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仲間と共に

博物館の中へーー。

今回の博物館の構造は天窓がないので、館内はかなり暗く、足元の非常灯を頼りに進んでいく。

「懐中電灯を点けたら、防犯カメラに写っちゃうよね」

「うん、即バレだろうな。暗視ゴーグル持ってきたけど、使う?」

「えっ、暗視ゴーグルも持ってきたの?」

「当然、準備に抜かりはないよ」


すごいね、この人達。


「うーん、本当に感心するよ。だけど、藤森くんも使うでしょ?」

「いや、使わなくていいよ。今日、学校帰りに下見したから、どこに何があるか、把握しているから問題ないさ」

「そっか、私は下見してないからなー」

「俺と一緒に、下見に来たら良かったのに」

暗闇で見えないが、蹴斗の顔が緩んでいるのが分かる。

「お断りです。1人で来れます」

ばっさりと断り、蹴斗を置いて先に行こうとした時。


……。

ふと、ひなたの耳に何かが聞こえた。


!?


「誰か話してる」


……。

「こっちだよって…」

ひなたには聞こえているようだが、蹴斗には全く聞こえない。

「ごめん。全然、俺には聞こえないんだ」

「えっ、聞こえないの?小さな女の子みたいな声だよ」

「女の子の声…?」

蹴斗は耳を澄ますが、聞こえてない様子で沈黙している。

「私だけ…」

声がする方へ耳を傾けた。

「声は、もっと奥の方から聞こえる…。私、そこに行かなくちゃ」

そこに向かって歩き出した。

奥へ進んで行くと、どんどん声が大きく、はっきりと聞こえる。

愛蘭も追い越し、ひなたは足早にそこへ向かう。

「ひなちゃん、どうしちゃったの?」

急に様子が変わったことに、愛蘭が驚いている。

「わからない…。でも、呼ばれているんだろう」

「何に?」

「多分、アイテムだ」

「ひょえー!」


感じるよ。絶対そうだ。


もうすぐ出会えるドキドキで、血液が体中を勢いよく駆け巡り、体が熱い。


もう、そこにあるはず!


博物館の奥まで着いた。

急いで、全ての展示物を確認するが、さっき、ひなたが感じた物が見当たらない。

「おかしいな、多分…ここで間違いないんだけどな」

藤森兄弟も到着し、ひなたが探している様子を見つけた。

「ひなちゃん、ここで間違いないの?」

「うん、ここだよ。絶対にそうだもん。でも、展示されているものではなさそう」

「そうなのか…」

愛蘭が顎に手を当て考える。

「あっ!」

思いついた様子で、急に壁を触れ始めて、何かを探し始めた。

「愛蘭くん?」

「待ってて」

「蹴斗も探して!どこかに収納タイプのドアノブがあるはずだ」

「そういうことか!急いで探すよ」

藤森兄弟が壁に張り付き、ドアノブを探す。

「あった」

愛蘭が見つけた。

ドアノブを引き出して、手前に引くと、別室の扉が開いた。

別室の中には、大きな木箱が沢山あった。

「何、この箱…」

「ここは、展示物を運搬するときに使う、梱包用の箱の倉庫さ」

藤森兄弟がすぐさま、この場所に監視カメラが設置されていないか確認した。確認後、愛蘭が照明のスイッチを押すと倉庫内が明るくなった。

「ふぇぇー…」

倉庫内にはぎっしりと、木箱が積み重なり並んでいる。


!?


「それだよ!この箱の中だと思う」

ひなたが左隅の箱を指差した。

そこの場所だけ、箱が1つポツンとあった。

藤森兄弟が箱の蓋を触ると動いたので、蓋は閉じていないようだ。

「ありますよーに!」

藤森兄弟が箱の蓋を開けた。

箱の底の片隅に、深い海の様な青色の宝石が付いた、ネックレスがあった。

「あった…」

「すごいな、ちゃんとわかるんだから」

「選ばれし者の能力だよね。やっぱりさ」

ひなたが右手を伸ばして、ネックレスを掴んだ。

「やっと、見つけた…」

大事そうにネックレスを引き上げる。

ネックレスを胸元に寄せると、左手に掛けていた、フェアリーリングがブーンと音を鳴らし、小刻みに振動し始めた。


反応している…。何が起こるの?


フェアリーリングが目映い光を放った。

「わっ…」

一瞬だった。

光は、ネックレスを包み込み、一緒に消え去っていった。

「ネックレスが消えちゃった…」

ひなたの顔が青ざめている。

「吸収されたんじゃない?」

藤森兄弟は平然としている。

「違うよ!そういうことじゃなくて。どうしよう、このまま、ネックレスを盗んだことになったら」

「何だそっちかー。まぁ、待ってよ」

愛蘭が自分のノートを見ている。

「桂木、心配ないよ。愛蘭は、この博物館の展示物と照らし合わせているのさ」

「ありがとう」

愛蘭がノートを閉じると、親指を立てるポーズをした。

「大丈夫!ネックレスはこの博物館では展示されていない物だ。どうやって入ってきたのかわからないけど、可能性としては梱包材に混ざって来たんだろうね」

「良かった」

ひなたは安堵した。

「多分ね、フェアリーリングが呼び寄せたんだよ。まぁ、窃盗にはならないけど、すでに不法侵入で俺た達はアウトだからね、桂木?」

「うん、わかってます」

ガックリと項垂れる。

「うーん、何だか怖くなってきた。さっきも、すごいの見ちゃったし。やばいでしょ、アイテムが吸収されるとかさ」

ひなたが身震いしている。

「黒魔術とかの類いなんだろうか?わからないことばっかりだね。ひとまず、博物館から出ようか…」

蹴斗が倉庫の扉を開けると、2人の警備員が立っていた。

「騒がしいと思ったら、見つけたぞ!お前等!」

「まずい…」

「3人共、警察につき出すからな!」

警備員と対峙してしまった。




こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。

なんとか、更新できました。次回更新は明後日の夜までを予定しております。

よろしくお願いします。

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