仲間と共に
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次の日の下校時。
英和学院小学校の校門前は、人だかりが出来て、騒がしくなっていた。主に、女子の黄色い声がキャアキャアと響いている。
「藤森くんが2人いるわ」
「双子だったのー?」
愛蘭が昨日の約束を守り、校門前に来ている。
蹴斗と学校が違い、清和学園小学校の制服を着ているので、余計に人目を引く。
その上、サービス精神旺盛。
下校する、女子達の、全てに手を振っている。
蹴斗がそれを制止するので、より騒がしくなり益々と注目される。
あの人達、完全に目立ってる。
ひなたは警戒して、校門の後ろ陰から様子を伺っている。
全然、わかってないよね。自分の立場をさ。こんなに目立ったら、何かの弾みで正体がばれてしまう事があるでしょ? 何で、あんなことしてくれてるのよ。
しばらく騒ぎが落ち着くまで、そのまま隠れて待つことにした。
少しの間、空を見上げ、ぼんやりとしていると
「ひなちゃん、こんな所でどうしたの?」
練が声を掛けてきた。
「あっ、練ちゃん。えっと、あのね」
「藤森くん待ち?」
「うーん…違う。と言いたいけど」
ちらっと、藤森兄弟の様子を眺めた。
さっきとほとんど、騒がしさに変化はない。
「待っているのね」
「うん」
練も藤森兄弟を眺めると、急にひなたの腕を組んできた。
「じゃあ、私と帰りましょ」
「えっ?」
ひなたの腕を組んだまま、ひなたを連れて校門を出て、藤森兄弟の前を通り過ぎた。
「練ちゃん。私、藤森くん達と約束が…」
「ええ。ひなちゃんの様子から察したわ。でも、女の子を待たせるなんて失礼よ」
「藤森くん達、ごきげんよう~!」
藤森兄弟に手を振った。
女子達に取り囲まれた藤森兄弟が、やっと気付いた。
「あっ、大門っ。待って!」
蹴斗が、女子達の塊の間から出てきた。
「俺のひなちゃん、待って!」
愛蘭も出てきた。
「あら、私のひなちゃんよ。ひなちゃんを大切にしない男の子には、会話する機会は与えません」
にやりとしながら、目の前に停まった大門家の自家用車に乗り込んだ。
追いかける様に、蹴斗と愛蘭も走って来た。
続いて2人が自家用車に乗り込むと、ドアが閉まり、車は去って行った。
練の鮮やかな行動力の前に、校門の前に集まった女子達は呆然としていた。
「ごめん、大門!助かった」
「いいのよ。もう、今度からは、私の大切な、ひなちゃんを待ちぼうけにしてはいけません。よろしいかしら、藤森くん?」
「そうだね、気をつける。ごめんな。桂木」
「別にいいよ。とにかく、あの面倒な女子の集団から、逃げられただけで充分だよ」
「本当に。元はと言えば、愛蘭があんな目立つ所で立っているからだよ」
「えーっ、何で俺のせい?」
「うんうん。全部、愛蘭くんのせいだね」
ひなたが何度も頷く。
「ひなちゃんまでっ!」
愛蘭以外の3人が、愛蘭をからかった。
「それにしても、藤森くん達そっくりねー」
練が蹴斗と愛蘭を見比べる。
「一卵性だからね。母さん以外は大抵、どっちかで間違えるね」
「お母さんは間違えないんだ」
ひなたが藤森兄弟の母に感心する。
「声も一緒なのにさ」
「まぁ、お母さん。どうやって見分けているのかしら」
「俺の方の声が、落ち着いているんだって」
蹴斗が愛蘭を見て笑った。
「どういう意味だよ?」
愛蘭が蹴斗に絡み始めた。
「まぁまぁ、2人ともこんな狭い車内で揉めないで」
練が仲裁に入った。
「ところで、藤森くん達はひなちゃんに、どんな御用事があったのかしら」
あっ、忘れてた。
「練ちゃん、私の家に珍しい古物があるのは、知っているよね」
フェアリーリングも当てはまるよね。
「ええ、知っているわよ。それで?」
「藤森くん達のお父さんが古美術商されてて、藤盛くん達も古物には興味があるようで、良かったら見に来てもいいよって誘ったの」
ちょっと話がずれたけど、決して練ちゃんには、嘘はついていません。
「まぁ、いいわね!」
ひなたが藤森兄弟を見て頷くと、藤森兄弟も、ひなたをちらりとみて頷いた。
危ない、危ない。私だけでなく、藤森くん達の事も、ばれるわけにはいかない。
「藤森くん、ひなちゃん宅に初訪問ね」
練がなぜだかニヤニヤしている。
何で練ちゃん、ニヤニヤしてるのかな。
蹴斗は練が喜んでいる姿を見て、ひなたや愛蘭に気付かれないか、ヒヤヒヤした。
「それなら、お家まで送るわね」
練が運転手に指示すると、大門家の自家用車が、行き先を桂木宅へと変更した。
それから、4人で楽しく会話している間に自家用車は到着し、3人は玄関前に降ろしてもらった。満面の笑みで練が手を振り、自家用車は去って行った。
練ちゃん、さっきから大丈夫かな?藤森くん達の影響でおかしくなってないよね。
ひなたが蹴斗の方を振り向くと、蹴斗は驚いて、桂木の邸宅を見回している。
愛蘭も同じだった。
蹴斗と愛蘭は、桂木の邸宅の広さに驚いていたのだ。
「すごい、広すぎだろ」
「うん」
「えっ、私の家の事?」
「そう!そう!」(藤森兄弟)
藤森兄弟は、勢いよく何度も頷いた。
「うちを自慢するつもりでもないけど、練ちゃん家に比べたら、10分の1程度だよ」
「広すぎて、わけがわからん!」
「どんだけあるの、大門家!!移動するだけで大変じゃん」
「えっ?○○ウェイで、楽々と移動する」
「自宅の敷地内で○○ウェイって、どれだけお嬢様なんだよ」
興奮気味の藤森兄弟の自宅は、ごくごく普通の一軒家なので、衝撃だった。
「練ちゃん家は笑っちゃうくらい、どえらい豪邸だからね。そのうち、一緒に行こうよ。練ちゃんが盛大に歓迎してくれるよ。それでは、うちの中へどうぞ」
ひなたは藤森兄弟を邸宅へと案内した。




