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その八十八
ピーチオーレ帝国の王子がメカメトロンに捕まっているところは、ぼた餅国である。
和泉さんが戦艦の操縦士にそれを伝えると、戦艦はワープをおこない、あっという間に目的地に到着した。
戦艦に乗っているのはピーチオーレの軍の方々とぼくと和泉さんとアンダーソンさんである。
シャミーは、
「わたし正社員だから」
という自負により親父の事務所に出勤していた。
「はい、シャミー、お弁当」
「オムライス?」
「うん。これ新しい弁当箱な」
「本当だ」
「サーモスって、エイモスとかマンモスに似てるから、きっといいぞ」
「ありがとう」
竹膳さんは現場でわれわれを待っていた。和泉さんやアンダーソンさんに名刺を渡してさっそく営業している。
「あそこに突っ立ってるでしょ」
「うわっ、やっぱりデカいですね」
軍の方々は超ふわふわのクッションを用意していた。王子がメカメトロンの手から落下してしまっても、あれを下に敷いておけばまず大丈夫だろう。
「新倉様、では、そろそろお願いいたします」
戦艦の艦長がぼくにこういった。
「わかりました」
ぼくは笛を構える。
「ピンクスネーク・カモン」
例によってリコーダーをデタラメに吹くと、ピンクスネークは壺からにょろにょろ出てきた。
「プリーズ縛り付け」
ピンクスネークはメカメトロンのほうに、にょろにょろ這っていく。
「ピンクスネーク、長すぎ!」
竹膳さんはおどろいていた。五百メートルほど先のメカメトロンの足元に着いてもまだ壺から胴体は全部出ていなかったのだ。
ピンクスネークはメカメトロンのからだに静かににゅるにゅる巻き付いていった。そして徐々に締め付けていく。
「ピンクスネーク、強すぎ!」
こちらは艦長の感想である。やがてメカメトロンはまったく身動きが取れなくなった。軍の方々が王子の下に超ふわふわクッションを敷く。これを確認したピンクスネークは自身の舌をも使ったりしながら締め付けの強度と位置を調節する。
「あっ」
すると、メカメトロンは握っていた王子を離した。王子は無事に超ふわふわクッションに落下した。軍の方々に抱えられながら、こちらにやってくる。
「千鶴、ひさしぶり」
「王子ひどい」
和泉さんは王子の耳たぶを引っ張っていた。
さて、問題はここからである。メカメトロンをどう廃棄するか……。
「なにかいい方法みつかりましたか」
百科事典をみているアンダーソンさんにぼくはきく。
「ええ、みつかりました」
「マ・シェール!」
「わたしはキャオ!」
「どんな方法?」
「自爆です」
ピンクスネークに自爆させれば、メカメトロンなどは粉々になってしまうという。
「うーむ……」
しかし……である。ピンクスネークはこれほど高度なサブミッションを使いこなせるのである。そんなピンクスネークを死なせてしまうのは、あまりにも残念な気がする。
とりあえず仲麻呂に確認する。
「どうしても廃棄しなくちゃダメですか」
「メカメトロンを生かしておくと、さらに被害は増える。廃棄するのは人類のためだ」
わたくしジュジュマン兼ジュクジュクマンは決断した。愛と平和のためである。背に腹は代えられない。
「プリーズ自爆」
ぼくはリコーダーをデタラメに吹いた。
ピンクスネークの超長々のからだは稲妻のようにビカビカッと光った。メカメトロンはその場で砂粒のように粉々になった。




