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その六十九
四時間ほどでお開きにする。交互飲みに移行しないためである。
今回はタクシーを呼ぶことにした。こちらはシュゾンちゃんのためである。山城さんに同乗を頼む。
「金はおれが出しますよ」
ぼくは一万円札を山城さんに渡す。
「半分出しますよ」
「今回はいいですよ。焼酎も買ってきてもらったし」
「新倉さん、これ、もらっていいですか」
山城さんはきょうアンダーソンさんが買ってきてくれた「住乃井、生貯蔵酒」という二リットルパックの清酒を自分のリュックに詰めていた。
飲み会中、何度か山城さんはこの酒を飲んでは考え込んでいたのだ。
ぼくは、
「わたしも日本酒飲めるようになりたいなー」
といっていたシュゾンちゃんにも未開封の「蔵そだち」を一本あげることにした。
「おれが飲んでた『くらのすけ』と中身はおなじだから」
「そうなんですか」
「練習で飲んでみな」
「すいません」
やがてタクシーが来て、二人は帰っていった。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
さて、翌朝である。目覚めはすっきりである。きっと交互飲みをしなかったからであろう。
ブラックニッカの買い置きをやめれば交互飲みの可能性もなくなるわけだが、愛さんとか丸先輩とか何人かブラックニッカ党の人もいるので、ぼくはブラックニッカの四リットルペットボトルをいちおう常備しているのである。
「たまにおれも酒よりブラックニッカ飲みたいって日あるしな」
シュゾンちゃんは燃えよ剣と真田太平記だけはめちゃくちゃよく知っていると自負していて、おもしろい子だった。
そのシュゾンちゃんがつくった肉じゃがの残りで朝食を済ます。
肉じゃが、ご飯、みそ汁、しそ昆布、たくあん、梅干し、緑茶、そして青汁である。
食器や鍋を洗ったのちに洗濯物を干す。
洗濯機は朝食を取るまえにまわしていた。交互飲みをした場合、翌朝この順番が狂うことがある。今朝は順調である。
一段落したので、とりあえず愛さんにメールを送る。お父上のことをたずねるのである。しばらくすると愛さんからの返信が届いた。
お父上は無事抹茶オーレ帝国からもどられたようだ。シャミーも迎えに来たサンマルチノさんのクルマに素直に乗ったという。ひと安心である。マンモスボンジュールである。
山城さんからメールは来ていないが、これはたぶんまだ寝ているからだろう。
山城さんはよく寝る人なのである。本人いわく、いつでもどこでもすぐ眠れるということだ。シュゾンちゃんとはアドレスの交換をしなかったので、来るも何もない。
「さて、風呂掃除やっちゃおうかな」




