仲間と共に
3
蓬介に呼ばれ書斎に入ると、蓬介は書斎の椅子に座り、ひなたの手紙を読んでいた。
いつもの穏やかな表情が、今は固まっている。
「ひなた…手紙は読ませてもらったよ」
先に、お父さんに謝っておこう。
「お父さん、ごめんなさい」
「ひなた?」
「お父さん、怒ってないの?」
蓬介が困惑したような表情になっている。
「うーん…お父さんも正解がわからないんだ。だから、ひなたを怒ることはできないよ」
椅子から立ち上がると、ひなたの前に立ち、目線の高さに合わせるように跪いた。
「いいかい、ひなた。フェアリーリングが人に知られることで、それを知った人達が、ひなたのことを好機の目で見てきて、無理矢理、多くの人の目の前に晒されるかもしれない。あとは、これを狙う輩が、ひなたに危害を加えてくることもあるかもしれない。僕は、ひなたをそんな目に合わせたくない、だから心配なんだ」
ひなたは蓬介の目をしっかりと見据えて、深く頷く。
「うん、すごくわかっているよ。お父さんが私のことを大事にしてくれて、とっても心配してくれてること…」
だけど!
「藤森くん達を簡単に信用するのは、間違っているかも知れない…でも、藤森くん達だって同じで、人に知られないように、秘密を抱えて、自分達だけで頑張ってる。フェアリーリングの力を使った後も、恐れて逃げたりしなかった。今日は、フェアリーリングのことを話したんだよ。話を聞いてから、黙り込んでしまって…。多分、危険だと思ったんだよ。それでも、私に一緒に頑張ろうって言ってくれたの」
「うん」
「私ね…本当は、1人で頑張ることが怖かったの。だけど、藤森くんが…ずっと、優しく声を掛けてくれた。1人で頑張らなくていいんだって思うと安心できた。勝手に仲間にしてしまって…弱気な情けない娘でごめんなさい」
ひなたの目から涙が溢れてきた。
「ひなたはよくやっているよ。弱くもないし、情けないなんてないよ」
蓬介はひなたの頭を優しく撫でた。
こんなに辛い思いをしながらでも、アイテム探しを止めさせることはできない、自分の方が申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
これから先に起こるであろう…そのことにひなたが立ち向かっていけるように、自分で乗り越えさせる力を養うためには必要なことだ。
蓬介の父も亡くなる直前まで、このことを気に掛けていた程だ。
ふと、父の言葉が蘇る。
「蓬介よ。ひなたは私の孫、そして、お前の子だ。何が起ころうが、どんな状況が来ようが、なんとかできるはずだ。自分の子を信じて、どっしりと構えて見守りなさい」
そうだーー。親の僕が信じて見守らないと、他に誰ができる?
ひなたを信じてみようーー。
「ひなたが選んだことだ。ひなたが藤森くん達を信じるなら、お父さんも信じるよ」
「お父さん…!」
嬉しくて、蓬介に抱きついた。
「うーん、ひなたは成長しているんだね。わかっているけど、藤森くんにちょっと嫉妬してしまうな」
「お父さん!?藤森くんとはそんなんじゃないからねー!」
ひなたがドスンドスンと地団駄を踏む。
「ははっ、そうなんだ」
「絶対、ぜーったい!!そんなんじゃないからねっ!あの、女子に浮ついたとことか…イラッとさせるのよー!」
全力で否定している姿が面白く見えた。
多分、気になっていると思われるが、ひなたに恋愛はまだまだ程問いと察した。
「あっ、そうだ!今度、うちのホームパーティーがあるね。藤森さんにも招待状を出すつもりでいたから、藤森くん達にも来てもらったら?」
「おとーさぁん!さっき、私が言ったこと。わかってる?」
蓬介はニコニコと笑っている。
「さて、冗談はここまでにして…今度は金曜日かな?」
「うん」
「ひなた、何か必要なものがあれば用意するよ」
「いるもの?」
うーん、何だろう。あったかな?
「今は…ないかな。また、何かが必要になったら、お父さんにお願いしていい?」
「わかった」
書斎に2人だけ籠もっていたので、蓬介は、さやかが1人で拗ねていないか気になり、食後の紅茶を飲んでいる、さやかの所へ向かった。
ひなたは部屋に戻り、今度お邪魔する博物館の侵入経路を、愛蘭からもらった資料で予習した。
そしてーー。
金曜日がやってきた。
こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。
次回更新は明日の夜にできたらいたします。
どうぞ、よろしくお願いします。




