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私が好きなのは妹の彼氏でロリコンのアイツ!  作者: 月宮流夏
春と暑さが暴れた一学期
15/21

13話 「あれ? 私主人公だよね?」

 今日は六月三十日。今日を超えると、高校――上大木高校の一大イベントの体育祭と、一年生の研修旅行がある、七月が待っている。


 そして楽しみなイベントを前に、あるマンションの最上階の一室では―――


「「出番が少なァァァい!」」


 二人の少女が叫んでいた。


 現在時刻は午後九時。絶叫するのはお門違いな時間だ。

 まあ、この部屋――マンションは全て防音仕様なので、クレームが来る可能性は低いのだが……人としてどうかとは思う。


「んんん~! お姉ちゃん達五月蠅い!」


 絶叫していた二人と比べ、小柄な少女。プリプリと怒る姿が可愛らしい。


 ここにいるのは、パジャマ姿の少女三人。澪、彩那、萌葉だ。


 黒色の長い髪の毛を、頭の上で黄緑色リボンを使って結んでいる澪。さっきの言葉でリボンがウサミミの様にピーン! と伸びている。

 シンプルなホワイト色の大きめのシャツにショートパンツ。少し湿っている髪に、完璧なスタイル(胸以外)と相まって、男子生徒が見たら、鼻からトマトジュースを流しながら倒れこむだろう。

 ただ…雰囲気はバッチリなのだが…シャツの合間から見える胸が…無いなのが悲しい。


 彩那は澪の逆で、ゆるふわ系ではなく、いかにも男子のイメージ! といった、前をボタンで止めるタイプの黒いシャツパジャマ。髪型も風呂上がりだからか、髪や雰囲気もふんわかしていて、クールよりはカッコ可愛いといった感じだ。これまたトマトジュース案件。

 でも彩那は「男子居ないし、澪達の前だから」と胸のボタンを開けている。本人曰く「なんかそこまで胸ないけど苦しい」と全開にしている。澪が彩那の胸を見て、ジト目をしているのは秘密だ。


 先程、プリプリと怒っていた澪の妹、萌葉(もえは)

 萌葉は某夢の国に出てくるお姫様を連想させる、フリル付きのドレスの様なパジャマ。拓斗が見たら……理性が崩壊しそう。


 夜で、風呂上がりで、パジャマで、人の家。そう! ここは男子禁制の女子会! 『パジャマパーティー』だ!


「…知ってた? 私主人公なんだよ。そしてメインヒロインなんだよ。それなのに、楓達男子組の方が出番あるってどうゆうこと? なんなら出てすらないことも多いよね。てかいてもセリフないこと多いよね……」


「澪ねぇ…何言ってんの?」


「いやホント。あの二人贔屓(ひいき)されてるって! 少しイケメンで多彩だからって……。女子を差し置いて活躍するなんて!」


「彩那ねぇまで!」


 突如言われた拓斗と楓に対する憎悪丸出しの言葉。パジャマパーティーには見合わないオーラを出す二人に、萌葉は大いに困惑する。けど、―――


「彩那ねぇ。拓斗虐めないで?」


 萌葉の彼氏、拓斗の誹謗中傷を止めに入った。けどそんな事で止まるはずなく―――


「ゴメンね萌葉。ココは譲れない……! この話は拓斗だけじゃないの。全世界の『男』って生き物についでに話してるのよ。萌葉も聞く?」


「……? よく分かんないけど聞く!」


 目をパァァ! と輝かせ、二人の話に聞き入る萌葉。彼氏持ちだと言ってもまだ小学五年生。ガキンチョなのだ。


 それから二人は、小五の萌葉には理解出来ない愚痴――体育教師の石田がうるせぇとかハゲてるとか、クラスの男子の精神年齢が低いとか。今度は萌葉の小学校の事とか、体育祭の準備の話とか。

