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その二十五
帰りに〈お気に召すままーと〉に寄る。買い出しである。補充である。
和泉さんに、
「よっちゃんイカ、どうする?」
ときくと返答に困っていたので、とりあえずこの駄菓子も二、三個買っておくことにした。
秦野家での飲み会にはまだまだ時間があった。だからまず三十分ほどジョギングをし、そしていつもより早い時間に入浴した。
「うーん、どれ着て行こうかな、このポロシャツにするか――これだったらポール・ウェラーふうといえなくもないからな」
水分補給したのちにテレビが置いてある部屋で横になっていると、
「新倉さん、これは何ですか?」
と和泉さんがきいてきた。テレビラックに入っていたゲーム機である。
「それはファミコン。ファミコンの互換機」
やり方をおしえると、和泉さんはけっこうおもしろがってスーパーマリオをやっていた。なんでもピーチオーレ帝国では家庭用のゲーム機はまったく流行っていないらしい。
「ゲームセンターはそれなりに流行ってますけど、わたし、入ったことないんですよ」
「おれも自発的にはゲームセンター行ったことないな」
「そうなんですか?」
「うん。そもそもゲーム好きじゃないから。下手だしね」
このファミコンの互換機は、数年まえに山城さんが御歳暮という名目でもってきたのである。ちなみにぼくは山城さんより防災頭巾をいただいたこともある。
「この部屋、防災頭巾、常備されてないじゃないですかぁ」
といきなり指摘して翌日手渡してきたのだ。手渡されたのちにかなり説教された記憶もある。
さて、こんなことをしゃべったりしていると、やがて約束している時間もちかづいてきた。和泉さんに、
「じゃあ、そろそろ出かけます」
といって家を出る。いよいよである。
「あっ、そうだ。家のカギ、こっちでもってていいかな。けっこう遅くなっちゃうと思うからさ」
「いいですよ」
秦野家にお邪魔するまえに〈お気に召すままーと〉にふたたび入って「くらのすけ」の二リットルパックを三本、ブラックニッカの四リットルペットボトルを一本買う。食べるものは出してくれるだろうから何も買わないことにする。
秦野家はスマホのアプリを使わなくてもわりとすんなりみつけることができた。方向音痴のぼくとしては上出来である。
表札と目印として教えられていた駐車場を占領しているイナバ物置を、
「間違いないな」
と確認したのちにインターホンを押す。
「はーい」
「あっ、新倉です」
愛さんはすぐ玄関を開けてくれた。
「ああ重かった。はい、これ日本酒、こっちウイスキー」
「こんなにたくさん――なんだかこれじゃ、わるいわ」
「イナバ物置目立つね」
「でしょー。あれがあるから、クルマの駐車場は月極で借りてるんだもん」
「お父さんは?」
「父はきょう、出てるの」
「まだ、帰ってきてないんだ」
「きょうは帰ってこないの」
「え」
「父は急遽、遠征することになったの」
「遠征……」
「うん。字は〝征〟のほうを〝星〟って書くエンセイだけど」




