59.話し合い
無事にダンジョンから街に戻ることができた。
20階層までは俺とメアと委員長で向かってくるモンスターだけを倒して進んだ。
そして20階層のボスモンスターには岩佐先生と鈴原さんと神山さんも加わって戦った。
リビングアーマー3体は少し時間が掛かったが倒すことができた。
何があるかわからなかったのでシラユキとゴウキは温存しておいた。
変化茶を使い、岩佐先生がミュワーズ・委員長が赤髪の人・鈴原さんが茶髪の人・永田は藤井先生に変化した。
神山さんは姿が消せるので変化は無し。
先にドラレさんと永田達に水晶を使ってもらい、俺とメアは少し時間を置いて使用した。
宿に戻って数分後、ドラレさんが師匠とオータルとミランを宿まで運びに来てくれた。
ドラレさん達の宿の位置を教えてもらい、ジルさんが起きたら一度話をしようと言って帰っていった。
僕とメアは3人をベッドに運び、疲れてそのまま寝てしまった。
朝目が覚めると、ジル師匠が起きていた。
「師匠!」
「すまなかったな。宿に戻っているということはミュワーズを倒したのか?」
「はい。どうにか倒せました」
俺はジル師匠が意識を無くしてから事を話した。
「イツキ、良い判断だ」
「本当ですか?」
「ドラレを完全に信用はできないが、その状況下で頼る相手としては間違っていない」
「これからどうしましょう」
「ミュワーズ達は王都に連れて行きたい。あとは勇者達がどうしたいかだな」
「皇国から離れたいみたいですが…」
「それも相談に乗ってあげた方がいいだろうな」
ジル師匠は何かを考えているようだ。
「そういえばドラレさんがジル師匠が目覚めたら話したいと言ってました」
「わかった。少しドラレの宿に行ってもらえるか?」
「わかりました。こっちに呼ぶんですか?」
「そうだな。俺が行くと目立ってしまう」
「了解です。まずは朝食を済ませましょう」
俺はすぐに朝食を用意した。
▽ ▽ ▽
宿にはドラレさんと藤井先生の姿をした永田とミュワーズの姿をした岩佐先生がやってきた
「ジール!!」
ドラレさんはジル師匠に抱き着く。
「おい!話し合いをしに来たんだろ?」
「くっついたままでも話し合いはできるじゃん」
「うっとおしいから離れろ!」
「いやだー!弟子くんを手助けしたご褒美くらいいいじゃん」
「くっ!」
ジル師匠が意識の無い間、ドラレさんに助けられたことは伝えてある。
この言葉をジル師匠は無下には出来なそうだった。
ドラレさんがジル師匠の隣にピッタリ座って、話し合いが始まった。
「まずはミュワーズ達の様子を教えてくれ」
「怠惰の首輪のおかげで大人しく部屋で生活してるよ」
「ミュワーズ達は獣王国の王都で拘束するつもりなんだがそれでいいか?」
「うーん。それに関して1つ良い?」
「なんだ?」
ドラレさんは少し心配そうに口を開く。
「うちはどうなる?」
「ん?ここまで協力してもらって拘束するつもりはないぞ」
「そう言うことじゃなくて!」
「どういうことだ?」
「このパーティ辞めたら生活できないんですけど!!」
「あーそっちか」
「別にいいんだけどさー。ジルと2人でパーティ組むとかできるかなーって」
「却下」
ジル師匠は冷たく言い放つ。
「えー。じゃあ弟子くんのパーティ入れてよ!」
「え?」
「ダメだ。却下」
「いじわる!」
ドラレさんは拗ねた。
「そんなことよりこれからどうするかだろ。ドラレは第2皇子派の動きはどれだけわかってる?」
「えー教えなーい!」
「おい!」
「だってー!」
ドラレさんはわがまま言い始めた。
ジル師匠の意識がなかったときは凄く頼りになる人だったのに、ジル師匠が居ると子供のようになった。
「どうしたら話す?」
「ジルの愛がほしいな」
「はあー。どうしたらいい?」
ジル師匠は半分諦めていた。
