ある日クローゼットのなかフェアリーリングに出会った
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クローゼットのなかには大きなドーナツが潰れたような形で、ひなたの頭がすっぽりと余裕で入るくらいの金色の金属のリングがあった。
リングには、赤色のリボンが固結びで結んであり、リボンの垂れた部分一方は30cm、一方が2m近くあるのだろうか。
それがぼんやりと青白く光ったり光らなくなったりを繰り返しており、光った時だけブゥーンと音が鳴っていた。
不思議なリングーー
お父さんが見つけてきた、外国の変わったおもちゃかな。このままずっと点滅していたら、電池切れになっちゃいそう。どこかに止めるスイッチはあるのかな?
ひなたが、電源のスイッチを探そうと右手でリングを握ると、リングはクローゼットのなかのすべての物を明るく照らすほどに輝いた。
「わっ、まぶしいっ」
リングは10秒ほど輝いた後、光るのを止め、音も止まった。
また、壊したのかな?
ひなたはリングをひっくり返したり、向きを変えて見てみたり、リングの表面を触ったりするが、電源のスイッチらしきものもなく、どこかが欠けた様子もない。
お父さん、変わったのよく見つけてくるんだよね。
このあいだも、お父さんが旅行に行ってきた時に持ち帰った100年くらい前のカエルの木製おもちゃで
、お父さんが動かしたらすごくリアルで、まるで生きてるかのようにカエルが動いていたのを思い出した。
そんなことを考えながら、不思議なリングをじっと眺めていると書斎の時計がボーンボーンと5回なった。
あっ、いけない。5時にになってるし、こんなことしてる場合じゃなかった。早く机の上にお手紙を置いてこなきゃ、お父さんが帰って来ちゃうよ。
リングを元の場所にそっと戻すと、お父さんの机の上に手紙を置いて、急いで書斎を出ていった。
ひなたが書斎を出ていった後、しばらくしてリングは再び青白く光り始めたーー
その夜ーー
ひなたがお母さんと夕食を食べていると蓬介が帰宅した。
蓬介は仕事から帰ると、いつもまっすぐに自分の書斎に寄り、取り引きの記録などの自宅での仕事を片付けてから、夕食を食べるようにしていた。
ひなたは蓬助が早くても30分くらいは書斎から出てこないと知っていたので、どうせなら開き直って、食後のデザートまで食べてから、長い説教に臨もうと考えた。
「デザートお願いします」
ひなたが、ハウスメイドにデザートを運んで来るようにお願いした時だった。
いきなり、食卓のある部屋のドアがバタンと大きな音を立てて開いた。
蓬介だった。
「蓬介さん、どうしたの?」
「さやかさん、ごめんなさい。ひなたに用があったんだ。驚かせちゃったね」
いつもの穏やかな蓬介がちょっと焦った様子だったので、さやかが不安そうな表情を浮かべた。
「さすがに今月だけで、窓ガラス5枚目だからね。ひなたに言っておかないとね」
ひなたとさやかに向けてウインクした。
「お父さん、ごめんなさぁい」
ひなたは泣きそうな顔で蓬介の前に歩みより、お辞儀した。
さやかは落ち着きを取り戻した表情で、ひなたの後ろに来ると両肩に手を置いた。
「ひなたが元気いっぱいだからね。蓬介さん控えめにね。ねっ、ひなたもこんなに反省してるし、手紙
も読んでくれたんでしょう」
「もう、さやかさんはひなたにいつも甘いんですから」
蓬助が顔を緩めて笑いかける。
「だって、可愛い1人娘ですからね。甘やかし上等よ」
さやかは可愛い表情を意識して笑いかけた。
ひなたは2人の顔をちらちらと見た。
お父さんもお母さんも結婚して14年経過するのに甘すぎるやり取りだ。仲が良いのは良いことなんだけどね。
「じゃあ、ひなたは今から僕の書斎に来なさい」
「はーい」
蓬介について行くように、ひなたが歩き始めたかと思うと、急に立ち止まり、さやかの方を見た。
「あのね、お母さん。さっき頼んだアイスは後で食べるよっていってくれる?」
「わかったわ」
さやかに手を振られ、ひなたは蓬介の後を追ってその場を後にした。
食卓のある部屋から、書斎までは少し離れている。
ひなたが数部屋通り過ぎてきた所で、またさっきのリングの音が聞こえてきた。
……!!
また、あのリング動いてる!?
音は書斎に近づくにつれて、段々はっきりと聞こえてきた。
先に蓬介は書斎に入っていた。
ひなたは3回ドアをノックしてドアを開けて入った。
すると机の上には、あのリングが置いてあり、さっきと同じように光ながらブゥーンと鳴っていた。蓬介は机越しに立ち、深刻な表情でリングを眺めていた。
「ひなた、今日クローゼットのなかで、これに触ったりしていないかな」
「ごめんなさい、お手紙を持ってきた時にこれの音が鳴ってたんだよ。てっきり、お父さんのスマホがあるかもって、勘違いしたの。クローゼットのなかに入ったらこれがあって、おもちゃだったら鳴りっぱなしで電池切れになってよくないかもって思ったから、触っちゃったの」
蓬介はひなたの前へ移動してくると、そっと優しく抱きしめた。
「できれば、僕はまだひなたを手元に置いておきたいのに…」
ひなたに聞こえないくらいの小さい声で悲しげに呟いた。
そして、ひなたの両肩を握り、自分の体を引き離すと自分の足をかがませて、ひなたの目の高さまで自分の目の位置をあわせた。
蓬介は少し寂しそうに微笑んだ。
ひなたは蓬介の様子がいつも違うと感じた。
「お父さんを困らせちゃうことしたの?」
ひなたは心配そうな顔をした。
「ひなたはフェアリーリングに選ばれたんだ」
「選ばれた…って、どういうこと…」
ひなたは混乱して、頭が真っ白になった。
こんばんは、読んでくださりありがとうございます。
これから、ひなたの冒険が始まります。
他の投稿サイトでボツボツと書いていたのを一部修正し掲載しています。
次回は明日までに投稿予定です。何卒、よろしくお願いします。




