同業者達
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翌日の祝日、ひなたは朝から忙しく動いていた。美術館の開館直後から下見をすると、午後は練からアフタヌーンティーに誘われていたので、大門家で過ごすと、16時には帰宅した。部屋に戻ると、確実に覚醒できるように、3つの時計にアラームをセットして、夜に備えて休息をとることにした。
しまった。こんなにバタバタと忙しいなら、今週の日曜日に計画を立てれば良かった。せっかくの祝日なのに、もっとのんびり過ごしたかった。
自分の無計画さに、反省した。
それよりも寝ておかなくちゃ。広い美術館だったし歩き回るよね、体力温存しよう。
18時過ぎに、ひなたがセットした時計のアラームが、一斉に鳴り響いた。
「わっ!」
アラーム達の騒音に驚いて、飛び起きた。
窓の外を見ると夕暮れになっている。
アラームを1つずつ解除して、3つ目の時計のアラームを解除する時には、完全に目が覚めきっていた。
少しは休めたから良かった。かるーくウォーミングアップして夕食食べよう。
ひなたは、邸宅の周りをかるーく3周して、倉庫横にある、お一人様テニスコート(相手は倉庫の壁)で、かるーく30分ほどテニスをしてから夕食を食べた。
運動神経が良い結果、ひなたにとって、この程度は、かるーいウォーミングアップである。
そんなこんなで、19時20分になった。
そろそろ、行こうかな。隣町までは、こんな格好でうろうろしていたら、怪しまれる。バスや電車は使わずに行こう。
ひなたは黒い猫耳が付いたパーカーに、黒の短パン、黒タイツに黒のスニーカーの出で立ちで、リュックにインラインスケートを入れた。
万が一、追われるような事があれば、自転車では逃げ辛い。だったら、これしかない。
いつもの様にバルコニーから降りると、邸宅の外でインラインスケートに履き替えて、隣町の美術館を目指した。
美術館までは30分程度で着くはず。
隣町まで、ひなたの知る限りの近道ルートで、30分かかることなく着いた。
うわ…やっぱり美術館でかいっ!
昼間に見た様子と、夜のなか照明に照らされた美術館は、ひなたがひいてしまう程に、広く大きく見えた。
「こんなとこ、一晩で回れる?」
時間は19時48分になっていた。
ううん。考えている時間が無駄、明日は学校があるんだから。
「とにかくさっさと回ろう」
下見の時に選んだ2階の窓から、美術館の中に入っていった。
美術館は中央部分が円形の建物になっており、建物は十字の形になるように、四方に連なって伸びている。ひなたは、中央部分の展示は最後に残し、四方に伸びた建物の部分の展示から、順番に見て行くことにした。
あっ、これを忘れないようにしなきゃ。
手にはフェアリーリングを持ち、頭には上着のフードを被り、手以外は真っ黒な出で立ちで、暗闇に同化した。防犯カメラ対策も万全だ。
ーーーー。
辺りはしーんと静まり返っている。
フランスの中世時代の展示物が古めかしく、不気味な感じだ。
展示の中には甲冑があり、近くを通り過ぎる時は、甲冑が急に動き出すのではないかと、心臓の鼓動が早くなる。
怖いなぁ。幽霊とか、信じる方ではないけど、出てきそうな雰囲気で嫌だ。
四方に伸びた建物の3番目に、足を進めた時。
…コトッ…。
何か小さく物音が聞こえた。
!!。警備員さん?
とっさに、展示物の台の物陰に隠れ、じっと身を潜めた。
ーーーー。
数分間が経過しても、辺りは静かなままで、警備員のライトも見えない。
建物の軋んだ音かな?警備員さんじゃなかったみたい。
警備員が来ていないと判断して、再びフェアリーリングを展示物に近づけて、反応を見て回り始めた。
しばらくは、淡々と同じ作業を繰り返した。
その時ーー。
四方に伸びた建物の4番目の、奥の展示物まで、差し掛かった時だ。
誰かが話している声が、聞こえてきた。
今度こそ、警備員ではないかと思い、展示物の後ろに隠れようとした瞬間ーー。
ひなたは展示物の土台に、足を引っ掛けて転んでしまった。
「あいたっ!」
やばい!!声が。
「誰だ?」
「女の子の声がしたぞ」
男の声が近づいてくる。
まずい!絶対絶命のピンチ!!
こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。
次回更新は明日の夜を予定しております。
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