表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/27

ひなた、美術館に不法侵入する

次の日の日曜日の午前中。

ひなたは町内の美術館『花南町美術館』へ下見に出かけた。

美術館は、期間限定の展示がされており、展示を目的にきた人々でガヤガヤしていた。

人々に混じる、ひなたの手にはフェアリーリングが手首についていなかった。

(フェアリーリングは?)

ひなたは、じっくりと美術品を眺めながら、昨日の出来事を思い出して考えていた。


昨日、お風呂に入って、お湯がフェアリーリングにかかったら、すぐにポロッと手首からとれたよね。フェアリーリングってお湯に弱いのかな?それにしても、こんなに人が多いとこでフェアリーリングが反応でもしようものなら大騒ぎになると思うし、置いてきて良かった。やっぱり、夜だけだと美術館の広さとか部屋の様子とかは、わかりづらかったかも。昼間に下見にきて正解だったな。


ひなたは入館者に混じりながら、フェアリーリングに反応しそうな美術品はどれだろうと、自分の勘に頼り、ふむふむと予想を立てていた。

そして、宝石のついた王冠の美術品を見始めた時に、誰かがひなたの左肩をトントンと叩いた。


ん?誰か肩叩いたよね。


ひなたが後ろを振り向くと、同じクラスの藤森蹴斗が立っていた。


藤森蹴斗。ひなたの通う英和学園小学校のバスケ部のキャプテンである。文武両道、アイドルのように顔立ちも良くて、バスケ部の試合や練習には藤森ファンの女の子がわいわい立ち見に並んでいる。ひなたは嫌いではないが、蹴斗がひなたに良く話しかけてくるので、それを好意に思わない藤森ファンにねちねちと絡まれる、その事が面倒なので適度に距離を離しているようにしている。


「桂木も、こういったの興味あるの?」

蹴斗は嬉しそうに、にこにこ顔で話しかけた。

ひなたは無愛想に言った。

「あんまり興味ないけどね。お父さんが古美術を扱ってる仕事だし、私も勉強しとこうかなって」


なーんて、藤森くんには悪いけど嘘なんだよ。フェアリーリングの事は言えないから、こうやってごまかすしかないよね。


「えらいな!さすが桂木だな」

「…あのさ、良かったらだけど、美術品見るの一緒に回らないか?」

蹴斗は照れくさそうにひなたを誘った。

ひなたは更に顔を無愛想にして言った。

「藤森くんと2人だけで、美術品を見ていたら勘違いされるよ。藤森くんファンに見つかったら、私が何言われるかわかんないよ」

ひなたは蹴斗に手を振った。

「はい、さようなら~」

蹴斗を冷たくあしらった。

「あれは、女子が勝手についてくるだけだよ。俺は桂木が…その…」

少し顔を赤く染めてもじもじした。

「私が何?」

ひなたは早く美術館を見てまわりたいので、蹴斗に急かすように言った。

「桂木が美術品を見るなら、俺が結構詳しいから説明とかしてあげようと思って!」

蹴斗は本当に言いたい言葉を言えなかった。

それなら、まだひなたと一緒にいる可能性がある言葉を選んだ。

「えっ!いいの?」

ひなたはころっと態度を変えた。


藤森くんと一緒にいるのは言われそうだけど、理由があるなら文句言われないでしょ。藤森くんは頭いいし利用できるものは利用しなきゃ。


ひなたは蹴斗の提案に簡単に飛びついた。(ひなたは単純です)

蹴斗は嬉しそうにうなずいた。

「うん、是非とも」

「やったー!」

ひなたも喜んで蹴斗についていった。


それから、蹴斗をガイドに美術品を見てまわるが、蹴斗の知識量の多さにひなたは毎回驚いた。

蹴斗は、その美術品がいつの時代に出来た事やどこで見つかったのか、それにまつわる逸話など、美術館が準備している解説よりも更に詳しく説明してくれた。

ひなたは蹴斗に感心して、展示10ヶ所目辺りで質問した。

「藤森くんって、どうしてそんなに詳しく知っているの?」

「うちは父さんが勉強しろってうるさいからね。父さんも仕事で古美術扱っているからね」

ひなたは思い出した。

「そうだったね。藤森くんとこのお父さんも同じ仕事だったね」


なーんて、うちは古美術商は仮の仕事で裏本職トレジャーハンターなんですけどね。


「前に藤森くんのお父さんがうちのホームパーティ(情報交換会)に来て、見た事あるけど怖そうだった」

蹴斗は深くうなずいた。

「俺もそう思う。弟には優しいけどさ、俺には跡取りとか勝手に言って、すげぇうるさいんだよ。運動万能の為に体鍛えろとか、勉強も学年で一番とれとか」

蹴斗は腕を組んで、怖そうな時の父の顔真似をした。

ひなたはふきだして笑った。

「天才とか言われているけど、強制的な努力がハンパないね」

蹴斗は一緒に笑った。

「結構つらいんだぜ、学校では天才いじりされるし。父さんのプレッシャーだけならまだしも、クラスでも部活でも期待されるだろ、嫌になるときがあるんだよ」

「大変だね、藤森くんも」

「うん。だけどさ、今年から桂木と一緒のクラスになって助かったよ」

ひなたはきょとんとした。

「何で?」

「桂木は運動神経良すぎだろ。俺より足早いし、そしたら俺の注目減るだろ」


ひなたの運動神経はダントツだ。全てのスポーツでひなたが参加すると勝利し、かけっこでは男子でも、ひなたに勝てるものはいないのだ。


「私が早くて悔しい気持ちになったりしない?」

ひなたは申し訳なさそうに蹴斗に言った。

蹴斗は首を振った。

「最初は思ったよ。俺ずっと、父さんの影響で一番とるのが当たり前になってたから。でも、桂木は俺が二番でも早くてすごいって、褒めてくれたろ。だからそれでいいやって思うようになった。おかげで気が楽になったんだ」

蹴斗は嬉しそうな顔をした。

「そうだよ、一番が全てじゃないからね!自分が好きな子とが出来たら幸せなんだよ。出、私は勉強ができないから同じようなものだね」

ひなたは自身満々に言った。

「それは違う話だろ~」

蹴斗はひなたをからかって笑った。

「桂木は勉強しないじゃん」

ひなたは自信喪失して下を向いた。

「そうです、勉強大嫌いです」

「まあまあ落ち込まないでさ、桂木は運動神経万能過ぎるからいいんだよ!さぁ、次の見に行くよ」

「そうだよね。私にはそれがある!」

ひなたは開き直り、元気になって、また蹴斗について行った。


蹴斗はこんな、ひなたとのやりとりがとても楽しく、ひなたの事が大好きなのだ。鈍感なひなたと奥手の蹴斗なので、進展するには程遠いようだがーー。


一通り、美術館を見たひなたは蹴斗にお礼を言うと足早に家路を急いだ。



今晩は初めてのアイテム探しだ。夜に備えて、お昼寝したり、着るもの準備しないと。


美術館は19時に閉館となっていた。

ひなたは、20時に美術館に侵入することを決めた。


こんばんは、今日も読んでくださりありがとうございます。

明日の夜の更新はできたらします。できないときは明後日までに更新します。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