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仲間と共に

3人は固まったように、微動だもしない。

警備員2人も、相手の出方を探るように、動かずに様子を伺っている。


やばい、こんな時どうしよう。力を使えば、警備員をあっという間に吹き飛ばして、眠らせることができる。だけど、警備員の前には藤森くん達がいる。今、力を使えば、藤森くん達も巻き添えを食らうかも知れない。部分的に力が使えたらいいけど…一か八かやってみるか。うーん、でも、失敗して藤森くん達を眠らせてしまったらどうしよう。


なかなか、ひなたが力を使わないことに藤森兄弟も困惑したが、蹴斗がすぐに察して気がついた。

蹴斗は、ひなたに目配せして頷いた。


使っていいの!?でも、2人も眠らせることになったら…。


ひなたは判断に迷い、どうすべきか、わからなくなった。

行動を起こせずに、じっと固まっていると、警備員が痺れを切らせ喋りだした。

「観念して、諦めたらどうだ。お前達みたいなイカれたガキ共は警察に付き出して、しっかり更生してもらうからな」


イカれているガキとか、更生しろとかって、ちょっと言い方が酷すぎ!確かに、博物館に不法侵入しているから犯罪だけど、私だって好きで、博物館に忍びこんでいるわけではないからね。


ひなたは覚悟を決めて、藤森兄弟に目配せして頷くと、フェアリーリングを上に向けて翳した。


ごめん。藤森くん、愛蘭くん。絶対助けるよ。眠らされて記憶を忘れたなら、また、いちから説明するからね。


フェアリーリングが光を出し始めた時ーー。


パチッと音がして、部屋の照明が消えた。

「えっ!」

警備員の後方から、フェアリーリングと同じ光が放たれた。

その光は、警備員2人だけを包み込んだ。

ひなたは慌てて、フェアリーリングへの命令を止めさせた。


同じ能力?


光の先には、ひなたと同じ背格好の子が立っている。

「誰?」

光が消えると、辺りは真っ暗になり、警備員2人の寝息だけが聞こえた。

「呆れたわ。フェアリーリング保持者にして、こんなに使いこなせてないとはね」

暗闇の中で女の子の声がする。

さっきの光を放った子のようだ。

「フェアリーリングのこと、知っているの?」

「知ってるもなにも当然よ。私が、本来の保持者になるべき者なのよ」

「えっ?私はフェアリーリングに選ばれたんだよ」

「そうね、今はね…だけど」

女の子の声がする所が、ぼんやりと光り出した。

よく見ると、光は大きな剣の形をしている。

「それもアイテムなの?」

「これはフェアリーソード。あなた、本当に何も知らないのね」

「うん、知らないものは知らないんだもん。他にアイテムがどれだけあるとか」

「そう…」

藤森兄弟も気になってきた。

「じゃあ、君はアイテムが幾つあるのか知ってるの?」

「知ってるわ」

「全部で幾つになるのさ」

蹴斗と愛蘭が交互に話しかける。

「あら、楽に知ろうなんて」

「こっちはフェアリーリングのことは何も知らないんだ。同じ能力者として、対等までとは言わないが知る権利はあると思うけどね」

「そうね…」

藤森兄弟と女の子の駆け引きを聞いて、ひなたは自分に都合のよいことを考えた。


いっそのこと、あの子にフェアリーリングをあげたらいいよね。そうしたら、こんな危険なことをしなくても済むし、普通の生活に戻れるよね。


「藤森くん達もあなたも、好き勝手に言っているけど、そもそも、私はフェアリーリングの使い人になりたくてなったわけでもないし、美術品だって、アイテムにだって興味はないの」

「じゃあ、それをさっさと寄越しなさいよ」

「簡単に言うよね。さっきのアイテムに辿り着くまでに、どれだけ大変だったか…」


夜になると、お母さんにバレないようにして、こそこそと不法侵入しなければならない。親友の練ちゃんにだって秘密にしなければならない。フェアリーリングだって、やっと使いこなせ始めた状態なのに。


ここまで、頑張ってきたことが脳裏に蘇る。

泣いたり悩んだり、辛い思いをしてきたのに、それを易々と寄越せと言ってくることに段々と腹が立ってきた。

「何か…すっごいムカついてきた!」

「えっ?」

「ちょっと!次に出てくるアイテムを教えなさい!それで先に見つけた方が、フェアリーリングを所持するってことで良い?私が負けたら譲るよ。それで、もし、あなたが負けたら、残りのアイテム情報を私達に提供する」

女の子はクスクスと笑い出した。

「交換条件ね、それならいいわよ。そして私が勝ったら、フェアリーリングは私のものね」

勝ったも同然みたいに自身たっぷりな言いぶりだ。

「ひなちゃん、それで良いの!?」

「いいよ。できることなら、使い人を譲りたいけど、なんだか、あの子の態度…なんかこう…あぁ、もーっ、負けたくないの!」

「桂木がやる気になってる」

「ひなちゃん、ガンバ!」

ひなた達は暗闇の中で、謎の女の子に次に出てくるアイテムがどんなものかを教えてもらうと、警備員達が起きない内に博物館を後にした。


こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。

次回更新は明日の夜を予定しております。

どうぞ、よろしくお願いします。

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