勝つのはどっちだ!?
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花南町美術館のイベントが始まるのは、パーティーの日から12日後。
ひなた達は毎日、放課後に集まって美術館の様子を調べていた。
「最近、練ちゃんとの付き合いが悪いから、申し訳ないんだけど」
ひなたが不満を漏らす。
愛蘭は気にも留めずに、美術館の館内図とにらめっこしながら、こっちのルートか別のルートが良いのかを悩み、蹴斗はイベントに来る美術品の内容を詳しく調べている。
「あー、大門なら帰りに会った時。俺が桂木の家に行くって言ったら、喜んで見送ってたよ」
「喜ばれてるじゃん。良かったね、ひなちゃん」
「ーー。」
この人達、全然わかってない。練ちゃんが少しだけ寂しそうに、私の帰りを見送っているのを。この前のホームパーティーの後だって、ろくに練ちゃんと話せなかったし。
イライラしながら、おやつのお菓子を食べていると、ふと、資料の中にある、イベントの広告が気になり、引っ張り出して眺めた。
資料には一通り目を通したけど、さっぱり頭に入ってこないんだよね。下調べは、藤森くん達に任せきりになっているから問題ないけど。
広告の協賛の所へ、目を見やった。
協賛って、イベントに資金とか協力をしている人達だったよね?
「えっと、協賛は…花南大学、光ホールディングス、大門…グループ…?あの、藤森くん。これ、練ちゃんのお父さんの会社だよね?」
蹴斗が隣に来て、広告を覗いた。
「大門グループだ。うん、大門の所だよ。これさ、大門にお願いして、美術品を展示前に見せてもらうとかできないかな」
「うん、私もそう思ったの!」
蹴斗とひなたの顔が輝いている。
「やばい。私、持ってるかもー!」
「うん、大門にすぐ連絡しよう」
蹴斗とひなたが一緒に広告を掴んで、顔を見合わせて喜び合っている。
「はい、はーい。そこイチャイチャしないよ」
愛蘭が蹴斗とひなたの間に入ってきて、広告を取り上げた。
「ひなちゃん、頼むのは簡単さ。でも、練ちゃんに、今やっていることが言えるの?」
「ううっ…言えない…」
練ちゃんを危険な目に遭わせたくなくて、ずっと我慢していたし、こんな犯罪紛いなことをしていると知られたら嫌われるかな。
「でも、桂木さ。こんなチャンスは、早々にないよ。何とか上手く言って、大門に協力してもらえたらな」
「うーーん」
練ちゃんに、また嘘をつき続けるの?
「そんなの、もうやだ!」
藤森兄弟が驚き、固まっている。
……言ってもいいわよ……
「え?」
……前に、まだ言わないでと話したけど、今のあなたなら、相手を納得させられる言葉が出てくるはずよ……
そうだね。今ならできるよ。練ちゃんに、わかってもらって、あの子より先にアイテムを手に入れなくちゃ。
ひなたが、しばらく固まっていたので、多分、フェアリーリングと会話していたのだろうと、藤森兄弟は察した。
「また、会話してたね」
「うん」
「大門に言うの?」
「言うよ。フェアリーリングも今の私なら、納得させることができるってさ。もし、今後、練ちゃんと一緒にいる時にあの子に出会したら、練ちゃん優先で守るけどいいかな?」
「いいよ、ひなちゃん。俺達だって、伊達にトレジャーしてる訳じゃないんだよ。多少の鍛錬はしてるさ、気にしないで」
愛蘭が蹴斗の肩を組んで、2人でガッツポーズをしている。
ひなたは安堵した。
「賛成!じゃ、練ちゃんがお家にいるか、電話するね。人が多い場所でこんな話はできないから」
ひなたは自分のスマートフォンで電話をすると、練は自宅にいた。
今から3人が、大門家に押し掛けると言っているのに、嬉しそうな声だった。
練ちゃん、やっぱり寂しかったのかも。
「練ちゃん家まで、歩くには遠いんだよね。うちの車で行こうか」
ひなたは運転手に声を掛け、自家用車で藤森兄弟と一緒に大門家へと向かった。
ー大門家ー
桂木家の約10倍の敷地で、奥に大門家の邸宅がある。
ひなた達が乗った自家用車が正門から入って、しばらくしても邸宅に着かない。
「やばい、これは桂木が言ってた通りだ」
「どんだけ広いんだよー!」
車内で藤森兄弟が、興奮して騒いでいる。
「はいはい、興奮しすぎだよ」
邸宅までには、イギリスにありそうな美しいガーデンが広がる場所や温室、テニスコート、プール、茶会ができそうな和風の建物、プラネタリウムらしき建物などが見えた。
愛蘭が目をキラキラと輝かせている。
「ここはアミューズメントパークかな?」
「かもね。練ちゃん家はミニシアターがあって、プラネタリウムも見れるし、図書館、プール、テニスコートがあるでしょ、あと乗馬もできて、温泉もあるよ」
「俺ん家にも、どれか1つ欲しいな」
「ほんとに、すごいよねー。練ちゃん家」
やっと、大門家の邸宅が見えてきた。
邸宅の入口には、ハウスメイドやコック、運転手などの使用人がずらりと並んで、お辞儀をしている。
「蹴斗!まじで、やばい。俺、練ちゃんと仲良くなるわ」
「やめろ、大門に迷惑がかかる」
使用人の前に練が立っており、3人を出迎えた。
「ひなちゃんからの電話、すごく嬉しかったわ」
「ごめんね。最近、練ちゃんをほったらかしていたようになって」
「そんなことないわ。ひなちゃんが忙しそうにするには理由があるから、無理をしてまで、私に気を遣わせたくなかったの」
「練ちゃん…」
ひなたが練に抱きつく。
「あらあら」
「練ちゃん、大好きだよぅ」
「うふふっ。私もよ。ひなちゃん」
「おぅ、練ちゃーん!」
ひなたと練がきつく抱き合う。
藤森兄弟は、女子の友情は理解できず、クールに眺めている。
「それで、今日は私にお願いがあって来たんじゃないかしら」
蹴斗が、さすがというように笑っている。
「大門、察した通りだよ。4人で静かに話せる場所はある?」
練がきょとんとして、蹴斗を見る。
「あんまり、人に言える内容ではなさそうね」
「そうだね」
「いいわ。それなら密談に使う客間があるから、そこで話をしましょう」
練は、3人を連れて密談ができる客間へと案内した。
こんばんは、小桜です。
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次回は明後日の夜までの更新を予定しております。
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