52.vs魔女の四重奏②
「最後まで足場は最悪だったわね」
「そうだね。ぐちょぐちょで歩きにくかったー」
「御意!」
私とミランとゴウキは水浸しになった26階層を進み、27階層への階段を見つけた。
魔女の四重奏は女性の冒険者4人と奴隷のような扱いを受けてた男性が3人居た。
さすがにイツキとジルさんだけで戦うのは厳しい。
シラユキの速さには追い付かないが、私達はできるだけ早くイツキとジルさんに合流しなきゃいけない。
「わー。また同じだ」
27階層の砂漠も水浸しになっていた。
「このままだと時間が掛かりすぎるわ。遠回りでもいいから乾いた場所を進んだ方がいいと思う」
「うん。そうだね」
私達は上階層を目指して走った。
▽ ▽ ▽
28階層と29階層も変わらずびちゃびちゃ状態だった。
「この階層は?」
「デザートビートルとデザートビーがいる階層だ」
「ここは他の階層より日差しが強いですね」
今までの階層よりも遥かに気温が高かった。
「この様子ならモンスターもあまりいないだろう」
「なるほど。じゃあさっさと進んじゃいましょう」
「そうだな」
俺達は変わらずシラユキに跨り進んでいく。
少し進むと空から砂の塊が飛んできた。
虫型のモンスターの大群が俺達を追いながら攻撃をしてきていた。
「これは一旦戦うしかないな」
「そうですね」
俺はシラユキに跳び上がるように指示を出した。
▽ ▽ ▽
なるほど。
これが『獣化』か。
頭が朦朧とするけど、いつもより力が漲っているのがわかる。
ジルさんはこれを制御してるのか。
俺の身体は2倍以上に大きくなり、角も形が変わっていた。
この鎧じゃなかったら壊れてたな。
俺の鎧は代々受け継がれている特別製だ。
『獣化』した時にも対応できるようになっていたんだろう。
「グルルルルルル」
大丈夫。
俺になら制御できる。
制御して、あいつを倒す。
あいつは今油断しているはずだ。
俺が暴れて、勇者達を攻撃すると。
最初の一撃は必ず当てないと。
「グロロロロロ!!!!」
俺は雄たけびを上げて、地面を蹴ってファミに飛び込む。
「え?」
「ガアアアアアア!」
ファミは俺の角が当たって吹き飛んだ。
「連突ううううう!!!」
俺は角でファミを弾いて、何回も突進をする。
「な、なんで。ぐっ!が!」
致命傷は与えられたみたいだ。
ファミは血を吐きながら吹き飛んで行く。
「おい!角筋肉!大丈夫なのか?」
「がああああああ!平気だ!!ついてこい」
「おー。いいじゃん。元ヤンもついて来いよ」
「え?え?大丈夫なの?」
ツムギは戸惑っているようだが、サクは順応しているみたいだ。
俺達は吹き飛んだファミを探しに行った。
▽ ▽ ▽
27階層を歩いていると水が乾いている場所があり、そこを私達は歩いていた。
「なんでここだけ乾いてるんだろう」
「魔法の範囲外だったとか?」
「うーん」
「御意!」
「わかんないけど、モンスターがいるかもしれないから気を付けていこう」
私達は警戒をしながら進む。
「ねーあれは何?」
私達の目線の先には建築物が建っていた。
砂漠に建築物?
しかも遠目で見る限り材質は砂だ。
砂の城?
ダンジョンの特有の何かなの?
私とミランは戸惑っていると、砂の城の周りに人影を見つけた。
よく見てみると【魔女の四重奏】のメンバーだ。
その女性は茶色の長髪でとてもセクシーな格好をしていた。
あんな格好で冒険者なんかできるのだろうか。
「でーきた!こんな大きなお城、初めて作ったぁ!あーあ。谷間に砂が入って気持ち悪いよぉー」
女性は自分の胸を触りながら何かを言っていた。
「あれ?」
女性と目があってしまった。
「だーれ?」
女性は不思議そうに私達を見る。
その様子を見て、ミランは小さい声でつぶやく。
「このまま近づいて、先制攻撃を入れるぞ」
「う、うん。わかった」
私達は笑顔で近づく。
「あのー何をしてるんですか?」
「え?私ぃ?砂のお城を作ってたのぉ」
「なんでそんなことを?」
「うん?邪魔する人が来るまでの暇つぶしだよぉー。でももう必要なさそーだね」
女性の私達を見る表情が変わった。
「邪魔者が来たので排除しまーす!サンドウェーブ!」
女性がそう言うと砂の城が崩れ、砂の波になり私達に向かってきた。
「御意!」
ゴウキは私達の前に立ち、金棒を振る。
目の前の砂が吹き飛び、私達の横を通り過ぎていった。
「ありがとうゴウキ」
「助かったわ!」
「御意!」
私達は体勢を整え、武器を構えた。
「なーんだぁ死ななかったかー。ソシーラ城を壊して攻撃したのにー」
「残念でした。砂の波なんてゴウキが吹き飛ばしちゃうわ」
「御意!」
ゴウキは金棒を上に掲げる。
「御意!」
ゴウキが声をあげると頭上に雲が現れて、大きな音を立てながら雷が女性に向かって落ちる。
雷が女性に当たり、砂埃が舞う。
砂埃が晴れると無傷の女性が立っていた。
「ケホケホ!もー。何するの?」
「なんで?」
「なんでってぇー雷魔法が私の砂に効くわけないじゃん!」
女性は笑顔で言った。
「そんな強い攻撃をしてくるならぁ、私もやっちゃうよぉー。サンドアーム!」
女性の目の前に砂が集まり、大きな2本の腕になった。
「じゃあいっくよぉー!」
サンドアームは拳を握り私達に向かってきた。
「メア!」
「うん!」
私達は武器でサンドアームの攻撃を防ぐ。
その隙にゴウキが女性に近づき、攻撃を仕掛ける。
「もーずるいよぉー。サンドナイト!私を守ってぇ!」
地面から砂でできた騎士が現れ、ゴウキの攻撃は防がれる。
そのままゴウキは砂の騎士と戦い始めた。
「てかぁー。あの子がいないとこれ防げないんじゃない?」
「「え?」」
「ソシーラ城の敵!!サンドウェーブ!」
再び砂の波が私達に向かってきた。




