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その五十二
地元に無事生還すると、帰宅がてらにスーパーに寄った。
ちらし寿司の材料を買うためである。
アディダスの大きいバッグをお買い物カートの下段に乗せて鮮魚コーナーをまずは物色する。
「たまにはウニ、イクラの特別バージョンにしてやるか」
買い出しを済ませ、旧大伯母邸にもどる。
シャミーは不在だった。
まだ仕事をやっているのだろう。
買ってきた食パンでサンドイッチをつくり、黙々と食べる。
昼食である。
すこし食休みしたのちにウォーキングに出る。
公園で一時間ほど歩き、風呂にゆっくり入る。
風呂から出たら晩酌の用意である。
ウニイクラ共演の豪華版のちらし寿司をつくる。
湯豆腐も用意する。
あとはスーパーで買ってきたおつまみチーズと冷凍の枝豆でいいだろう。
五時すぎにシャミーは帰ってきた。
シャミーも風呂に入ってから晩酌をやるという。
風呂上がりにシャミーが着ていたパーカーは緑色であった。
髪もグリーン、瞳もグリーン、パジャマもグリーン、マグカップもグリーン、お通しは枝豆、グリーンざんまいである。
シャミーは向かいにすわった。
「シャミー、これ見てみろ」
「うん」
「なんか発見あるか?」
「ん? いつも飲んでるお酒でしょ」
「読んでみろ」
「蔵だより……あ!」
シャミーは「蔵だより」が三リットルパックであることに気づいた。
ぼくは抹茶オーレ帝国にエンセイしてきたこと、そこでサンマルチノさんにお会いしたことをざっと伝える。
「お父さんにあんまり心配かけんな。帰ってやれよ」
「だって、あっちはお肉もお魚も食べちゃダメなんだもん」
「こっちとあっちを行き来してもいいって、お父さんいってたぞ」
「でもいまは、やだ……」
「いつならいいんだ?」
「うーん……じゃあ春になったら」
「ぜったいだな」
「うん。またこのウチにもどってきていいでしょ」
「いいよ」
「だったら一回帰ります」
「それを手紙に書いてくれ。お父さんに渡すから。約束しちゃったんだよ」
「わかりました」
このようにシャミーは――まだ先の話ではあるが――一度祖国に帰ると約束してくれた。
説き伏せるのにもっと苦戦すると思っていたので、マンモス付きのひと安心である。
というわけで、ぼくはいよいよ「蔵だより」の三リットルパックを飲んでみる。
「まずは冷やだな」
「どう?」
「うーん……」
もよりのスーパーで買った二リットルパックの「蔵だより」もおなじく冷やで飲む。
「味ちがう?」
「うーん……」
「どう?」
「これも、やっぱりおなじだな」




