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青春詰め合わせパック(9個入り)  作者: 古川ムウ
[学園祭]
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47/52

<47:恋愛熱血少女(6)>

戸川春菜・・・高校3年生。

柱谷秀彦・・・戸川春菜の担任教師。

能登奈緒美・・・戸川春菜の親友でクラスメイト。生徒会副会長。


 春菜と奈緒美は、クレープを食べながら校庭を歩いていた。

 奈緒美は人ごみの向こうに、柱谷先生が歩いているのを見つけた。


 「あれって、メラ谷じゃない?」

 「うん、そうだね」

 春菜はチラッと一瞥しただけで、すぐにクレープへ視線を戻した。

 「声、掛けなくていいの?」

 「近くに来たら、掛けるわよ。でも、こっちに来ないんだったら、わざわざ行かなくてもいいでしょ」

 「そのリアクション、やけにクールね」

 奈緒美は、不思議そうに春菜を見る。


 「そうかな」

 「そうよ。前の春菜だったら、クレープなんかそっちのけで、メラ谷の所へ駆け寄っていたわよ」

 「前の私ならね」

 春菜は、すました顔で言う。

 「相談室で、何かあったの?成功とは言えないけど、フラれたわけじゃないってアンタは説明したけど、詳しいことは全く教えてくれないし」

 「まあ、色々とね」


 そんなことを話していると、柱谷との距離が近くなった。

 柱谷も二人に気付いたらしく、パッと視線を向けた。

 「先生」

 春菜は、涼やかな笑顔で声を掛けた。

 「お、おう」

 柱谷は、意図的に目を逸らしながら答えた。

  相談室の出来事があって以来、柱谷の春菜に対する態度は、どこかギクシャクしたものになっている。


 「どこへ行くんですか」

 「え、いや、特に目的は。適当にブラブラしているだけだ」

 「このクレープ、美味しいですよ。先生も食べてみたらどうですか」

 「ああ、そうか、クレープな」

 「3年3組で売ってますよ。かなり人気みたいですけどね。それじゃあ、私達は別の場所に行きますから」

 そう告げると、春菜は柱谷と別れて歩き始めた。


 「やっぱり変わったよね」

 奈緒美はまじまじと春菜を見つめる。

 「今のだって、私はてっきり、自分のクレープをメラ谷にあげるもんだとばかり思ったのに」

 「へえ、そうなんだ」

 「何があったの?オススメ本を紹介してもらうのも、やめたんでしょ」

 「うん、もう終わりにした」

 「相談室の一件以来、メラ谷へのアタックも、まるで無いし。もう作戦は終了ってわけ?」

 「ううん、違うわよ、作戦を変更したの」

 春菜は意味ありげに微笑した。

 「作戦変更?」

 「これまで熱烈に追い掛けていたのに、告白を境にピタッと止まったら、先生の方が私のことを気になるはず。そうやって、私に気持ちを向けさせようとしてるのよ」


 そこで春菜はクレープを食べ終わり、さらに言葉を続けた。

 「そして卒業してから、また積極的なアタックを再開するの。卒業したら、もう教師と生徒の関係じゃないから、堂々と付き合えるしね」

 「アンタ、すごいね。執念さえ感じるわ」

 奈緒美は、呆れた気持ちと感心が入り混じったコメントを発した。

 「愛は女を強くするのよ」

 春菜は、余裕の笑みを浮かべた。


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