勝つのはどっちだ!?
7
練に案内されるがままに、3人は密談に使う客間へと案内された。
「密談って言うから、ものすごい厳重な客間だと思っていたけど、練ちゃんの部屋の中にある隠し部屋だよね?」
「そうよ」
練は満面の笑みで、自身たっぷり気な様子だ。
「この部屋は防音、防壁。その上、まさか娘の部屋で密談が行われているなんて想像もつかない
でしょう?」
「まぁ、確かに。密談をする場所といえば、邸宅で一番、奥側の部屋や地下室とかを想像する…けどね」
蹴斗が微妙な顔をしている。
「なぁに?藤森くん」
「さっき通った、大門の部屋の、あれ…は、ちょっと止めて欲しいんだけどさ」
「あら、藤森くん。私の趣味なのよ」
練は、ニコニコと微笑んでいる。
「趣味…」
部屋の一角には、ひなたと蹴斗を隠し撮りした写真や、2人を推しているような自前のグッズが置いて
あった。
「恥ずかしいし、その…」
練が蹴斗にそっと耳打ちをした。
「大丈夫。藤森くんが想っていること、ひなちゃんにはバレないわ。私はね、ゆくゆくは2人が結ばれてくれることが、一番の願いなの」
「えっ!?ちょっ、待って」
蹴斗が顔を真っ赤にして、慌てふためいている。
そのやり取りに、ひなたが気づいた。
「あー、さっきのあれでしょ。私もさすがにどうかなと思うけど、練ちゃんが私のファンで、藤森くんは推し仲間だって言うから、この程度の推し活くらいはいいかなと思ってね」
「推し活…」
ひなたの鈍感さに呆れてしまう。
「もうちょっとだけ、ひなちゃんが敏感になってくれたらねー」
頬に手を当て、練が残念そうな表情をする。
「本当だよ。桂木、鈍感過ぎだよ」
蹴斗は、ひなたに暖かい眼差しを向けた。
早く、練に話をしたいひなたは、愛蘭と共に客間の椅子にさっさと座ると、練と蹴斗に向かって手招きをした。
「2人共、早く座って。練ちゃんにお願いがあるんだから」
ひなたに促され、蹴斗と練は椅子に座った。
「ひなちゃんが私にお願いなんて、何かしら?」
ひなたと藤森兄弟は、顔を見合わせて頷くと、まずは、これまでの話をした。
練は、話の途中で驚いて取り乱したり、泣きそうになったりしたが、最後まで聞いてくれた。
「ごめんね、練ちゃんに、ずっと言えなくて」
「ううん、いいのよ。ひなちゃんがこんなに、大変なことをしているなんて。怖かったし、辛かったでしょう」
「本当はね、大切なお友達の練ちゃんに、最初に言いたかったんだよ」
「その気持ちが嬉しいわ、ひなちゃん」
「練ちゃぁん」
ひなたが練に抱きついた。
「ひなちゃんったら。あのね、ひなちゃんにお願いがあるんだけど、愛蘭くんと一緒に私の部屋から、いつもの取って来てくれる?」
「うん、わかったー」
ひなたと愛蘭は、練の部屋へと行った。それを見計らって、練は蹴斗をちらりと見てニコニコしながら
話しかけた。
「藤森くんが時々、不意に見せる様子は、そういう理由もあったのね」
「えっ!?」
蹴斗のことを悟って、見ているようだ。
「俺、そんな素振りを出しているつもりはなかったはずだけど」
「私にはわかるのよ。そうね、まだまだ、ありそうだけど…。きっと、ひなちゃんが守ってくれるわ。心配しないで、藤森くん」
「そうかな?」
「うちのひなちゃんは、なかなかやってくれるんだから」
「そっか」
「私だって、ひなちゃんがいなかったら…」
「大門が?」
「うふふっ、またその話は今度よ、藤森くん、今は私にしかできない、お願いがあるのでしょう」
「そうなんだ」
居室のドアが開き、ひなた達が戻ってきた。
「練ちゃん、私の好きなのばっかりだよー」
ひなたと愛蘭が、練の部屋に準備されていた、アフタヌーンティーのワゴンを押してきた。
2種の紅茶にケーキや焼き菓子、サンドイッチ、スコーンなど、どれも美味しそうだ。
「みんなで頂きましょう。それから話を聞くわね」
以前に比べて、4人の絆が深まり、アフタヌーンティーをより楽しく過ごした。
アフタヌーンティーを済ませると、ひなたは練に話を切り出した。
「あのね、練ちゃん。私が探しているフェアリーリングのアイテムが、大門グループの協賛している、花南町美術館のイベントに来るかもしれないんだよ。それで、先に展示品を見たいの」
「なるほどね。それで私の協力が必要なのね」
「うん。都合良く、練ちゃんを利用するようで、ごめんね」
「いいのよ、ひなちゃんのお願いなら、なーんでもいいわよ」
すぐに、練は父に電話をかけた。
練の父は、練を溺愛している。答えは1つだ。
「お父様が、花南町美術館に連絡をしてくれたわ」
3人が顔を綻ばせる。
「じゃあ、許可が出たの?」
「ええ、お父様がお願いしたら、すぐに許可をいただいたわ」
至極当然よといった顔で、ウインクをする。
「今日、展示品が搬入されたらしいの。早速、見に行きましょう」
ひなた達は動きを読まれないように、大門家の自家用車に乗り込み。4人は花南町美術館へと出発した。
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次回は明後日の夜までに、更新をする予定です。
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