喫茶店?劇団?それとも掲示物?
46話です。
本話より文化祭編スタートDeath。
※残り
文化祭(11月初め)→年末年始→バレンタイン
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NOW
「──ってなわけで、ミユちゃんは自由時間中、ユウヤと二人で回っててね。…あ、言っておくけどこれは決定事項だから!」
「…はぁ?」
修学旅行が終わって、早一週間。未冬のそんな言葉に、思わず困惑の声が漏れる。
事の発端は、今日のLHRで放たれた、担任の一言。曰く、明日の話し合いでクラスの出し物を決める、とのこと。だから一人一案ずつ考えておけって宿題を出すのは、ちょっとどうかと思うのだけど。
とにかく、放課後未冬の部屋に来たあたしは、眼前の部屋の主に、冷ややかな声を浴びせ返す。
「あのさ、未冬」
「うん!」
「何が『─ってなわけで』よ!いきなり決定事項とか、そう言われても困るんだけど…」
「えー?」
不服そうに、頬をぷくっと膨らませ、文句を垂れる未冬。いつものことではあるけど、一体何がどう繋がってそういう結論に至ったのか。確かに、優陽との文化祭デートは魅力的だけど。魅力的だけど!…そもそも、今日は別にそれを話に来た訳じゃないのよ。うん。
ペシペシ、と。軽く彼女の頬を叩いて、無理矢理顔を向き直らせる。ここで本題に入らないと、また決めないまま帰ることになりそうだし。
「とりあえず、今日は出し物の案について、でしょ?」
「─ぁぃ」
のそのそと、あたしの両手から抜け出して、テーブルに上のスマホへ手を伸ばす未冬。なにやら無造作に、彼女がポチポチと画面を弄っていると、不意にバンッと、部屋の扉が開かれた。
「ちょっとお姉ちゃん!何をいきなり呼び出し、て──」
眼鏡をかけた、薄幸そうな少女。久々に見た彼女は、あたしと目が合うなり言葉をとめると、そのまま頭を軽く下げる。
「──って、違う!説明してよお姉ちゃん!」
「ぁ゙〜や〜め〜れ〜」
ガックンガックンと、肩を掴まれ、情けない声を出す未冬。それでも尚、問い詰めた少女は、クドクドと言葉を連ねると、未冬の顔を歪ませる。
彼女の名前は暁夏去。見ての通り、高校受験を今年度に控えた、あたし達とは2つ下の未冬の妹。進級のあの日ですら、久しく会っていなかったし、記憶よりも成長して、雰囲気の変わったような気がする。…いや、色々と成長しすぎな気もするけど。…思ってて悲しくなってきた。
とにかく!彼女の話を掻い摘むと、どうやら受験勉強をしていたところ、いきなり未冬にメッセージアプリで呼び出されたんだとか。この時期の受験生をいきなり呼び出す点に感じては、そりゃ未冬が悪いとは思うけどさ。
「──でも、来たんでしょ?弄ってたから」
「ぅ…」
夏去ちゃんの拘束を抜け、ベッド上で、煽るように口を開ける未冬。
口を詰まらせた彼女も、何か思いたることがあったのか、姉を一瞬睨みつけて、諦めのような息を吐いた。
「はぁ…わかったよ。付き合えばいいんでしょ付き合えば。…で、ミユ姉さんも呼んで、なんの話をするわけ?」
「そうそう。まさか、あれを伝えるためだけってことはないんでしょ?」
淡々と聞き返す夏去ちゃんに便乗して、本題へ向かって言葉を乗せる。
そもそも、あたしは流されるままここに来たわけで。そんないつも言ってるようなことを聞くために、わざわざあがった訳じゃないんだけど。…まぁ、それで言うと流されたあたしもあたしでどうなのかって話なんだけどね。
あーね、と。そう呟いて、ベッドから飛び降りる未冬。
テーブルに、今日のプリントを叩きつけた彼女は、あたし達を一瞥すると、その口角をニヤリとあげた。
ーーー
翌日、LHRにて。黒板を叩くチョークの音が、教室中に響き渡る。
「えっと、飲食系はコスプレ喫茶、演劇は創作、次は展示物ですね」
黒板の前にいる文化祭実行委員の男女。
そんな言葉と共に、くじ引き箱に手を入れたその片割れは、1枚の紙を引き、その内容に目を通す。
「展示物は顔抜きパネル…で、大丈夫そうですか」
司会進行をする男子が、教室を一瞥して聞き返す。
へんじがない、ただのしかばねのようだ。
「大丈夫そうなので、今日の実行委員会議では、うちのクラスはこれを提出します。ありがとうございました」
パチパチ、と。チラホラと拍手が漏れて、前に出ていた2人が各々の席に戻っていく。板に書かれた三つは、まぁ割と無難そうなのが当たったなーって感じもあるけど。あとは放課後の会議で決まる割り当て次第って感じ。
昨日の未冬の本題──それは、文化祭の出し物案を決めること。あれだけ延々と意味深な雰囲気を出しておいてコレっていうのは、いつもの未冬らしいんだけどね。わざわざ夏去ちゃんを呼んだのだって、「三人集まればなんとやら、でしょ!」とかそれだけの理由だったし。まぁ、それを加味したところで、最終的にはいつも通りのくじ引きだったんだけど。
担任による帰りの会が終わって、次々とクラスメイトが荷物を持って出ていく中。ふと、あたしの視線に気付いた未冬は、特大のピースを向け満面の笑みを浮かべ放ってきた。
皆様の高校での文化祭は何をしましたか?
──私?
私はもちろんそんなもの無かったですよ。えぇ。
…ブンカサイ、ナニソレオイシイノ?




