後には、深い泥と、無残に膨れ上がった水死体だけが残された。


我々は、命を落としたオークの兵士とドワーフの工匠を一人一人弔い、その名を石碑に刻んだ。ガル・マラカとバラックザーの境界に、それらの石が山脈のように永遠に在り続けることを願って。


大カガンはその報告を聞き、何も語らなかった。ただ、それ以来、サルマン様を以前にも増して重用するようになった。


誰もが、次代の大カガンはサルマン様だと、疑いようもなく信じていた。


しかし、最終的に玉座に就いたのは、ソク様だった。


俺は長い間、その理由が理解できずにいた。


だが、サカン——いや、エフェの決意を聞いた今、ようやく当時の大カガンの真意が見えたような気がする。


王道とは、我々臣下が安易に推し量れるものではない。たとえ義兄弟の間柄であってもだ。


あの座に必要なのは、「何を為したいか」ではなく、「決断を下し得るか」なのだ。


サルマン様は、優しすぎた。何一つ、切り捨てることができなかった。一度や二度、いや幾度でも奇跡を起こせただろう。だが、いつの日か、民族の存続のために誰かを犠牲にせねばならぬ時、果たして彼は非情になれただろうか。この世に、魚と熊の掌を常に兼ね備える道など、存在しないのだ。


ソク様は違った。


彼は「誤りを犯すこと」を恐れず、その報いをも引き受ける覚悟があった。下層区が水没しようと、オークの千年の伝統が盤石である限り、大局は揺るがない。それこそが、彼の決断を支える胆力の源だった。


今のミン、そしてサカン…… いや、これからはエフェ・カガンと呼ばねばなるまい。


彼は、その古臭い伝統そのものを打ち壊そうとしている。サルマン様でさえ成し得なかった道を、切り開こうとしているのだ。


どうか、この老いた体が、カガンの傍らにいさせてもらえる時間が、まだ少しばかり残されていますように。


かつて夢見た、真に美しき未来を、この残された片眼で見届けるその日まで。

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