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51/52

クリスマスは誰と過ごしますか?

 51話、美優視点です。

 本話より年末年始編スタートDeath。


※残り

年末年始(12月末〜1月はじめ)→バレンタイン

↑

NOW


バレンタイン編は2月はじめ〜2月14日(作中経過時間)の予定。

 中間試験も終え、冬休みを目前に控えた今。いつもの通学路で集まったあたし達は、未冬の鼻歌を背に軽い足取りで並び歩く。


「──でさー、今日のメンテからそのピックアップが始まるんだけどね?期間がいつもより短くてさー…3日だよだったの3日?ガチャ石集めるだけで時間がどれだけ溶けると思っt」


 こちらもいつも通り、唐突に始まった未冬の話。内容はまた、何かのソシャゲみたいだけど…あたしはわからないし、適当に受け流す。相変わらずの能天気さって感じ。

 そういえば文化祭の後、優陽の未冬に対する様子がおかしいようにも見えたけど…それもすぐさま元通りになっていたし、杞憂に終わった、なんてこともあったっけ。…一応、未冬関連の連絡(かんけい)はまだ続いているし、それが来なかった以上、特に進展があったとかは無い、はず。


 閑話休題。


 兎にも角にも、歩む慣れ親しんだ道。道路脇の花壇を溶けた霜柱が黒く濡らす。


「──あ、そうだミユちゃん」

「ん?」


 これもまた唐突に、未冬の向いた視線が、あたしを地面に固定する。

 さっきまでの話は何処へ行ったのやら。こういう時はだいたい、碌な話じゃない。そう、経験則的に。碌な話じゃないったら碌な話じゃない。そう心に言い聞かせて、少しだけ耳を傾ける。


「ユウヤとのデート、どうだったの?」


 思わず吹き出したのは、どちらが先か。若干あたしのほうが遅くて、優陽が自分ので気付かなかったことに賭けるべき?どの道乙女的には大問題で──いや、この際それは問題じゃない。うん。


「な、何を言ってるの未冬?あ、あたしが優陽とで、デートだなんて」


 冷静に返そうとして、かえって明らかに震える声。

 …そういえば昨日の夜、「私に任せて!」なんてメッセージが返ってきてたっけ。たしかあの時は、文化祭以来の進展が無くてヤバいって、そう送ってたはずで。

 チラリと、あたしは優陽を一瞥して、その反応を伺う。デートというか、そもそもあたし優陽と行動したのは、文化祭を最後にしばらく無かったわけで。試験勉強とか、色々重なってたとはいえ、期間が空いた今、その話をするのは流石に不自然以外のなにものでもないと思っ──


「デート…まぁ、デートは楽しかったぞ。文化祭の話だろ?」

「なぁ───っ!?」


 あたしの心情など露知らず。なんてことない風に、言葉を返す優陽(朴念仁)。

 落ち着けあたし。デートを認めたとはいえ、鈍感が服を着て歩いているだけのあの優陽よ?どうせまた男女で一緒に行動したから、なんて解釈を──いや、あたし的にはデートだって感じてくれたのは嬉しいけどさ。

 熱くなる自分の顔。ニヤけそうになる表情を、必死に抑えようとして。ハッとなって顔を上げる。

 まるでほほう、とでも言うように。ニンマリと表情を浮かべて、こちらを覗く女(悪魔)が1人。優陽には見えない角度で、たしかに親指を立てた未冬は、尚も蒸し返すように、その話題を掘り下げていった。



ーーー



 怒涛の感想と、羞恥があたしを襲った登校時からしばらく後。一通りの授業を終え、教科書を閉じたあたしは、糸の切れた人形みたいに、力を抜いては机に突っ伏していた。

 …未だに耳に残るのは、優陽が登校時に言っていたあの日の事。なんだかんだ、『デート』が楽しかったって直接聞けたのは、あたしにとっては僥倖で。少しは意識してくれてるんじゃないか、なんて甘い妄想に浸ってみたり。


「はぁ…」


 楽しい思考を追い出すように、無意識に漏れた溜息。優陽が嬉々として語ってくれたからこそ、今更になって文化祭後のあの様子がまたあたしの頭を過る。最初は、後夜祭に未冬が出席しないからだと思ってたけど…それもまた、なんか違う気がするし。文化祭って単語を自分から出した時、一瞬曇ったようにも見えたから、少なくとも関係があることは確か。どっちにしろ、今あたしが考えたところで解決できる話でもないけどさ。

 もう一度漏れた溜息が、あたしの思考を吐き出す。伏せていた顔を少し上げて、無意識に優陽の姿を追ってみれば、彼は他の男子(クラスメイト)と何事も無かったように笑っていて。あの男は優陽の何も分かってない、なんて心の中で悪態ついてみる。



「さーなーだーさんっ♪」



 わっ、と。不意にあたしを覗き込んで、視界いっぱいが塗り替わる。何処か楽しげに笑う彼女──西条さんは、目が合うなりその場で一転すると、わざと膨らませたあたしの頬をつついてくる。


「どうしたのよ西条さん。あたしは今忙しいの」

「ふふ、相変わらず井口君の事ばかりですね」


 悪い?なんて八つ当たりしようとして、思わず口を噤む。

 いつも通りの笑顔。…あたしはこの顔を知っている。そう、知っているのだ。もっと具体的に言えば、文化祭の時によく見た笑顔。未冬とは違って、西条さんとはまだ半年しか関わってこなかったけど、こういう時の西条さんがする話は、碌な話じゃない。碌な話じゃ──


「ところで真田さん。



 ───クリスマスは誰と過ごしますか?」



 文脈を無視した、彼女一言。一瞬脳裏に過ったのは、いつもの面子で集まるクリスマス。いつも通りに──と、それ以上答えようとしたあたしの口は、それ以上開くことができなかった。

 碌な話じゃない!(念押し)


 みんなのクリスマスはどうですか?

 私…?私は仕事と言う名の恋人とずっと一緒の予定よ。()



 あ、これは宣伝なんですけど。『ダークエルフのシャルロッテ』という短編をあげたので、気になった方がいれば見てください。一応、恋愛モノ?年の差婚?ってやつを書いたので、是非。(更新停滞の原因)


↓『ダークエルフのシャルロッテ(なろう版)』↓

https://ncode.syosetu.com/n4106mq/

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