53.vs魔女の四重奏③
デザートビートルとデザートビーを倒し終わった。
刃が通る敵でよかった。
「すみません。遅くなりました」
「問題ない」
「よし。次の階はボス部屋だ、冒険者ギルドの情報ではボスモンスターはサンドドラゴン。長引くとめんどくさい。サンドドラゴンは俺がやろう」
「はい、わかりました!」
「31階層からは冒険者ギルドの情報も不確かだ、ボスを倒した後も気を抜くな」
「わかりました」
俺達はシラユキに跨って、ボスモンスターがいる30階層を目指した。
▽ ▽ ▽
「ぺっ!ぺっ!」
砂の波に呑まれたけど、何とか脱出できた。
口の中が砂まみれだ。
「ミランは?」
周りを見るがミランはいない。
ゴウキはこっちを心配そうに見ながら石の騎士と戦っている。
「探さなきゃ。ぐっ!」
私はミランを砂の中から探そうとしたが、頭を急に踏みつけられた。
「まだ生きてるのぉ?すごーい」
「離して」
「やーだ。獣人に触れるのはばっちいから嫌なんだけどぉー。殺しておかないとお姉様に怒られちゃう」
「ぐっ!」
踏みつける力が少しずつ強くなり、顔が砂に埋まっていく。
「てか何しに来たのぉ?本当に関係ない冒険者だったら笑っちゃうねぇー」
「………」
「関係あるのぉー?ソシーラちゃんに聞かせてよぉー」
「うるさい」
「はぁー?なんなのぉー」
ソシーラの力はどんどん強くなる。
「じ、獣王国に何するつもりなの?」
「えー。私が質問してるんだけどぉー。ストーンアロー」
「がっ!!」
腕に痛みが走る。
「だから関係あるか聞いてるのぉ!ストーンアロー!」
「ぐっ!!」
脇腹に痛みが走る。
これはまずいかもしれない。
「御意!!」
ゴウキが砂の騎士を倒して、助けに来てくれる。
「サンドナイト!サンドアーチャー!」
しかし砂の騎士が現れ、阻止される。
「うーん。めんどいなー。てかこいつは何なのぉ?モンスターなのぉ?」
「御意!」
「うざーい!ストーンアロー!ストーンランス!」
ソシーラの攻撃がゴウキに当たる。
石の矢と槍はゴウキの身体を貫通し、ゴウキは消えた。
「あー。召喚系だったんだぁー。じゃあもう終わりだねぇー」
ソシーラは私を見ながらニヤっと微笑んだ。
▽ ▽ ▽
30階層のサンドドラゴンはドラゴンと言うよりかは翼が付いた大きなトカゲだった。
師匠は楽しそうに何発か殴って倒していた。
あんな簡単に倒していいモンスターではない。
僕は師匠の強さを痛感しながら、上層へ向かう。
31階層は遺跡のようになっていた。
下層にも同じようなところはあったが、幻想度が増していた。
これは絵に描きたい。
「あれ?モンスターいないですね」
「そうだな。【魔女の四重奏】が倒した後の可能性がある」
「なるほど」
俺達は警戒しながら進む。
「ん?あれ?」
目の前にモンスターが現れたが、どう見てもスライムだった。
「え?こんな高層にスライム?」
「いやそんなはずはないと思うが、どっから見てもスライムだな」
「念のために見てみます」
俺は魔物図鑑にスライムの絵を描いた。
「えーっとスライムです」
「やっぱりそうだよな」
「なんでこの階層にはスライムしかいないんだ。しかも数が少ない」
周りには敵対すらしてこないスライムが数匹。
▽ ▽ ▽
制御が成功したのか、何の反動もなく『獣化』を解除出来た。
俺達は吹き飛ばしたファミを探しているが、姿が見当たらない。
「いないぞ?」
「そうね」
2人も探しているが見つからない。
他の勇者達の元に戻ろうと思ったその時。
森の中から火の槍が飛んでくる。
「あーめんどくさい。身体は痛いし、負けて帰ったらお姉様に何を言われるか」
森の中から出てきたファミは血だらけだったが、ポーションを飲んだのか傷は塞がっていた。
「頭使うのもだるい。もうどうなってもいいや」
ファミはそう言うとビーストジンジャーが入っている袋を取り出し、自分の足元に叩きつけた。
ファミが深呼吸をすると、首の力が無くなってガクッと折れた。
「がああああああああ!」
いきなり叫びだし、身体が炎に包まれた。
そして辺り一面に謎の花が大量に咲いた。
「なんだこれ?」
サクが花に触れる。
ドカン!
