56.vs魔女の四重奏⑥
俺と師匠はドラレさんから話を聞いた。
魔女の四重奏のメンバーは4人と3人。
『水腕の魔女』のミュワーズ。
『炎草の魔女』のファミ。
『砂岩の魔女』のソシーラ。
『狂嵐の魔女』のドラレ。
そして藤井先生と男性2人。
この3人は戦闘要員ではないらしい。
そしてファミとソシーラは邪魔者の排除のために下の階層で別れたらしい。
数年前、ゼネバース皇帝が獣王国を壊滅させた皇子を次の皇帝とすると言った。
それにより、第1皇子派と第2皇子派に分かれた。
第1皇子派は勇者召喚をして強力な兵力を手に入れる。
使えない勇者は自国や他国に売って資金に変えている。
第2皇子派はミュワーズの父のデフェルガ将軍を中心に獣王国を攻めている。
モンスターを操っている集団はミュワーズの兄が指揮官らしい。
藤井先生は他国に売られそうなところをミュワーズが買い取ったらしい。
元々数名の勇者を第2皇子派に譲る話になっていたらしく、簡単に買い取れたらしい。
【魔女の四重奏】は第2皇子派。
今回はペタロドダンジョンコアを破壊して、混乱に乗じてペタロドの街の破壊までが計画らしい。
そして第1皇子派の勇者を事故に見せかけて殺すこと。
すでに勇者についてきていた騎士は全員殺したらしい。
ダンジョンで見た防具はそれだろう。
「なるほどな」
「なら急いだほうがいいですよね?」
「そうだな」
「すぐに追いつくと思うよ」
「え?」
ドラレさんの発言に俺達は驚いた。
「ミュワーズは強いモンスターとの戦闘前には必ずトシハルを抱く。今までうち達が基本的に戦ってたからその必要はなかったけど、今はそうはいかない。それにミュワーズもトシハルも性欲の化け物だからね」
ドラレさんは汚いものの話をするように言った。
「ジルは安心して!うちは少し胸を触らせたくらいだから!偽物の力なんていらないし!」
「うるさい。聞いてない」
ジル師匠は本当に困惑している。
「ドラレさんは獣人に抵抗ないんですか?」
「え?ないよ。うち皇国出身じゃないし。ミュワーズやファミとかソシーラは人族至上主義だったけど、別にうちに害がないなら何でも。だからジル!結婚してー」
「うるさい。イツキ。話は聞けた、先に進もう」
「は、はい」
ジル師匠は次の階層に向かおうとする。
「ジール!うちも行くからね」
「いや、邪魔だ」
「えーうち使えるよ?」
「知らん」
ジル師匠はドラレさんを無視して進む。
その後ろを笑顔で付いて行くドラレさん。
俺は気まずい気持ちで後を追った。
▽ ▽ ▽
ヘビのモンスターが数匹。
そして散らばるドロップアイテム。
「これは近いか?」
「うん。もし強そうなモンスターがいたらスキルを使うから」
「わかった」
「でも短時間しか使えないから……」
「大丈夫」
心配そうにしている凪の頭を撫でた。
目覚めてすぐに走って移動させて、凪には本当に申し訳ない。
俺達はヘビのモンスターを倒しながら進む。
基本は凪が倒してくれるが、俺でも問題なく倒せた。
「大丈夫?」
「ああ。問題ない」
「階段が見えてきたから急ごう」
「わかった」
俺達は急いで階段に向かった。
▽ ▽ ▽
「うわ!すご!」
俺は素手でスカルスネークの攻撃を弾いた。
ドラレさんの魔法で風の鎧を纏っているおかげで、触れるだけでスカルスネークが吹き飛ぶ。
ジル師匠が戦っているスカルサーペントキングもジル師匠の拳よりも大きな風穴が空いていた。
「ドラレさんの魔法は凄いですよ」
「でしょ?弟子くんからジルにもちゃんと伝えてね」
「は、はい」
ドラレさんはずっとジル師匠を見つめていた。
本当に恋したみたいだ。
「イツキ!また上位種だ。細かい奴は頼んだぞ」
「はい!」
俺は再びスカルスネークの群れに向かった。
モンスターの殲滅が終わった。
「ジール!邪魔しなかったでしょ?どう?うちの魔法」
「ああ。助かった」
「じゃあ結婚する?どう?どう?」
「しないし、離れろ!」
ジル師匠はドラレさんを投げる。
ドラレさんの身体はふわっと一瞬浮いて、そのまま着地した。
「もー。うちじゃなかったら怪我してるよ」
「悪かったから、黙っててくれ」
ジル師匠の困り具合は凄かった。
「北村!!」
「え?」
後ろから声がして振り返ると、永田と神山さんがいた。
「神山さん、起きたの?」
「うん。なんで北村が?」
神山さんは驚いていた。
「あれ?北村に合流するって言ったよな?」
「うん。でもその北村がこの北村だとは……」
「ああ。そうか」
神山さんは事情も聴かずにここまで来たらしい。
「伝えたいことが…。てか【魔女の四重奏】が何でいる?」
永田がそう言ってドラレさんを見た。
「うち?ジルの婚約者になったから協力することにした」
「婚約者じゃないだろ」
「ん??」
永田は首を傾げた。
「どうした?」
「俺のスキルは嘘を言ったらわかるんだけど、2人共嘘を付いてない……。言ってることが正反対なのに」
「ああ。ドラレさんは本気で婚約者だと思い込んでるんだと思う」
「は?」
俺は永田達にドラレさんとの出会いの話をした。
「わけわかんないがそういう人ってことだな」
「そうだね」
永田はギリギリ理解してくれた。
「下の階層で【魔女の四重奏】を2人捕縛してる。戦闘でオータルさんとミランさんが倒れたけど、他のみんなが護衛している」
「やっぱり戦ってたか」
ドラレさんの話は嘘じゃなかったみたいだ。
オータルとミランが心配だが、まずはミュワーズを止めないと。
「オータルさんが倒れる前に北村との合流を急いでいたから、2人だけだが合流しに来た」
「ありがとう。助かるよ」
俺達は永田達と一緒に上の階層へ向かった。




