学業とアイテム探しの両立
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19時過ぎ。
夕御飯を早めに済ませたひなたは、蓬介が帰ってくるのを部屋で待っていた。
ベッドでゴロゴロしたり、練と電話したりしていたが、待てども待てども…なかなか蓬介が帰って来ない。
「お父さん、遅いなぁ…」
時計を見ると、19時32分になろうとしている。
あんまり遅いと、明日は学校で眠くなるかも。
「お父さんには悪いけど、昨日の報告は明日って事にしよう」
そうなると善は急げだ。
ひなたはハウスメイドに、今から寝るので、部屋をノックして起こさないでと伝えた。
部屋に戻るとすぐに、あたかもベッドで寝ているように、掛布団の中にぬいぐるみを入れて、それらしい形にしてから、自分の外出用の洋服へと着替えた。
「今夜はブラックウサギスタイル~」
黒のウサギ耳がついた帽子を被り、黒のスウェットの上着と短パンに、黒のタイツと黒靴の出で立ちだ。
あと、フェアリーリング。
更にリュックの中に、必要なものを詰め込み、ベランダからロープを蔦って出掛けた。
今日はお父さんの知り合いの古美術商さんのお宅だね。
ひなたの家から屋敷までの距離は一キロ弱で、近距離だ。
インラインスケートに履き替え、ひなた独自の裏道?を通ると数分で到着した。
外門の入り口には警備員が1人だけ立っている。
これは、フェアリーリングの出番ですな。
フェアリーリングをリュックから出すと月の光に翳した。
フェアリーリングは、月の光で目を覚ましたかの様に青白い光を放った。
警備員さんを眠らせて。
ひなたが心で呟いて、フェアリーリングに命令すると反応して、柔らかい光を放ち、光が警備員を包み込んだ。光に包まれた警備員は、声をあげることなく、静かに、その場に横に倒れ、ぐうぐうと眠り始めた。
これが私の偉大なる力!
勘違いしないで下さい。フェアリーリングの力です。
防犯カメラの位置を確認すると、防犯カメラを設置している木の枝の上に登り、カメラの上の枝をひょいひょいと渡り、屋敷横の木の枝の上に辿り着いた。
さてと、ここまでは防犯カメラに写らなかったけど。
リュックから双眼鏡を出して、屋敷内に侵入できそうな窓があるか探る。
1階は、全ての窓に防犯カメラが設置されている。
1階は無理だね。2階はどうかな?
2階の窓を探ってみる。
ベランダのある窓には、防犯カメラが設置されているが、他の窓には防犯カメラはなく、都合良く窓が開いている所があった。
2階は1階から登れなさそうな家の作りだから油断してるよね。
「ま、世間一般の泥棒さんには無理だろうけどね」
と防犯カメラに届かないくらいの小声で呟くと、ひなたは手を伸ばしフェアリーリングを頭の上に翳した。
私をあの窓まで、飛ばして!
心の中で命令をすると、フェアリーリングから、ひなたを包み込むような風が吹いた。風はひなたの体をふわりと空中に浮かせて、窓のふちまで飛ぶことが出来た。
うんっ、成功!自分を移動させる事が出来るようになったよ。段々とフェアリーリングの使い方がわかってきたよ。
足音を立てないように注意を払いながら、窓から侵入した。
侵入した部屋には絵画や○○焼の壺など様々な古美術品があったが、ざっと見た様子では、フェアリーリングが反応しそうなアイテムは置いてないように見えた。
多分、お父さんが言っていたアイテムは無さそうだね。念のためフェアリーリングを翳してから、さっさと帰ろう。
案の定、フェアリーリングは何の反応もなく屋敷を後にした。
帰り道、インラインスケートを屋敷周辺で履きたかったが、怪しまれそうなので、屋敷から少し離れた公園までやって来た。
街灯の下で、インラインスケートを履いていると
「桂木?」と誰かが声をかけてきた。
あれ?この声って。
恐る恐る後ろを振り返ると、蹴斗がにこにこしながら立っていた。
「やっぱり桂木だった」
片手にバスケットボールを持っている。
「こんな時間までバスケの練習?」
「あ、うーん、えっと…そうだね」
「そっか、ボール持っているものね」
「ランニングしたりとかもしてたからさ、ははは…」
何故か蹴斗は苦笑いをした。
「陰で努力してるんだよね、そうじゃないと上手くはなれないよね」
「そうだよ、努力してるよ。桂木なら、運動神経がずば抜けているから、努力は不要なんだろ?」
「まぁね」
偉そうなポーズをとった。
「でも、勉強は努力しないとだけどさ」
「確かに」
ひなたががっくりと項垂れる。
「藤森くん一言多いよー」
2人で笑い合った。
「桂木、こんな夜遅くだから、俺が家まで送ろうか?」
「ありがとう…でも」
私が、夜にこっそりと外出していることが、お父さん以外に知られたらダメなんだよね。それに、私のしている事を藤森くんに知られたくない。
「インラインスケートを履いたら、家まで数分で着くし、もし藤森くんのファンの女子が、たまたま、通りかかって来て見つかったら、何言われるか」
「俺はいいけど」
嬉しそうに、にやりとした。
「私は良くないの!じゃーね」
ひなたはインラインスケートを履くと、蹴斗に手を振り、家に向かってスピードを上げて走った。
公園に残された蹴斗に背後から、同じ背格好の子が近づいてきた。
「同級生?遠くだから良く見えなくて、だけど声はすごく可愛かった」
「同じクラスなんだ」
「バスケの練習って言った?」
「うん…特に桂木には、知られたくないからさ」
「蹴斗がそんな感情になることんもあるんだね。良かった、良かった」
蹴斗の肩をポンポンと叩く。
「あのさ、俺の事を何だと思ってんのさ。帰るぞ」
足早に公園を出た。
「あ-、蹴斗!置いてかないでー!」
蹴斗と同じ背格好の子は、重たそうなリュックを背負うと、後について帰って行った。
こんばんは、小桜です。今夜も読んでくださりありがとうございます。
次回更新は明日の夜の予定です。
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