表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死して八年、デスナイトとして蘇る。――この食い荒らされた世を切り裂き、狂った因果に復讐を  作者: Tiny Abomination in a Jar


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

75/101

ネームレス

審判などなかった。

NO.133。俺の名は剥奪され、その数字へと置き換えられた。刻影石に向かい、俺がこの世に存在したという最後の証明を虚しく残す。それから俺は昇降井リフトへと踏み込んだ。山体を垂直に貫くその穴は、四九〇〇メートルの高度を突き抜け、海底のさらに底へと直に刺さっている。垂直距離にして、およそ五二〇〇メートル。


俺はガル・マラカの地下監獄へと投じられた。

魔法の気配など、微塵も感じられない。それどころか、「生」と「死」の力も、何一つとして捉えることができないのだ。目を閉じても、そこに広がるのはただ空虚な無だ。背中の蓮華が微かな蛍光を放ち、そして力なく消えた。

一体、何が起きている。

俺は己の実力を過信していたらしい。あるいは――あのクソッタレな連邦が、最新の対魔法技術までもオークに売り飛ばしたというのか。

傍らの獄吏は慣れきった様子で、鼻で笑って首を振るだけだった。


「無駄な真似はやめな。ここで足掻いても死を待つだけだ」

他の囚人が、俺の様子を見て嘲笑を浮かべた。

「ああ、たまに保釈される奴もいる。十分な金があればな。だがそれは『名前』を持つ連中への特権だ。NO.133? 無銘ネームレスか。俺はNO.79だ。お前と同じ、名前を奪われた男さ」


俺は彼に軽く頷きを返した。

我々の一団が監獄内部へと入り、壁灯が消された瞬間、肌を刺したのは陰冷な湿気と、反吐が出るような蒸し暑さだった。不快極まりない。この環境は人を急速に苛立たせる。俺でさえ、後悔の念が脳裏をかすめた。

――いっそ、囚車の中で檻を破壊し、あの犬の糞どもを皆殺しにしていれば。

連中が口にしていた「可汗カガン」と直接相まみえるつもりだったが、どうやら本当に足元を掬われたらしい。


五分が過ぎたか、あるいは三十分か。時間の境界が曖昧になり、感覚が狂い始める。

誰かが泣き声を漏らした。直後、爆発的な嘲笑が響き渡る。

泣いている男は震える声で、自分はここに入るべき人間ではない、冤罪だ、と繰り返していた。

周囲の笑い声がさらに大きくなる。


「おい、NO.79! あのデブが泣きやがったぞ。お前が賭けてたあっちの小僧は、一言も発しねえな。俺のタバコ三パック、忘れるんじゃねえぞ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