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その四十八
目覚めると、
「えっ、もうここ、そうなんですか」
すでに抹茶オーレ帝国に到着しているとのことだった。
喉がからからである。
「そうだ。ジンジャーエールもってきてたんだ」
アディダスの大きいバッグを開ける。
「キャオ」
すると、なかから例のロボット犬が顔を出してきた。
「いつ入ったんだろう――陽水のアルバム聴き込んでいたときかな……」
「あっ、ポチだ」
愛さんはそのロボット犬をひざのうえに乗せていた。
「知ってるんですか? このロボ犬」
「ええ。ちょっとだけウチにいたことがあるの」
「飼ってたんですか?」
「飼ってたというかね、やっぱりこんなふうに父のカバンにもぐり込んでたのよ」
お父上もロボット犬のあたまを撫でていた。
「このロボ犬はもともと抹茶オーレ帝国にいたんだよ」
「というと、抹茶オーレ帝国へエンセイしたその帰りに、こうやって、カバンにもぐり込んでいたわけですね」
「そうなんだ」
日本に来てしまったロボ犬はとりあえず秦野家に滞在した。
お父上はつぎのエンセイのときにロボ犬を連れていけばいいと思っていた。
しかし二、三日すると、このロボット犬はどこかにはぐれてしまったらしいのだ。
「GPSとかセンサーとか、そういうものの故障かなって思ってたのよ」
「たまにぼくのウチに来てたんですよ」
「まあどっちにしても、このロボ犬も結果的には故郷にもどれたんだから、よかったじゃないか」
「そうですね」
イナバ物置の出入り口を開けると、ロボット犬はおもてに飛び出して行った。
早く飼い主のところに行きたいのかもしれない。
日本のアイボなどよりも、おそらく高性能なのだろう。
ジンジャーエールを飲んだのちにわれわれもおもてに出る。
イナバ物置は宿泊するホテルの駐車場に着陸したとのことだった。
ホテルのロビーで待っていると、お父上が受付でホテルを三部屋取ってくれた。
やはり何度もエンセイしているので、慣れているようである。
「三千世さん、とりあえず外で何か食べよう」
「お父上、例の〝この世のことならなんでもできる神々の父氏〟に会うのは、いつなんですか?」
「あした。きょうはもう遅いから」
「わかりました」
「おとうさん、このあたりって、何かおいしいお店とかあるの?」
「じつはな、抹茶オーレ帝国には日本人のわれわれがうまいと思える食べ物は、なにもないんだよ」
「肉料理も魚料理も当然ないんでしょうしね」
「うん。水もよくない。イナバ物置に天然水買い置きしてあるから、それを飲むしかない」
「あまり長居はしたくないですね」
「雰囲気はちょっとフィンランドみたいだけどね。ねえおとうさん、それで食事どうするの?」
「すぐそこに一か所だけ、まあまあのレストランはあるんだ」
ぼくたちは歩いてすぐのそのレストランで軽く食事をし、そのあとホテルの部屋でおのおの就寝した。




