ある日クローゼットのなかフェアリーリングに出会った
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蓬介は気が重そうな様子で、小さなため息をついた。
そして、左手で自分の右胸の上を2回トントンと軽く叩くと決心した表情になり、ひなたに話し始めた。「ひなた、このフェアリーリングは、ひなたが赤ちゃんの時に、僕がトレジャーの仕事をして見つけてきたものなんだ」
「!!」
ひなたは驚いた顔で蓬介を見た。
「トレジャーって?あの…お父さん、だってうちは古美術とか売ってる仕事だよね」
蓬介はうなずいた。
「うん、そうなんだけどね。古美術商は表向きの仕事で、うちは代々トレジャーハンターなんだ」
ひなたは驚いて、口をパクパクしたが、返す言葉が音声にならない。
「ちなみに、ひなたのお母さんの実家もトレジャーハンターだからね」
ひなたは混乱して、更に口をパクパクさせて、まるで餌を待っている鯉のようになった。
「それで話は戻すけど、正確に言うとフェアリーリングの方から、僕がフェアリーリングを見つけるように頭の中に話しかけてきたんだ。そして…見つけた」
頭の中に話しかけるってある!? はい!もう、わけわかりませーん!
ひなたは心のなかでツッコミをいれた。
「そして、見つけた時にフェアリーリングが、これからよろしくねっ!と言うものだから、家に持ち帰って来たんだ」
お父さん、そんなヤバいの持って帰ってきたらアウトでしょ!
「僕はね、いつも帰ってきたら、トレジャーで収拾したものは最初におじいちゃんに見せて、それからさやかさんに見せたりしていたんだ」
「ふーん」
ひなたはうなずいた。
おじいちゃんに、見つけたお宝を鑑定してもらってたってことかな
「フェアリーリングをおじいちゃんに見せた時は反応はなかったんだ。だけどね、そのあと、ひなたを抱っこしていたさやかさんにフェアリーリングを見せに行った時に」
うんうん
ひなたは数回、相づちをうった。
「そこで、ひなたが笑いながら、フェアリーリングを握ったんだ。そうしたら…」
うんうん、そうしたら?
更に、ひなたは数回相づちをうった。
「フェアリーリングが目映いくらいに光って」
うんうん。
「ようこそ、われらの守護者…って聞こえて、光は消えたんだ」
それは?
「お父さん、われらの守護者ってどういうことなの?」
「よくわからないんだ。おじいちゃんはその場にはいなかったから、僕はおじいちゃんなら、何か知っているかもしれないと思って聞きに行ったんだ。もし、こんな不思議な事が起きるアイテムを手元に置いて良いのかも不安だったからね」
ひなたはまた、相づちをうった。
「だよね。古いアイテムや美術品の歴史とか由来をとっても知っていたね」
「そうだね」
おじいちゃんは本などにも載っていないような、いにしえの出来事や危険なアイテムのことまでにも詳しくて、私が小さい時にその話を聞いて、夜に1人でトイレに行けなくなったりしたこともあったな
「おじいちゃん、何か知っていた?」
「うん、少しはね」
「さすがのおじいちゃんでも少しだけなんだ…」
「うん、おじいちゃんが知っていたのは、フェアリーリングは特殊アイテムで、何らかの契約の後に使い手が選別されること。フェアリーリングには他に、能力を強くして安定させるためのアイテムがあって、それを見つけてセットにして使わなければならないことだった」
うわ~、こんな物騒なアイテムが他にもあるの!?
「そのアイテムってどこにあるの?」
「そうだね、フェアリーリングは自分の能力で、他のアイテムを近くまで呼び寄せることができるらしいから、多分…この、花南町付近のどこかに…」
「どこかに?」
「それを見つけるのは、ひなたにしかできない」
「私だけ…ということは」
もう、嫌な予感しかない
ひなたは生ぬるい汗を流した。
「アイテムはどんな形のものかはわからない。フェアリーリングが共鳴したら、アイテムだってことだね。おじいちゃんが言っていたけど、アイテムは美術品や博物品に混じっていたりして、遠くから運ばれてきている可能性があるらしいから、まず、美術館や博物館かな」
「これを持って探しに行くんだね」
「ひなた、気づいているかもしれないけど、フェアリーリングが反応した状態を他の人が見たらどう思うだろうか?」
「びっくりするだろうね。これ持ってる私も、動画撮られたりしてネット拡散とかするんじゃない?ヤバいよね…」
蓬介はうなずいた。
「そのためには、人に見つからないようにして探す。つまりは夜に美術館に忍びこむ」
「不法侵入だよ!!」
ひなたは叫んだ。
「お父さん、私にそんなことさせるの?」
ひなたは涙目になっている。
蓬介は表情を一切変えずに、ひなたの目を逸らさずに見て、膝を曲げて、ひなたの目線に合わせて話し始めた。
「いいかい? ひなた。おじいちゃんもお父さんもフェアリーリングをどこか遠くにポイッと、捨てて来ようかとも考えたんだ。だけどね、きっと、フェアリーリングの能力なら、この家まで自分の能力で戻ってくる。それならば、フェアリーリングの能力をフルに使える、使い手になれるように、ひなたをサポートすることにしたんだ」
「こわい…私に、できるのかな」
ひなたの目から涙が流れていた。
蓬介は愛おしく娘を抱きしめた。
「できるよ、ひなたなら。だってお父さんとお母さんの子供だもの。それにフェアリーリングだって、できっこない人を選んだりしないはずだよ」
「そっか…」
ひなたは袖で涙を拭った。
「よし、やるしかない!頑張る!」
蓬介はやっと、ほっとした表情になった。
「ちょっと、元気だすためにお庭走ってくるー!」
ひなたは広い庭を隅々まで、ぐるぐると走り回った。
蓬介はひなたに聞こえないように、小声で呟いた。
「ひなた、まだまだこれからなんだよ。ひなたが乗り越える試練はね…」
不安な気持ちを抱え、無邪気に走り回る娘を見守っていた。
こんばんは、小桜です。今回も読んでくださりありがとうございます。
次回更新は、明日の夜の予定です。よろしくお願いします。