「うちが落ち着くまでジル達と行動するっっていうのはどう?」
「わかった。それでいい」
「やったー!!」
ドラレさんは大はしゃぎした。
「じゃあ第2皇子派の動きを教えてくれ」
「わかった!まず最後に話したのはダンジョンに入る前、ミュワーズの兄の部下が接触してきたの」
ドラレさんは話始める。
「チャルリって女なんだけど、魔獣騎士団の副団長って言ってたかな?」
「魔獣騎士団って言うのがモンスターを使って獣王国を攻めてる奴らだな」
「そう。ミュワーズの父親のザムザッグ・デフェルガ将軍の直属の部隊」
「そいつらがペタロドを襲おうと?」
「うん。多分うち達がダンジョンから帰還した情報は入ったはずだから、すぐにでも接触してくるはず。チャルリは焦ってたから、ミュワーズがまだダンジョンに挑戦するかの確認に来ると思う」
「焦ってた?」
「うん。レムチャってとこでかなり戦力を削がれたって言ってたから、皇国に帰る前に手柄を欲してるんだと思う」
「…レムチャ」
「ん?もしかしてジル達が防いだの?」
「いや、俺はいないがイツキ達が防衛に参加した」
「そうなんだ」
俺はレムチャの被害を思い出した。
あの時はベボンさんとコティさんがいたから何とかなった。
ペタロドを同じような状況にさせるわけにはいかない。
「第2皇子派から接触があったら、出来るだけ【魔女の四重奏】が作戦に関与できるように話を進めてくれ」
「うーん。そうなるとツムギが頑張んないと」
「わ、私ですか?」
岩佐先生はいきなり名前を呼ばれて驚いていた。
「チャルリはうちの話なんか聞いてくれない。聞くとすればミュワーズ。だからミュワーズの姿をしているツムギが頑張んないと無理かな」
「わ、私が…」
岩佐先生は動揺している。
「ドラレ。喋り方や関わり方などをしっかり教えてあげてくれ」
「はーい」
ジル師匠は岩佐先生を見た。
「ツムギ、本当にすまないのだがやってくれないか?」
「私にできますか?」
「やってほしい」
ジル師匠は頭を下げた。
すると永田が口を開いた。
「先生。受けましょう」
「永田くん」
「ジルさん。俺達も防衛に参加します。ただ約束してほしい事が2つあります」
「なんだ」
永田の表情は藤井先生の顔だがとても真剣だ。
「まず防衛後の支援をお願いします。他国に行くか、他の勇者を助けに行くかはまだ決めていませんが」
「わかった。出来るだけ手伝おう」
「そしてもう1つ。襲撃してきた人は必ず全員捕えるか殺すかしてください」
永田の発言に俺は動揺した。
「なんでか聞いてもいいか?」
「【魔女の四重奏】の姿で活動ができるのなら、他の勇者を助けに行くとなったときに動きやすいんです」
「なるほど。だがその姿は長くは続かないだろ?」
「大丈夫です。北村はちゃんと助けを求めれば手を差し伸べてくれる人間なので」
俺は永田が言っている意味が分からなかった。
俺の表情を見て、永田は口を開く。
「北村、俺のスキルを忘れたのか?」
「あ!」
北村のスキルは嘘を見破る。
変化茶が宝箱から出てきたものではないと分かっていたのか。
在庫があるかも聞いてきた。
あの会話から色々推測しているみたいだ。
「ごめん」
「責めたかったわけじゃない!そっちにも事情があるのはわかる。だから助けを求めたら助けてくれ」
「わかった」
俺が答えると永田はニコッと笑った。
「話は終わったか?」
「「はい。すみません」」
「じゃあ第2皇子派が接触するまでは各々の宿で待機だ」
「はーい」
「「わかりました」」
「変に目立たないように。接触があったら姿を消せる子にこの宿に来させてくれ」
「わかったよー」
これで解散するのがわかったのか、ジル師匠の胸に顔をぐりぐりするドラレさん。
ジル師匠はもう諦めているみたいだ。
俺はジル師匠と相談して、変化茶を多めに渡しておいた。




