仲間と共に
5
博物館の中へーー。
今回の博物館の構造は天窓がないので、館内はかなり暗く、足元の非常灯を頼りに進んでいく。
「懐中電灯を点けたら、防犯カメラに写っちゃうよね」
「うん、即バレだろうな。暗視ゴーグル持ってきたけど、使う?」
「えっ、暗視ゴーグルも持ってきたの?」
「当然、準備に抜かりはないよ」
すごいね、この人達。
「うーん、本当に感心するよ。だけど、藤森くんも使うでしょ?」
「いや、使わなくていいよ。今日、学校帰りに下見したから、どこに何があるか、把握しているから問題ないさ」
「そっか、私は下見してないからなー」
「俺と一緒に、下見に来たら良かったのに」
暗闇で見えないが、蹴斗の顔が緩んでいるのが分かる。
「お断りです。1人で来れます」
ばっさりと断り、蹴斗を置いて先に行こうとした時。
……。
ふと、ひなたの耳に何かが聞こえた。
!?
「誰か話してる」
……。
「こっちだよって…」
ひなたには聞こえているようだが、蹴斗には全く聞こえない。
「ごめん。全然、俺には聞こえないんだ」
「えっ、聞こえないの?小さな女の子みたいな声だよ」
「女の子の声…?」
蹴斗は耳を澄ますが、聞こえてない様子で沈黙している。
「私だけ…」
声がする方へ耳を傾けた。
「声は、もっと奥の方から聞こえる…。私、そこに行かなくちゃ」
そこに向かって歩き出した。
奥へ進んで行くと、どんどん声が大きく、はっきりと聞こえる。
愛蘭も追い越し、ひなたは足早にそこへ向かう。
「ひなちゃん、どうしちゃったの?」
急に様子が変わったことに、愛蘭が驚いている。
「わからない…。でも、呼ばれているんだろう」
「何に?」
「多分、アイテムだ」
「ひょえー!」
感じるよ。絶対そうだ。
もうすぐ出会えるドキドキで、血液が体中を勢いよく駆け巡り、体が熱い。
もう、そこにあるはず!
博物館の奥まで着いた。
急いで、全ての展示物を確認するが、さっき、ひなたが感じた物が見当たらない。
「おかしいな、多分…ここで間違いないんだけどな」
藤森兄弟も到着し、ひなたが探している様子を見つけた。
「ひなちゃん、ここで間違いないの?」
「うん、ここだよ。絶対にそうだもん。でも、展示されているものではなさそう」
「そうなのか…」
愛蘭が顎に手を当て考える。
「あっ!」
思いついた様子で、急に壁を触れ始めて、何かを探し始めた。
「愛蘭くん?」
「待ってて」
「蹴斗も探して!どこかに収納タイプのドアノブがあるはずだ」
「そういうことか!急いで探すよ」
藤森兄弟が壁に張り付き、ドアノブを探す。
「あった」
愛蘭が見つけた。
ドアノブを引き出して、手前に引くと、別室の扉が開いた。
別室の中には、大きな木箱が沢山あった。
「何、この箱…」
「ここは、展示物を運搬するときに使う、梱包用の箱の倉庫さ」
藤森兄弟がすぐさま、この場所に監視カメラが設置されていないか確認した。確認後、愛蘭が照明のスイッチを押すと倉庫内が明るくなった。
「ふぇぇー…」
倉庫内にはぎっしりと、木箱が積み重なり並んでいる。
!?
「それだよ!この箱の中だと思う」
ひなたが左隅の箱を指差した。
そこの場所だけ、箱が1つポツンとあった。
藤森兄弟が箱の蓋を触ると動いたので、蓋は閉じていないようだ。
「ありますよーに!」
藤森兄弟が箱の蓋を開けた。
箱の底の片隅に、深い海の様な青色の宝石が付いた、ネックレスがあった。
「あった…」
「すごいな、ちゃんとわかるんだから」
「選ばれし者の能力だよね。やっぱりさ」
ひなたが右手を伸ばして、ネックレスを掴んだ。
「やっと、見つけた…」
大事そうにネックレスを引き上げる。
ネックレスを胸元に寄せると、左手に掛けていた、フェアリーリングがブーンと音を鳴らし、小刻みに振動し始めた。
反応している…。何が起こるの?
フェアリーリングが目映い光を放った。
「わっ…」
一瞬だった。
光は、ネックレスを包み込み、一緒に消え去っていった。
「ネックレスが消えちゃった…」
ひなたの顔が青ざめている。
「吸収されたんじゃない?」
藤森兄弟は平然としている。
「違うよ!そういうことじゃなくて。どうしよう、このまま、ネックレスを盗んだことになったら」
「何だそっちかー。まぁ、待ってよ」
愛蘭が自分のノートを見ている。
「桂木、心配ないよ。愛蘭は、この博物館の展示物と照らし合わせているのさ」
「ありがとう」
愛蘭がノートを閉じると、親指を立てるポーズをした。
「大丈夫!ネックレスはこの博物館では展示されていない物だ。どうやって入ってきたのかわからないけど、可能性としては梱包材に混ざって来たんだろうね」
「良かった」
ひなたは安堵した。
「多分ね、フェアリーリングが呼び寄せたんだよ。まぁ、窃盗にはならないけど、すでに不法侵入で俺た達はアウトだからね、桂木?」
「うん、わかってます」
ガックリと項垂れる。
「うーん、何だか怖くなってきた。さっきも、すごいの見ちゃったし。やばいでしょ、アイテムが吸収されるとかさ」
ひなたが身震いしている。
「黒魔術とかの類いなんだろうか?わからないことばっかりだね。ひとまず、博物館から出ようか…」
蹴斗が倉庫の扉を開けると、2人の警備員が立っていた。
「騒がしいと思ったら、見つけたぞ!お前等!」
「まずい…」
「3人共、警察につき出すからな!」
警備員と対峙してしまった。
こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。
なんとか、更新できました。次回更新は明後日の夜までを予定しております。
よろしくお願いします。




