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藤森家

自宅まで練に送ってもらった後、蹴斗は疲れて部屋のベッドで寝ていた。

「蹴斗ー、夕ご飯よ」

夕食の支度ができて、1階から母が呼んでいる。

ーー返事がない。

「寝てるのかしら。愛蘭、ちょっと様子を見てきて」

「あいよー」

母の隣にいた愛蘭は、2階へ行き、蹴斗の部屋をノックした。

ーー返事をしない。

「爆睡してるな」

返事がないので、ドアを開けて部屋に入っていった。

蹴斗がベッドに横たわり、気持ち良さげに寝ている。

「やっぱり、寝てるじゃん」

呆れて、声を掛けて起こすべきか、寝かせたままにしようかと考えながら、部屋の中を見回し観察する。


相変わらず、きれいにしてるな。


蹴斗の部屋は、整理整頓されている。

ふと、机の上の写真に気がついた。


あの写真。


愛蘭は蹴斗が起きないように、静かに机に近づき写真を手に取った。

写真は、去年の運動会で1等賞をとった時のひなたが1人で写っている。


練ちゃんにもらったって、言っていたよな。


写真が立ててあった瓶の中に、絆創膏が1枚入っている。


ご丁寧に、こんなものまで大切にとっておいてさ。


蹴斗に気づかれないように、写真をそっと元に戻しておいた。


今日は、父さんの帰ってくる時間が早かったよな。そうとなれば、さっさと蹴斗を起こして、夕飯を食べてもらうとするか。


「蹴斗。起きろ」

愛蘭が蹴斗の体を揺する。

「うん…まだ、寝かせて」

眠気が強いようで、瞼は閉じたままで返事をした。

「あっ、そう。じゃあ、このひなちゃんの写真は頂くね~」

机まで行くと、写真を手に取った。

その言葉に即座に反応し、蹴斗が飛び起きた。

「ダメ!持っていくな」

「ほら、起きた」

にやけながら、愛蘭が写真をぴらぴらと振っている。

「あーっ!そんな持ち方するなぁ!!」

写真を取り上げて、大切そうに机へ戻した。

「触るなよ、愛蘭」

「なんだよ、蹴斗のケチ~」

「大切だから。部屋の他の物はいいけど、これはダメ」

愛蘭は蹴斗の真正面に立つと、両手で蹴斗の肩をポンポンと叩いて笑いかけた。

「なんだよ」

「そうだよな。ひなちゃんがいなきゃ、君は、あのままだったと考えるとさ…。ほんと、ひなちゃん様々だよ」

蹴斗が、気にくわない顔をしている。

「桂木がいなきゃ…そうだけど」

「ひなちゃんには、未だそのことを話せてないんでしょ」

「そうだけど」

「言ったらいいのに」

「うん。でも、今はそんな時じゃないから。桂木はフェアリーリングのことで、手一杯だよ」

「まぁ、確かにね」

ひなたの大変さを目の当たりにしているだけに、2人はそれを理解している。

「いつかは、言わなきゃ。桂木には感謝してるから」

「そうだねぇ、フェアリーリングのことが落ち着いたらね」

「うん…」

とりあえず、今はフェアリーリングのアイテム探しの手伝いに専念しなくてはならない。

「蹴斗ー、愛蘭ー」

1階から、母が呼んでいる。

「そうだ、夕飯で呼びに来たんだよ。今日は父さんが早く帰ってくるから、さっさと食べちゃおう」

「うわっ!やばい、急いで食べなきゃ」


2人は急いで1階に降りて、夕食を食べた。

しばらくすると、玄関のドアが開き、父が帰宅した。


こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。

次回は明日の夜に更新する予定です。

どうぞ、よろしくお願いします。

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