花は触れられた瞬間、爆発をした。
連鎖で近くの花も次々爆発していく。
「おい!気を付けろ」
「ぐっ!うるせー」
サクは怪我をしたみたいだが、軽傷みたいだ。
「がああああああ!」
叫ぶファミは身体から炎の鞭を出して、俺達に向かってくる。
「獣化!!」
俺は出来るかわからなかったがビーストジンジャー無しで『獣化』をしてみた。
練習はしている。
たぶん出来るはずだ。
一瞬意識を持っていかれそうになるが、身体は巨大化し角も変形した。
成功だ。
「ガアアアアア!俺が相手してやるよ!」
俺は火車を使いながら向かってくるファミに突進をする。
火車が炎の鞭を弾く。
「くらええええ!!」
俺は拳をファミに当てる。
炎に邪魔されて、拳を逸らされる。
「オータルさん!」
ツムギが棍棒を振りかぶって、ファミをぶっ飛ばす。
しかし身体を覆っている炎に防がれ、逆に炎に襲われる。
しかしツムギは攻撃をやめずに、何度も殴り続ける。
「元ヤン舐めんなよ!!こんな熱さなんか余裕です」
「おい!無理するな」
「大丈夫!」
ツムギは一心不乱に棍棒を振り回していた。
俺はファミに掴みかかる。
凄く熱い。
ツムギも我慢しているんだ。
俺は火車でできるだけ炎を散らしているが、ファミを掴んでいる手の感覚がなくなっていく。
「オータルさん!そのまま離さないで!」
「え?」
サクの声がしたが、場所を確認する余裕がない。
俺は指示通りにファミを掴むことだけに集中をした。
▽ ▽ ▽
32階層。
同じく遺跡のような場所。
出てくるモンスターはスライムの身体をしたゴブリンとへビのモンスターだ。
魔物図鑑によればスライムゴブリンとスライムスネークという種類だ。
正直、高層のモンスターとは思えないくらいの弱さ。
「これってなんかの前兆ですか?」
「ははは。俺もそう思っていた」
ジル師匠は苦笑いをした。
33階層。
やっと敵対してくるモンスターが大量に居た。
師匠が言うには、ポップスネークというモンスターだ。
噛みついた瞬間、体を破裂させるモンスターらしい。
だがそこまでスピードが速いわけじゃないので、噛みつかれる前に倒して前に進む。
「こんなモンスターもいるんですね」
「俺はダンジョンでしか見たことはない。この特性だと野生で出会う方が難しいだろ」
「そうですね」
自爆攻撃するモンスターが沢山いてたまるか。
ポップスネークを倒しながら34階層に上がると、1人の女性がいた。
その姿には見覚えがあった。
魔女の四重奏のメンバーだ。
「やった!暴獣じゃん!!うちの『野生の勘』は最高だな」
薄緑色のショート髪の女性は嬉しそうにしている。
多分この人は強い。
顔は美形だが身体はかなり筋肉質だ。
ジル師匠は口を開く。
「お前は?」
「え?うちはドラレ!あんたは暴獣のジルだろ?」
「そう呼ぶ奴もいる」
「やったー!ん?でもここにいるってことは、ファミとソシーラは倒しちゃったの?」
「何のことだ?」
ファミとソシーラ?
もしかして下の階層にまだ敵がいた?
「あー暴獣と戦いたくなかったんだろうなー。まあそのおかげでうちが戦える」
「お前を倒さないと進めないということか?」
「うん。でも暴獣だけ残ってくれてもいいよ」
「え?」
俺は通っていいってことかなのだろうか。
「イツキ」
「わかってます。ここは任せて先に行けですね」
「ん?違うぞ?獣化!」
目の前にいたジル師匠が居なくなった。
ドゴン!
大きな音がする。
その方向を見ると、ドラレが壁に埋まっていた。
「え?」
「すぐ倒すからちょっと待っていろって言うつもりだったんだが」
「あ。先急ぎましょう」
「ああ」
俺達はポップスネークの上位種のボムスネークを倒しながら上層階に向かった。