 そんな話をすること三時間。日は変わり、夜も深けていく。


「……んっ……」


「はい。おひとり様〜夢の国へご案内〜」


 丁度日をまたいだ頃に、萌葉が寝落ちした。まあ、小学生なので当然ちゃ当然だが。


 萌葉は寝ると、目覚まし時計が鳴るまで起きない。その性格を利用して、二人はこんな時間からある約束をしていた。それは―――


「やっほー! きたぜっ!」


「お邪魔します〜」


「……純粋にお父さんお母さんの仕事が気になる…」


『わあ! 綺麗なマンションじゃん?!』


「先輩達来たァ!」


 午前零時半。澪と彩那に加え、莉音(りおん)、梓、葵、穂乃果(ほのか)(電話)がやってきた。

 誘った澪の心情もそうだが、それを許可する二年メンバーの親も凄い。


「いらっしゃいませっ! 先ず……パーティーなのでお風呂行きましょう! 彩那っ! 私達も二度風呂!」


「あいよぉ〜!」


「「「お風呂やぁ〜!」」」


 その後、電話の穂乃果含め六人の女子達は風呂に入り始めた。


 まあ風呂場でキャッキャウフフしてたり、湯船に百合の花が浮いてたり………。けれど、描きたくても描くことは出来ない。だってこの作品年齢制限ないから。


 でもまあ……キャッキャウフフしてましたね。


―――――――――――――――――――――――


「ふわぁ〜! いいお湯だったぁ! 何回来てもデカイね! 澪ん家のお風呂!」


「ふふん! 凄いでしょ!」


「凄いのはアンタのお父さんとお母さんね。にしても葵先輩……ほぼ裸じゃないっすか?」


「……いいかい彩那ちゃん。いざって時に緊張しないために、こういう所で見られておく練習がいるんだよ」


「?! じゃあ私も脱ぎます!」


「ちょいちょい。誰か二人を止めて。もう酒が回ってる」


『いいじゃんあず〜。楽しいし……ヨダレが…』


「ほの〜。何でこの場にいないんだ。最高だぜ…ジュるっ」


「…はァ…。いつも通りってか…」


 生徒会室内の様に、いつも通り過ごす六人。いつもと違うのは、拓斗と楓がいない分、ありのままの自分を出している。


 澪の部屋は、五十階建ての高層マンションの最上階。しかもワンフロア丸ごと家。故に風呂は、バカでかい。その辺の家のリビングぐらいある。

 普通、そんなに風呂大きくても需要無いのだが……お泊まり会大好きな澪にとっては有難い。


 風呂から上がった六人は、バカでかいテレビに、バカでかいソファー、バカでかいシャンデリアに、バカでかい窓。全ての置物がバカでかいリビングにやってきた。

 各々好きな位置に座って、風呂での余韻に浸っている。


「ふぇ〜。ウチのも広いけど……やっぱ澪ん家のが最高だよね〜」


 と、ソファーで寝転がり、全力で脱力している莉音。

 莉音はピンク色の、超大きいサイズのシャツ。ふくらはぎ上部から下が全部出ていて、艶めかしい雰囲気が出ている。


「莉音……。アンタのそのくつろぎ精神は尊敬だわ…」


 と、椅子に座り、スマホを弄りながら言う梓。普段は『田舎ヤンキー』などと揶揄されている梓だが、彼女だって高二。乙女なのだ!

 梓は、ほぼ澪と同じ格好。違うのはシャツの色が黒ぐらいだ。胸が無く、悲しいのも全く同じ。


「あずあず〜? なんか食べるの無いのぉ?」


「私に言うなっ! てか服を着ろっ!」


 と、ソファーベッドでゴロゴロしながら、何故か梓に話す葵。

 葵は下着だけ。豊満な胸が遮るものがなくなり、主張されている。しかも下着は透けレース。「高校生かよ?!」と言われてもおかしくない。

 

