仲間と共に
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金曜日ー。ひなたはインラインスケートで、博物館へ向かっている。
今日は黒の猫耳帽子に、黒のジャンプスーツの出で立ちだ。
今回は何だか、上手くいきそうな気がする。フェアリーリングに出会い、幾度、不法侵入を繰り返したことか…。普通なら、警察のお世話になっているはずだよ。それでも、フェアリーリングの力で、何とかなってきた。多分、今夜こそ出会える。
お父さんには悪かったけどね。
出かける前に突然、さやかが自宅での映画鑑賞に誘ってきた。
最近のひなたは、夜になると自室で過ごしてばかりなので、避けられていないかと心配した様子だった。
そんなつもりじゃないけどね。別にお母さんを避けているわけではないんだよ。私はお母さんが大好きだし。
ー注。ちなみに現在、もの凄く早いスピードで裏道を駆け抜けていますー
蓬介がすかさず、さやかに声を掛けて、チェスをしようと誘った。
お父さん、グッジョブ!
さやかはチェスが大得意で、一度始めたら数時間はやり続ける。
蓬介も、チェスは幼少から父と楽しむ機会が多かった。過去にはチェスの大会で優勝する程の腕前だ。
確か…お母さんも強かったよね。
イギリスにいた頃、しょっちゅう、トロフィーを頂いていたと話していた。
ひなたが小さい頃には、チェスに没頭して仕舞わないように、駒や盤に触るのも遠慮していたくらいだ。
最近はひなたの手も掛からなくなり、たまに楽しんでるようだ。
先日、友人に誘われてチェスをしていたら、あっという間に5時間が経ったと言っていた。
付き合わされる蓬介には申し訳ないが、最低でも3時間は確定だろう。
お父さん、明日も仕事だったよね。ごめんなさい。ありがとう。その代わりに、ちゃんとアイテム見つけてくるから!
目的の博物館が見えてきた。
博物館の裏口から少し離れた場所で、藤森兄弟と待ち合わせしていた。
「お待たせ」
「あっ、ひなちゃん」
「桂木、よろしくな」
3人は各々、博物館に侵入する準備を整えた。
準備ができた。けど…この2人は、どうやって侵入してるのかな?私だったら、木に登って防犯カメラを避けながら侵入するけど。いくら、2人が運動能力が高くても、私ほどではないし。
「さて、今日はどの方法で行こうかな」
愛蘭がリュックから、小さいラジオみたいな物を取り出した。
「てへっ、これ妨害電波機~」
「えっ?」
妨害電波機のアンテナを監視カメラに向けた。
「ジャミングしたら、ワイヤレス監視カメラはその間、使えなくなるよ。ちなみに、外の監視カメラの画像はリアルタイムで見てないはずだし、ジャミングも短時間だから、電波が乱れたくらいの程度にしかならないからね。警備員は気づかないはずだよ。一応、蹴斗がスマホで電波障害が起きてるか、確認しながら行くんだよ」
この人達、プロだ。
想像以上の行動に、ひなたが驚いている。
「桂木はどうやって入ってたの?」
「木に登って、監視カメラの上を通って…木を渡って2階からとか」
「監視カメラの上を通る!?」
あまりの身体能力の高さに、ひいてしまう。
「いや、それって桂木にしかできないから」
「うん、よーくわかってるよ」
ジャミングしながら、博物館の裏口に辿りついた。
「一旦、ここでジャミングは終了~」
リュックに妨害電波機を仕舞った。
「ではでは、ここで始めますか」
いつの間にか、愛蘭と蹴斗が黒い手袋をしている。
「裏口には、防犯設備がついていないのは確認済み。そして鍵が掛かっているだけとすれば…ひなちゃん、わかる?」
「えっ?まさか鍵を開けちゃうの!?」
「はい、ひなちゃん、正解~」
愛蘭は、3本の太さの異なる針金の中から、1本を選ぶと鍵穴に針金を差して、数秒で解錠した。
ひなたは開いた口が塞がらない。
何なのこの人達って!ジャミングとか、鍵を開けちゃうとか、犯罪満載だよ。あぁぁ、私もこの人達と一緒にいるだけで、更に犯罪に手を染めていく。
「一緒になりたくない…」
ひなたが嫌そうな顔をして、ポツリと呟く。
「何か言った?ひなちゃん」
「ううん、何でもない」
裏口から入ってすぐに、警備員室があるので、藤森兄弟が帽子を深く被ったり。フェイスカバーを着けたり準備をする。
「警備員に見つからないように突破しなきゃね」
「ここは毎回、緊張するよな」
ふと、ひなたを見た。
全く、ひなたが準備をする気配がない。
多少、帽子を目深に被り直した程度だ。
「ひなちゃん、警備員に顔がばれないようにしないと…」
ひなたは黙って、フェアリーリングを取り出すと、手を伸ばし、裏口から中にフェアリーリングだけ入れて、何かを命令した。
裏口の隙間から外に、強い光と風が漏れ出てきた。
「ひなちゃん!?」
「まさか!?」
ひなたは、先に藤森兄弟に入るようジェスチャーした。
大きな音を立てないように静かに、裏口から中に藤森兄弟が入っていく。
警備員室を覗くと、警備員2人が椅子に座りぐっすりと寝ている。
「やってくれたね」
「やばい、桂木」
藤森兄弟がニタニタと笑っている。
「藤森くん達レベルではないけどね。さっ、行くよ」
藤森兄弟を置いて、博物館内部へ入って行く。
いやいや、あなたも大概、同じレベルだよと藤森兄弟は思った。
「やばい、ひなちゃんに置いてかれちゃう」
愛蘭は抜け目なく、防犯カメラの映像を確認したが、黄色い光が一瞬映っているだけで問題は無さそうだった。
藤森兄弟もひなたを追いかけるように、博物館内部へと入って行った。
こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。
次回更新は明後日までに予定しております。
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