↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
85/91

85


      その八十五


 そばを食べ終えると、愛しの愛さんは、


「ごちそうさま」


 と帰っていった。入れ替わるように今度は和泉さんがチャイムを押す。


「あれ、行かなかったんですか、田上温泉旅館」


「行ってきました。でも王子はもうあの旅館をチェックアウトしてしまっていたので、帰ってきたんです」


「そうでしたか」


 きょうの和泉さんは三輪バイクである。これで島から帰ってきたのか、きのうのクルマはどうなったのかは謎である。


「あの絵画を描いた方にお会いしたいのですが」


「戸賀先輩の製作所にだいたいいますよ」


「その方、お名前はなんていいましたっけ」


「笠戸さん。いまメール入れておきますね」


「すみません」


 和泉さんは戸賀先輩のところへ向かった。


「しかし王子はなにやってんだろ――めっちゃ風来坊だな」


 さて、仕切り直しである。ぼくは押入れから「四十路の女たち」を出して、またぞろ鑑賞する。


「ごめんくださーい」


「あれ」


 またまた来客である。玄関を開けるとアンダーソンさんであった。


「皇帝だいじょうぶだったんですか?」


「それが仮病だったんです。ご公務さぼりたかったみたい」


 アンダーソンさんはモデルの春代さんにお金を渡すとのことだった。


「いまどこにいるか、確認してみましょうか」


「お願いします」


 電話してみると、春代さんはやはりピカチュー邸にいた。


「あいつ、絵描くことだけは真面目だからな」


「創作、進めてくれてるようね」


 普段ぼくのように歩くことを心がけているアンダーソンさんは徒歩でピカチュー邸に向かった。


「おれもきょうは歩くか」


 目標は三時間越えウォーキングである。距離にすると十八キロである。歩きながら買い物も済ませる予定だ。オムライス用の鶏肉とたまねぎはぜったいわすれてはならない。


「まず買っちゃって冷蔵庫に入れてから、また歩こう」


 すこし遠かったが〈ハムレット〉に向かう。一つは歩行距離を稼ぐためである。そしてもう一つは試食スター氏がこのスーパーの鶏肉を褒めていたからである。


 道すがらにあった一度も入ったことのないホームセンターにまずは寄ってみる。ホームセンターにも酒を売っているところがあるからだ。


 しかしこのホームセンターは蔵シリーズは取り扱っていないようだった。缶チューハイの種類はぼちぼち多かったけれど、それ以外はとくに際立った特徴はない。調査は打ち切りである。


「あっ、そうだ」


 ぼくは「ランチジャーはどのあたりにありますか」と店員にたずねた。


 シャミー用の弁当箱である。サーモスのけっこういい感じのやつがあった。スマホで調べてみると、アマゾンでの販売価格とさして変わりはない。


「デカいやつのほうがいいだろ」


 ぼくはその保温弁当を購入した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。