「……どしたの澪、あず。そんなに私の胸睨んで…」


「……いやっ、別になんでもないですよぉ。ただ羨ましいなぁって」


「…激しく同意。毟り取ってやる…」


「え、都市伝説のおっぱい毟り?! しかも二人も!」


 葵の主張されている胸をジト目で睨みつける澪と梓。二人の巨乳に対する憎悪は計り知れない。


『ちょいちょい! この位置じゃ見えん! りー(莉音)! 位置移動して!』


「あいあいさー!」


 澪と梓が葵に迫る様子を、莉音と共にゲスい顔をして見る穂乃果。彼女は仕事終わりなので電話で参戦した。因みに穂乃果は白いワンピだ。可愛い。


 そんなことがひたすら続くこと二時間。時刻は午前三時を回っていた。


「……楓の出番じゃなくて拓斗の出番を増やせ〜! イケメンは眼福だァ!」


「いやっ! 楓の頑張ってる姿が可愛いんでしょ! 拓斗は幼馴染だから見飽きたァ〜!」


「ずるっ! 世界で一番幸せな位置にいるくせにぃ〜!」


「なにぉっ!」


「ハイハイ。お子様二人落ち着いて〜」


 深夜テンションになった澪と彩那。幼稚園児同士の対決にしか見えない。夜になったらテンションが上がる二人。典型的なお子様だ。


「ふ〜ん。彩那って楓の事そう思ってたんだ」


 ペシペシと可愛く喧嘩し始めた二人を梓が仲介する。田舎ヤンキーも楽じゃない。


 彩那が楓に対する思いを初めて告げたことで、二年メンバーは全員軽い衝撃を受ける。彩那はいつも、生徒会で澪よりキツく当たっているからだ。


 と、ここで穂乃果と莉音が、ゲスい目をした。そして―――


「彩那〜? 楓の事どう思ってるの?」


「ふぇ? 楓ぇ? ん……恥ずかしい……」


「「(可愛い!!!)」」


 元々朝型な彩那。目がトロンとし、口調もふわふわして心ここに在らずという感じだ。

 いつものクールな彩那から、突如甘えん坊彩那に変貌したことで、二年メンバーは、全員胸を抑えている。そして同時に「この状態の彩那がずっと続いたら萌え死ぬ!」とも思った。


 各々が「やべぇ可愛い」と思いつつも、穂乃果はグイグイいく。


『い〜から。おねぇーさん達に話しなさいって。ほれ! ゲロっちまいな!』


「ん……? うん……えっとね…楓はねぇ……」


 彩那が話し始めると、ふわふわしたピンク色のオーラに花がふわふわ浮く。彩那自身も顔を赤らめ、照れながら。

 それはそれは甘酸っぱく、二年メンバー達は胸焼けしながらも朝になるまで、彩那の話を聞き続けた。その片隅で―――


「……ぐすん……また……私ヒロインなのに……主人公なのにぃぃぃ!!!」


 澪が叫んでいたことは誰も気づかなかった。


「楓はねぇ……可愛いのっ!」


―――――――――――――――――――――――


 時刻は午後十二時。彩那の話が完了したのは午前六時手前。そこから皆で狸寝入りし、現在に至る。


「……皆さん。あの記憶忘れてください……」


「え〜? 彩那可愛かったよォ?」


「そうそう。熱心に語っちゃって〜。おねえーさん達胸熱だったよっ!」


 グッ! と親指を立てる四人。それを見て彩那は―――


「あぁぁぁ! 黒歴史(ブラックリスト)入確実だァ!」


 ソファーで、のたうち回って、澪は―――


「……私主人公? 私ヒロイン? ううん。ただのモブだぁー!」


 考えることを放棄した。今の澪には生徒会長としての威厳も、主人公としての風格も、ヒロインしての煌めきオーラも、何一つ無かった。


 そして、何か決めたのか、大きく息を吸ってから、澪は口を開く。


「すっ……いいですか?! 今日は私の愚痴を聞いてもらいますよォ〜! 聞くまで…帰れないって思ってくださいっ」


 彩那に夢中だった四人と彩那が、一気に澪の方を向く。そして全員顔が青ざめていき―――


「……冗談?」


「まさか!」


 その言葉を聞いた瞬間、荷物を置いて一目散に逃げ出した。


「やべえ! これオールコースだ!」


「ちょ! 澪それだけは! 彩那も結構自爆したから勘弁!」


『あっ、さいなら〜。……ブツッ……』


「あっ、ほの逃げた! ずるい!」


「そんなことより自分のこと考えな葵〜!」


 結局誰一人逃げることが出来ず、穂乃果も電話で強制参加させられ、二十四時間後まで、ずっと澪の話を聞かされた。


 日にちは七月二日。その時、彩那の携帯にある人物からメッセージが来ていたのだが……それはまた次の日のお話。

中学生が高校生の男子禁制の花園を描きました。同級生には死んでもバレたくないですね。次話、主人公を差し置いて楓回です。

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